ルビーの色が赤い理由【種類・ランク・価値・濃さについても解説】

ルビーは「赤い宝石」ですが、同じ赤でも価値に数倍から数百倍の差が生まれます。その差を生むのが、色の濃さ・透明感・産地・加熱の有無です。

モリスはミャンマーの採掘現場からサザビーズなどの国際オークションまで、世界中のルビーを直接見てきました。その経験から言えることは、「赤」という一言では語り切れないほど、ルビーの色には奥行きがあるということです。

この記事では、天然無処理のミャンマー産ルビーを専門に扱うモリスが、ルビーの色についてプロの視点から分かりやすく解説します。

モリスルビー代表取締役 森孝仁
森 孝仁
株式会社モリス 代表取締役

天然無処理ミャンマー産ルビー専門店「モリスルビー」代表取締役。ルビーの原産地ミャンマーの鉱山から、ジュネーブ、ニューヨークの高級美術品オークション、サザビーズまで、ルビーの事ならすべて守備範囲の専門家。モリスルビーは、東京銀座、京都三条で展開しています。

目次
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ルビーの色が赤い理由

光の波長

ルビーの色が赤いのは、黄色~紫の光が吸収され、赤色だけが透過して目に届くからです。

ルビーに光が当たると、ルビーの結晶はある色を吸収して、別の色を透過します。これは、光の波長(可視光線)がルビー内部の元素によって選別されるためです。

また、人間の目は赤を感じやすくできており、赤信号や警告色に赤が使われるのも同じ理由です。

ルビーの色は光源や明るさでどう変わる?

ルビーの見え方は、光源と周囲の明るさによって劇的に変化します。

光源 概要
白熱灯 赤~赤外線の光を多く含むため、ルビー本来の赤が一番美しく見える
自然光(午前11時~午後2時) 直射日光ではなく日陰での観察を推奨(直射では反射が強すぎるため)
蛍光灯 紫~緑が強く、赤の光が弱いため、ルビーの赤がくすんで見えがち。鑑定用には不向き

ルビーは、朝・夕方の光でも色味が変わるため、同じルビーでも最もよく見える光を知っておくことが大切です。

ルビーとサファイアの色の違い

ルビーとサファイアは、どちらも同じ「コランダム」という鉱物からできています。

もともとは無色透明なコランダムですが、含まれる元素によって色が変わります。

クロム(Cr) 赤く発色し、「ルビー」と呼ばれる
鉄(Fe)とチタン(Ti) 青く発色し、「ブルーサファイア」となる

コランダムは発色の違いで名前が変わるため、ルビーは「赤いコランダム」と定義がされています。一方で、赤以外(橙・黄・緑・青・藍・紫)のコランダムは、まとめて「サファイア」と呼ばれます。

ルビーとサファイアの色の違いについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

ピンキッシュルビーとピンクサファイアの違い

淡い赤色のコランダムが「ピンクサファイア」なのか「ルビー」なのか、この線引きは非常に曖昧で、販売者や鑑別機関の判断で変わることもあります。

背景には「ルビー=高価」「ピンクサファイア=比較的安価」という価格差があります。そのため、名前の違いがそのまま販売価格に影響することがあるのです。

ピンキッシュルビーとは?

モリスでは、宝石品質判定基準(クオリティスケール)で明確に色の濃さを評価し、トーンが#2(かなり淡い赤)のものを「ピンキッシュルビー」と定義しています。

大切なのは名前よりも品質です。呼び名が何であれ、品質が同じであれば価値も同じです。名前だけで価格が上下するのは本来あるべき姿ではありません。

ピンク色のルビーについて詳しく知りたい方は、「チェリーピンクルビーとピンクサファイアの違い」の記事も参考にしてみてください。

ルビーとスピネルの赤色の違い

見た目が似ている赤い宝石として、「スピネル」があります。

ルビー(Al₂O₃)とスピネル(MgAl₂O₄)は異なる鉱物ですが、同じ母岩(大理石)で産出されるため、古くは見分けがつかず、王族の宝冠にもスピネルが使われていた例があります。

英国王室の象徴であるインペリアルステートクラウン(王冠)のメインストーン「ブラックプリンス」、ムガル帝国の皇帝たちに受け継がれてきた「ティムールルビー」もレッドスピネルでした。

実際にルビーとスピネルを見分ける一番簡単な方法は、「宝石を光に透かして、少し動かしてみること」です。

ルビー 二色性で、ある角度でピンクの混ざった赤色とオレンジが混ざった赤色の2色が見える
スピネル 単色性で、どの角度から見ても均一な赤色しか見えない

この違いを知っていれば、ルビーとスピネルを簡単に見分けることができます。原石でも同じ見分け方をするので、覚えておくと非常に便利です。

ルビーとスピネルの詳しい違いについては、こちらの記事で解説しています。

自分に合う色のルビーを見極める方法

ルビーの「赤色」には、ピジョンブラッドのように深い赤から、チェリーピンクのように明るい色味まで、さまざまな色調(色合い)があります。

さらに、ルビーは産地や加熱の有無、サイズ、光源によっても見た目が変わる非常に繊細な宝石です。

ここでは、店舗へ行った際、自分に合う色のルビーを見極める方法を3つ紹介します。

  1. 自分の好みを把握する
  2. 光源で変化する色をチェックする
  3. 鑑別書の言葉に惑わされない

方法①:自分の好みを把握する

まずは、「深く情熱的な赤」「透明感のある軽やかな赤」「ピンクがかったかわいらしい赤」など、自分がどんな赤色に魅力を感じるかを考えてみましょう。

また、身につけた時の雰囲気を想像し、好みだけでなく「自分の肌色に似合う色味か?」という視点も大切です。

ルビーはジュエリーとして身につけるものなので、「見た目の美しさ」と「自分に合うかどうか」が満足度を大きく左右します。

ルビーのジュエリーデザインについて知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

方法②:光源で変化する色をチェックする

ルビーは見る光の種類や明るさによって色調(色合い)が大きく変わる宝石です。

お店の照明や自然光、家の蛍光灯など、異なる光源で見比べることで、ルビー本来の色味を把握しやすくなります。

特に「ピジョンブラッド」は、暖色系の光で魅力を最大限に発揮します。逆に、冷たい光の下では黒っぽく見えることもあるため、購入前にさまざまな光環境でチェックすることが大切です。

方法③:鑑別書の言葉に惑わされない

「ピジョンブラッドレッド」と記載された鑑別書があっても、それが実際の品質や美しさと一致するとは限りません。

鑑別書はあくまで科学的な分類・分析に基づくレポートであり、「美しさ」や「似合うかどうか」といった主観的な要素までは反映されていない場合もあります。

鑑別書の言葉に惑わされないためにも、実際に本物のルビーを自分の目で見て、感じ、確かめることが一番大切です。

加えて、同じルビーでも光源や見る環境によって印象が変わるため、比較対象となる本物を多数見てきた専門家の目と合わせて確認することが、後悔しない選択につながります。

ここまで読んでいただいた方はもうお気づきかもしれませんが、ルビーの「色の魅力」や「似合う色味」を正確に判断するには、実物を見ることが何より大切です。

ルビーは、同じ赤でもまったく同じ色調(色合い)が存在しない唯一無二の宝石です。

写真や鑑別書だけでは伝わらない、「色の奥行き」や「自分との相性」を、ぜひ本物のルビーを扱っている店舗で確かめてみてください。(ルビーの見学はこちら

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ルビーの色の種類・呼び方

ピジョンブラッドルビー

ルビーは「赤い宝石」として知られていますが、その赤色の中にもさまざまな種類や呼び方があります。特に原産地や品質によって、色味の違いがはっきりと現れます。

ルビーの色の種類・呼び方は以下のとおりです。

  1. ピジョンブラッドレッド、カラー
  2. ビーフブラッドルビー
  3. チェリーピンクルビー
  4. スカーレットレッド
  5. クリムゾンレッド

ちなみに、鑑別業者がよく使う「ピジョンブラッドレッド」「ピジョンブラッドカラー」などの呼称がありますが、ピジョンブラッドルビーは、最高品質のルビーの呼称のことであって色だけのことではありません。

実際のところ最高品質からは程遠いレベルのルビーに「ピジョンブラッド」とコメントされている鑑別書(分析結果報告書)が散見されます。

ルビーの鑑別書には、宝石種、サイズ、原産地、処理の有無の分析結果が記されており、品質を観る上で重要な「美しさ」「色の濃淡」「欠点」に関する記述がありません。

ルビーの価値は色だけでは決まらない

ルビーは「品質」「需要と供給のバランス」「伝統と慣習」をすべて見なければ価値判断できません。

それを踏まえた上で、実際に業界で使われているルビーの色の種類と呼び方を説明します。

また、ルビーの品質について興味がある方は、「ルビーの宝石品質判定」の記事もチェックしてみてください。

色の種類・呼び方①:ピジョンブラッドレッド、カラー

前提として、「ピジョンブラッドレッド」や「ピジョンブラッドカラー」は、ルビーの色調(色合い)を指す言葉であって、品質を表す言葉ではありません。

一部の鑑別業者の発行する分析結果報告書に「ピジョンブラッド色」「ピジョンブラッドレッド」「ピジョンブラッドカラー」などが記載されていることがあります。

本来「ピジョンブラッド」は、ミャンマー・モゴック産の非加熱ルビーの中でも最高品質のものに使われる呼び名です。

鳩の血のように深くわずかに紫味を帯びた鮮やかな赤色が特徴で、GQ(ジェムクオリティ)に該当する最高級ルビーにのみふさわしいとされています。

鑑別書にピジョンブラッドの呼称が記載されていても、品質が伴っていないケースも少なくありません。色名=高品質とは限らないことを覚えておきましょう。

色の種類・呼び方②:ビーフブラッドルビー

「ビーフブラッドルビー」は、タイランド産ルビーに見られる黒味が強い赤色に使われることがある表現です。

牛の血のような深い赤を指しますが、国際的なオークションなどではあまり見かけない、やや独自色の強い呼び名です。

そのため、あくまでイメージ的な表現として参考程度にとらえると良いでしょう。

色の種類・呼び方③:チェリーピンクルビー

「チェリーピンクルビー」は、スリランカやベトナム産のルビーに多く見られる、明るくピンク味を帯びた色調(色合い)に使われます。やさしく柔らかな印象が特徴で、ピンクサファイアに近い見た目ながら、成分的にはルビーに分類されます。

華やかさや可愛らしさを重視するジュエリーに多く用いられる色味です。

色の種類・呼び方④:スカーレットレッド

「スカーレットレッド」は、モザンビーク産の高品質ルビーに多く見られる、ややオレンジ味を含んだ鮮やかな赤色を表現する呼び方です。色の彩度が高く、明るさもあるため、ファッション性の高いジュエリーで人気が高まっています。

比較的新しい呼称ですが、商業的に注目されている色調(色合い)のひとつです。

色の種類・呼び方⑤:クリムゾンレッド

「クリムゾンレッド」は、やや青みを含む深みのある赤色を持つルビーに使われます。モザンビーク産ルビーの中で、ピジョンブラッドと類似する色調(色合い)を持ちながらも、蛍光反応(フローレッセンス)が弱いものに対してこの名が使われることがあります。

伝統的な名称というよりも、新たに流通促進のために生まれた商業的な色名であることを理解しておきましょう。

ルビーは色でランク・価値が決まる?

ルビー

「ルビーのランクは色で決まる」「ルビーは色がきれいなほど価値が高い」そんな話を聞いたことはありませんか?実は、これ半分正解で半分誤解です。

ここでは、ルビーの色のランクや価値にまつわる誤解をほどきながら、本当に価値あるルビーを見分けるポイントを分かりやすく解説します。

ルビーのランクや価値は色だけでは決まらない

インターネットや一部の店舗で「ルビーは色でランクが決まる」と言われることがありますが、ルビーは色だけでランクや価値は決まりません。

ルビーは総合的な「品質」で評価される宝石です。特に天然無処理のミャンマー産ルビーは、希少で、大自然がつくり上げた奇跡と言えます。

その美しさを単純な「色の濃さ」や「赤さ」だけで測ることはできません。

ルビーの色のランク付け

ちなみに、ルビーの色のランク付けは人為的に広まった商業的な分類のことを指します。

加熱処理などで色味を人工的に調整したルビーが大量に市場に出回るようになったことで、見た目に基づいた「ランク付け」が商業的に定着しました。

しかし、これはあくまで販売や流通のための便宜的な指標であり、宝石としての本質的な価値とは異なります。

なぜ同じように見えるルビーでも価値が違うのか?

一見すると似たような色や輝きのルビーでも、価格に「数倍〜数百倍」の差があることがあります。その理由は以下の3つです。

  1. 天然無処理(非加熱)か・加熱処理か?
  2. 原産地による違い
  3. 品質全体のバランス

①天然無処理(非加熱)か・加熱処理か?

ルビーの価値を見極める上で、まず注目すべきなのが「加熱の有無」です。

見た目が似ているルビーでも、この一点だけで価格に大きな差が生まれることがあります。

加熱処理されたルビー 人工的に色を調整しているため、希少性が低く価格も下がる
天然無処理(非加熱)のルビー 自然がつくり出したままの美しさを持ち、希少価値が非常に高くなる

市場に流通しているルビーの大部分(業界では90%以上とも言われる)は、色をより鮮やかに見せるために加熱処理が施されています。

この加熱処理によって、人工的に赤みや透明感を高めることができますが、そのぶん希少性は下がり、価格も抑えられる傾向があります。

一方、天然無処理(非加熱)のルビーは、自然のままの赤色を持ち、唯一無二の価値が宿る宝石として評価されます。

「本物の自然な赤」を持つ天然無処理(非加熱)のルビーは、色そのものの希少性と美しさにより、非常に高値で取引されます。

②原産地による違い

ルビーの色は、産地によっても微妙に異なる特徴があります。なかでも特に価値が高いのが、ミャンマー・モゴック産のルビーです。

この地域のルビーは大理石の母岩から生まれ、ピジョンブラッド(鳩の血のような深く透明感のある赤色)を代表とする、優れた色調(色合い)を持ちます。

こうした産地特有の赤色の個性が、そのルビーの価値を高めるのです。

ルビーの産地ごとの違いについて知りたい方はこちらの記事、ルビーの原石について知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

③品質全体のバランス

もちろん、色が美しいだけではルビーの価値は決まりません。以下のような複数の要素を総合的にバランスよく備えているかが、ルビーの本当の価値を決めます。

  1. 色調(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Tone)
  2. 透明度(Clarity)や光の抜け感
  3. カットやプロポーションの仕上がり
  4. インクルージョン(内包物)の有無と見え方
  5. サイズ(Carat)の大きさ

特に色に関しては、単に「赤いかどうか」だけでなく、その赤が澄んでいるか、深みがあるか、光をどう透過するかなどがプロの世界では重視されます。

ルビーの「美しさ」は宝石品質判定(クオリティスケール)で確かめる

ルビークオリティスケール

宝石品質判定(クオリティスケール)とは、ルビーなどの宝石を「美しさ」の観点から分類・評価するために設けられた独自の基準表です。

特にルビーでは、横軸に「S・A・B・C・D」と5段階の評価があり、それぞれ以下のような美しさを表しています。

ランク 美しさの基準
S 輝きがあり、特に美しいもの
A 特に美しいもの
B 美しいもの
C 欠点はあるが美しいもの
D 美しさに欠けるもの

クオリティスケールは、「数値」ではなく、「視覚的・感覚的な評価=審美眼」を重要視しています。

よくある誤解として、鑑別書に「ピジョンブラッドカラー」と書かれていても、実際に見たときに美しさを感じないことがあります。それは、鑑別書が色調(色合い)やスペクトルなど客観的なデータに基づいて評価しているからです。

美しいかどうかは「見た人の感性」によって判断されるものであり、それを体系的にサポートするのがクオリティスケールということです。

ルビーの品質やクオリティスケールについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

本物ルビーの価値とは?

本物のルビーの価値は、色の評価だけでは決まりません。

「天然無処理(非加熱)かどうか?」「ミャンマー産かどうか?」「品質のバランスが良いか?」など様々な要素を踏まえて、価値が決まります。

また、どんなに言葉で説明しても、ルビーは実物を見なければ、本当の美しさを知ることはできません。

興味がある方は、ルビーの中でもっとも価値のある「天然無処理のミャンマー産ルビー」を一度ご覧になってみてください。(ルビーの見学はこちら

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ルビーの色の濃さ(ピジョンブラッドが評価される理由は?)

ルビー

ルビーの価値を語る上で、「色の濃さ」は非常に重要なポイントです。ただ赤ければ良い、というものではなく、深み・透明感・鮮やかさのバランスが美しさに直結します。

特に評価されるのが「ピジョンブラッド」と呼ばれる深く濃い赤色のルビーです。この章では、ルビーの濃さがどのように価値に影響するのかを、専門的な視点から解説していきます。

ピジョンブラッドが評価される理由

ピジョンブラッドとは、「鳩の血のような深い赤色」にわずかな紫味が混じった色調(色合い)を指します。ピジョンブラッドの赤色は、単に赤いだけでなく、濃さ・透明感・彩度のバランスが取れている点で非常に評価が高いとされています。

特に非加熱・無処理のミャンマー産ルビーによく見られ、自然が生み出したままの状態でこの美しさを持つことから、希少性が極めて高いです。

ただし、見た目の「赤」だけでピジョンブラッドと断定するのは危険です。プロの目線では、色の濃淡(トーン)を客観的に評価できる基準が重要になります。

ルビーの色の濃さは宝石品質判定基準(クオリティスケール)で判断する

ルビーの品質3ゾーン

色の濃さを正確に評価するために使われるのが、先程も紹介した「宝石品質判定(クオリティスケール)」です。

これは宝石の専門家・諏訪恭一氏が考案した宝石品質判定法で、色の濃淡を#1(最も淡い)〜#10(最も濃い)で分類します。

クオリティスケールの中で、最も美しい濃さとされているのが「#5〜#6」のゾーンです。

ここに位置する色調で、かつ他の要素(彩度・透明度・カット等)も高いレベルでバランスが取れている場合、「GQ(ジェムクオリティ)」に分類され、ピジョンブラッドルビーと呼ぶにふさわしい最高品質とされます。

さらに、クオリティスケール上では以下のような3分類があります

クオリティスケールの分類 特徴
GQ(ジェムクオリティ) 最上級。非加熱で美しい濃さを持つ希少なルビー
JQ(ジュエリークオリティ) 高品質だがGQには及ばない
AQ(アクセサリークオリティ) 主に装飾用。色や透明度で劣る

この分類は等級付けではなく、個性の違いを見極めるための視点です。「ルビーの美しさは感覚で評価するべき」という考えもあり、最終的には審美眼を持ったプロによる判断が重視されます。

ルビーのサイズによって色の濃さは違う

ルビーの「濃さ」は、実はサイズによって印象が変わります。例えば、同じ色調(色合い)のルビーでも、小粒になると光の透過が弱くなり、濃く見える傾向があります。

さらに、ミャンマー産ルビーは光源に敏感という特徴があります。たとえGQ(ジェムクオリティ)の評価を受けたルビーでも、サイズが小さい場合は、蛍光灯の下で黒っぽく沈んだ赤に見えてしまいます。

加えて、研磨スタイルによっても色の見え方が変化するため、専門家による色の評価が重要になります。

クオリティスケール評価時の基準サイズは以下のとおりです。

  • 基準サイズ(約1ct〜0.5ct):縦横6mm×4mm〜4.5mm×3mm
  • 小粒ルビー(0.2ct以下):縦横3mm×2mm(評価時に0.5〜1トーン淡い色調が適正とされる)
  • 大粒ルビー(3ct以上):縦横10mm×7mm(濃さがやや増すものが適している)

ルビーは色そのものも大切ですが、色の濃さ(トーン)こそが美しさを左右する重要な要素です。

ピジョンブラッドに象徴される深く澄んだ赤色は、単に目を引くだけでなく、その希少性と美しさのバランスによって、圧倒的な価値を持ちます。

色の濃さを正しく評価するためには、クオリティスケールという客観的な判断基準があり、それを踏まえて、ルビーのサイズや光源との相性も見極める必要があります。

「色の濃さ」だけで判断するのではなく、総合的な美しさと個性を見抜く目を持つことが、真のルビー選びにつながるのです。

ルビーの色調(色合い)に影響を与える要素は3つ

ルビーの色調(色合い)は、実は単純な「赤」ではありません。産地や加工(カット)方法、成分によって微妙に異なり、それぞれ個性を持っています。

ここでは、ルビーの色調(色合い)に影響を与える代表的な3つの要素を紹介します。

  1. 産地による違い
  2. カットによる違い
  3. 成分による違い

①産地による違い

ルビーの色調(色合い)は、どこの産地で結晶化したかによって大きく変わります。これは、着色要因となる「クロム(Cr)」や「鉄(Fe)」などの微量元素の含有量が、地質環境によって異なるためです。

例えば、ミャンマー産のルビーは鉄の含有量が少なく、紫外線下で強い蛍光を放つほどの透明感と鮮やかさを持ちます。

一方で、タイやアフリカなど玄武岩質の地層で採れるルビーは、鉄分が多く含まれる傾向があり、やや深く落ち着いた印象になります。

②カットによる違い

ルビーには「二色性」と呼ばれる性質があり、見る角度によって異なる色調(色合い)に見えることがあります。このため、どの方向でルビーをカットするか(オリエンテーション)が色に大きな影響を与えるのです。

理想的には、結晶の軸に沿ってカットすることで、最も美しい赤色が引き出されます。

逆に、軸を無視してカットされたルビーは、ピンクがかったりオレンジ色が混ざるなど、狙いとは異なる色調(色合い)になることもあります。

宝石のカットの種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

③成分による違い

ルビーの赤色は主に「クロム(Cr)」によって生まれます。一般的に、クロムの含有量が1〜2%程度のときに美しい赤色になりますが、4%以上になると赤灰色に濁ってしまいます。

また、鉄(Fe)は赤色を抑える働きがあり、鉄の含有量が多いルビーほど、やや褐色味が増した色調(色合い)になりやすいです。成分バランスはそのルビーの色味を決定づける、非常に重要な要素のひとつです。

ルビーとコランダムの関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

ルビーの産地ごとの色の特徴

ミャンマー産ルビーの母岩
ルビーは同じ鉱物「コランダム」から生まれた宝石ですが、採掘された産地によって色味や雰囲気に明確な違いがあります。

これは、人間の肌や髪の色に地域ごとの傾向があるのと似たように、ルビーもその土地の環境(地質、温度、圧力など)が色調に影響を与えるからです。

また、それ以上に「ルビーは1石ごとに個性がある」ことも重要です。今回は、そんな産地ごとの色の傾向について、代表的な4産地を比較しながら解説します。

ミャンマー産ルビーの色の特徴(ピジョンブラッドに最も近い)

ミャンマー
世界的にも評価が高いのが、ミャンマー産(特にモゴック・ナヤン鉱山)のルビーです。
色調は「赤色」にわずかな紫を含んだ深く澄んだ赤が特徴で、宝石品質判定で#5〜#6の濃さを持つものが「ピジョンブラッドルビー」と呼ばれます。

  • 淡い色(#4〜#3):紫みが強調される
  • 濃い色(#6〜#7):純粋な赤みが強くなる

ただし、ミャンマー中部の「モンスー鉱山」で採れるルビーはほぼすべてが加熱処理されており、天然無処理で美しいものは非常に希少です。

なお、「ピジョンブラッドレッド」という記述が鑑別書にあっても、本物のGQ(ジェムクオリティ)に該当しない場合もあるため注意が必要です。

タイランド産ルビーの色の特徴(褐色みが強い赤)


タイランド産のルビーは、やや褐色を帯びた赤色が特徴です。特に次のような傾向があります。

  • チャンタブリ(東部)産:褐色味が強い
  • カンチャナブリ(西部)産:やや紫味があるものも

ミャンマー産に比べて黒っぽいインクルージョンが多く、加熱処理によって色が調整されているものが大半です。

天然無処理で美しいタイ産ルビーは非常に稀ですが、もし存在するなら宝石としての価値は非常に高いと言えるでしょう。

タイランド産ルビーには、加熱処理以外に含浸処理や充填処理などで処理されたものもあります。気になる方は以下の記事も参考にしてみてください。

スリランカ産ルビーの色の特徴(ピンク~淡い色合い)

スリランカ
スリランカ産ルビーの色調(色合い)は、全体的に淡く、ピンキッシュ(ピンク系)な印象を与えるものが多いです。

  • オレンジがかったピンク
  • 青みがかったピンク

など、同じ「赤」系でも個性豊かで、多様なバリエーションがあるのが特徴です。インクルージョンは比較的長く、交差が整っているものが多く、モゴック産のような虹色の輝きや短く交差したものは少ない傾向です。

モザンビーク産ルビーの色の特徴(濃くてミャンマーに似ている)

モザンビーク
近年、世界市場で流通量が増えているのがアフリカ・モザンビーク産のルビーです。色調は、ミャンマー産に近い赤系で、以下のような特徴があります。

  • 濃く鮮やかな赤色が多い
  • スリランカ産よりも濃く、ミャンマー産よりもやや蛍光性が弱い
  • 紫外線への反応(蛍光)がミャンマー産よりも鈍く、ピジョンブラッドとは判定されにくい

近年(2014年以降)、ミャンマー国内でもモザンビーク産が「ミャンマー産」として流通していたのを現地でも確認しました。そのため、購入する際は、産地と処理の有無は必ず確認しましょう。

ルビーの色を見るときの注意点

ルビーの色をみるときの注意点

ルビーは、その色や美しさによって価値が大きく左右される宝石ですが、実は「見る環境」によって色の印象が大きく変わる、非常に繊細な存在でもあります。

特に色を正しく判断するには、以下の3つの注意点を押さえておく必要があります。

  1. 光源によって色の見え方が変わる
  2. 見た目に惑わされない判断基準が大切
  3. ピジョンブラッドと比較する際の落とし穴

注意点①:光源によって色の見え方が変わる

最初の「ルビーの色が赤い理由」でも触れましたが、購入の場面では特に重要なので改めて確認します。

まず最も大切なのは、「光源」です。ルビーは、照らす光の種類や強さによって色調や鮮やかさが大きく変化する宝石です。

例えば、ピジョンブラッドルビーとされるような最高品質のルビーは、白熱灯やキャンドルのような暖色系の光のもとで見ると、深紅の輝きが奥から湧き上がるように見えて、人を魅了します。

一方で、蛍光灯やLEDなどの青白い光源の下では、同じルビーであっても黒っぽく沈んだ色に見えてしまうことがあります。

逆に、蛍光灯下で赤く美しく見えるルビーも、白熱灯のもとでは彩度が落ちて見えることがあり、その差は並べて比較した時に明確に現れます。

注意点②:見た目に惑わされない判断基準が大切

特にルビーを購入する際、光源による錯覚で「色が濃くて綺麗」と思っても、実際は照明効果によるもので、本質的な品質とは言えない場合もあります。購入する前に、必ず複数の光源でルビーの色を確認してみましょう。

可能であれば、以下の異なる光のもとで比較して見ることをおすすめします。

  • 自然光(日中の曇り空など)
  • 白熱灯(温かみのある光)
  • 蛍光灯やLED(人工的で青白い光)

また、ルビーはサイズや厚み、カットのスタイルによっても色の見え方が変わるため、色の濃さだけでなく、全体のバランスや透明感も含めて評価することが重要です。

注意点③:ピジョンブラッドと比較する際の落とし穴

ピジョンブラッドルビーの特徴は、深く、鮮やかで、やや紫味を帯びた赤色ですが、その見た目は「光源に最も影響される」ため、見た場所によって印象が大きく変わります。

特に注意したいのは、分析結果報告書(鑑別書)に「ピジョンブラッドレッド」や「ピジョンブラッドカラー」と書かれているからといって、そのルビーが本当に最高品質であるとは限らないという点です。

実際の見た目と鑑別の記載にはギャップがあることも多く、目視と審美眼が価値判断のカギとなります。

ルビーの鑑別書の見方について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

以上の3つの注意点を踏まえて、「ルビーの購入を検討している方」や「まだ本物のルビーをみたことがない方」は、ぜひ本物を扱う専門店で直接ルビーをご覧になってみてください。(ルビーの見学はこちら

ルビーの色に関するよくある質問

ここでは、ルビーの「色」に関するよくある質問を分かりやすくまとめたので、購入する前の参考にしてみてください。

  1. ルビーの色見本はある?
  2. オレンジ色のルビーはある?
  3. なぜルビーは色が変わるのか?
  4. ルビーとガーネットの色の違いは?

質問①:ルビーの色見本はある?

結論から言うと、基本的にルビーの「色見本」は存在しません。

ルビーは自然が生み出した宝石であり、ひとつとして同じ色は存在しません。見た目が似ていても、わずかなトーンや彩度の違いがあります。

そのため、印刷物やカラーチャートのような「公式な色見本」は存在しないのが現実です。

ただし、業界ではルビーの色味や品質を判断する際に、クオリティスケールや特定の色名(例:ピジョンブラッドレッド、ビーフブラッド)などを目安として使うことがあります。

あくまで「目安」であり、「基準の赤」を断定するような色見本とは異なります。

ピジョンブラッドについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

質問②:オレンジ色のルビーはある?

オレンジがかったルビーは存在します。ただし、純粋なルビーの赤色とは区別されます。

ルビーの中には、彩度が高く、わずかにオレンジ色を帯びた赤色を持つものもあります。特にモザンビーク産のルビーで見られる傾向があり、「スカーレットレッド」といった呼び名で流通することもあります。

ただし、ルビーとピンクサファイアの境界と同じように、色のトーンやニュアンスによって分類が変わることがあります。明らかにオレンジ味が強い場合は、ルビーとして扱われないこともあります。

つまり、「オレンジが混じったルビー」は存在するものの、純粋なルビーとして高く評価されるのは赤〜わずかに紫味のある赤色が中心です。

質問③:なぜルビーは色が変わるのか?

結論から言うと、光の種類や角度によって、見え方が変わるからです。

ルビーは、見る光源(自然光・蛍光灯・白熱灯など)や見る角度によって色が変化して見える宝石です。特にミャンマー産の高品質ルビーは、太陽光の下では鮮やかな赤、蛍光灯の下ではやや黒っぽく沈んで見えることもあります。

これは、ルビーが持つ結晶構造と含まれる微量元素(主にクロム)による光の吸収と反射の性質によるものです。光に敏感なルビーほど、こうした変化が顕著に現れます。

また、一部のルビーには「フローレッセンス(蛍光性)」があり、紫外線を当てると赤く光るものもあります。これもまた、ルビーの魅力のひとつです。

ルビーの蛍光性について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

質問④:ルビーとガーネットの色の違いは?

ルビーは「鮮やかな赤」、ガーネットは「深みのある赤や多彩な色」が特徴です。

ルビーとガーネットは、どちらも「赤い宝石」として知られていますが、その色合いや輝きには明確な違いがあります。

ルビーの色は、深く鮮やかな赤色が特徴です。ピンクに近いものもありますが、化学的にはすべて「Al₂O₃(酸化アルミニウム)」という同じ鉱物、つまりコランダムに分類されます。

ちなみに、赤以外の色をしたコランダムは「サファイア」と呼ばれ、ブルーやイエロー、パープル、グリーンなど様々なバリエーションがあります。

一方、ガーネットは一つの鉱物名ではなく、複数の鉱物グループの総称です。ボヘミアンガーネット(パイロープ)に代表される赤褐色のものが有名ですが、オレンジ色のスペサルティン、鮮やかな緑色のツァボライトやデマントイドなど、多彩なカラーバリエーションがあります。

硬度や屈折率も種類ごとに異なり、特にデマントイドガーネットは高い屈折率による強い輝きから、かつて帝政ロシアの宮廷ジュエリーにも使用されていた逸品です。

「ルビーとガーネットの違い」についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

まとめ

色はルビーとしてとても大切ですが、それだけが品質を見分けるポイントではありません。

今回はルビーの色にまつわる解説をしましたが、ルビーを観るときに一番大切なことは、目の前にあるルビーが唯一無二の個性を持つ存在だと意識することです。

ウェブサイトを見ていると、「あれが良いルビー」「これが良いルビーの条件」など色々な情報がありますが、ルビーを選ぶときに一番重要なのは、手に取って観て「好きだ」と感じられるかどうかです。

「良いかどうか?」は経験が必要ですが、「好きかどうか?」は経験が無くても分かります。自分の相性の良いルビーを選ぶことが肝心です。

そして、選んだ後に、なぜそのルビーが「その値段なのか?」という説明をするためにあるのが宝石品質判定です。

  • 好きなルビーを選ぶ
  • 宝石品質判定の基準「GQ:最高品質」「JQ:高品質」「AQ:宝飾品質」の相場を確認

この順番で、目の前にあるルビーの値段が適正なのかを確認して下さい。

相性の良いルビーに出会うために、まず本物のルビーを見ることから始めましょう。

モリスでは、実際に天然無処理のミャンマー産ルビーをご覧になりながら、店舗スタッフが1つ1つのルビーの個性について丁寧に解説いたします。

購入を前提としてしない「宝石選びの相談」も受け付けているので、興味がある方はぜひ一度、店舗へ足を運んでみてください。(ルビーの見学・宝石選びの相談はこちら

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