宝石がお好きな方は、ルビーやサファイアの原石となるコランダムの価値は加熱(ヒート)か非加熱(ノーヒート)かで価値が大きく変わる事を聞いたことがあるかもしれません。
そこで今回は、漫画「宝石商リチャード氏の謎鑑定」を題材に、非加熱ルビーの価値についてお伝えしたいと思います。
「宝石商リチャード氏の謎鑑定」とは?
「宝石商リチャード氏の謎鑑定」は、2015年に集英社オレンジ文庫より刊行された辻村七子氏による小説作品です[1]。
2020年より月刊コミックZERO-SUMより、雪広うたこ氏の作画で漫画の連載も開始、同年にはアニメ化もされた人気作品です。
主人公で大学生の中田正義(なかた せいぎ)が、酔っ払いに絡まれている美しい外国人男性リチャード・ラナシンハ・ドヴルピアンを助けるところから物語はスタートします。
宝石商である事を知ったリチャードに、正義が亡き祖母が遺した宝石の鑑定を依頼したきっかけに、リチャードの営むジュエリーショップ「ジュエリー・エトランジェ」でアルバイトを始めることになります。
物語は、そのジュエリーショップに訪れる客が持ち込む宝石を通じて、人間模様の謎や思わず胸を打たれるエピソードが展開していくヒューマンミステリーです。
非加熱ルビーの価値と真実
宝石商リチャード氏の謎鑑定の第1巻「ルビーの真実」のストーリーでは、ジュエリー・エトランジェに、ブローチにあしらわれたルビーがヒートしている石なのか、していない石なのか確かめて欲しいという依頼で女性が訪れます。
ルビーやサファイアの原石となるコランダムという鉱物は、超高温で加熱すると石の発色が鮮やかになる特徴を持っています。
一方で、地面から出てきた時から、ルビーで言えば加熱したような鮮やかな赤色をしているものがあり、そうした非加熱のルビーは加熱処理されたものより価値が高いとされます。
特に最高品質のルビーはピジョン・ブラッド(鳩の血の色)と鑑別書(鑑別業者が発行する分析結果報告書)に記載され、1,000万円の値段が付けられるものもあるほどです。
ただし、非加熱ルビーと言っても、加熱ルビーが混ざってることがあり、またルビーの処理は加熱以外にも多くの処理方法が存在するため、加熱していない=無処理ということではありません。
非加熱ルビーであっても、一様に宝石の評価が高いとは言えませんので、宝石の価値を見極めるためには、専門的な知識のあるお店に相談されることをおすすめします。
非加熱ルビーについては、下記モリス過去記事にて詳しく紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
参考:非加熱ルビーとノーヒートルビーは同じ?ルースの加熱処理の見分け方
まとめ
ルビーの価値は、加熱処理か非加熱処理か、はたまた無処理のものかでも変わってきます。
しかしながら、どのような宝石であれ、同じものは1つとして存在しません。
本記事で扱った「宝石商リチャード氏の謎鑑定」の中で、正義が密かに想いを寄せている同級生で、大の岩石マニアである谷本晶子(たにもと しょうこ)が、正義に対してこんな言葉を伝えるシーンがあります。
財産やアクセサリーとして『よい』宝石は美しくて珍しいものだよね
ビジョン・ブラッドルビーみたいに
だから加工技術は最上級の美を追求し再現しようとする
でも より高いグレードに分類される美しさだけを追ってゆくのは 少し寂しい気がするんだ
だって 全ての石は何かの真似じゃない
一点物だから
グレード関係なしに すべての石には豊かなロマンがあるんだよ
宝石商リチャード氏の謎鑑定 第一巻「ルビーの真実」より[2]
あなたが手にする宝石には1つ1つにストーリーがあり、どれ1つとっても同じものはありません。
だからこそ、価値も含めて唯一無二の宝石と巡り会える場所が大切なのではないでしょうか。
モリスルビーでは、信用を何より大切に、本物の天然無処理ルビーだけを販売するために、ミャンマーの鉱山の採掘権を持ってトレーサビリティを確保しています。
本物のルビージュエリーやルビーのブライダルリングをお求めの方は、「赤い宝石ルビー専門店」である、モリス京都三条本店、モリス銀座店にぜひご来店ください。
【この記事を書いた人:モリスルビー編集部】
<参考文献>
[1] 集英社 オレンジ文庫,「宝石商リチャード氏の謎鑑定」,available at https://orangebunko.shueisha.co.jp/book/series/%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E5%95%86%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E6%B0%8F%E3%81%AE%E8%AC%8E%E9%91%91%E5%AE%9A
[2] 月刊コミックZERO-SUM,「漫画 宝石商リチャード氏の謎鑑定」,available at https://www.ichijinsha.co.jp/zerosum/title/richard/