ピジョンブラッドルビー
ルビーはサファイアに比べ、同じコランダムであっても産出が少なく、結晶の大きさも小さいものです。1カラットを超える宝石品質はほとんどありません。大粒で透明感が高く、濃く美しい赤色のミャンマー産無処理ルビーは、ピジョン・ブラッドと呼ばれます。こちらのルビーはその中でも群を抜いて貴重な逸品です。
もともとは最高品質のルビーを褒め称える言葉!
もともとピジョンブラッド(鳩の血)とは、色だけ良ければ良いのではなく、最高品質のルビーを褒め称える言葉のはずでした。
ピジョンブラッドの色をしているというコメントで、品質が高いとは書かれていないことに注意してほしいポイントです。
ピジョンブラッドのルビーを探されている方は多くいらっしゃると思います。色の濃い(しかし濃すぎない)ルビーをピジョンブラッドというのですが、かなりの方が鑑別業者の発行する分析結果報告書に「ピジョンブラッド色」とコメントされているモノを探しているとお聞きし、驚きます。
伝統的にミャンマー産の最高品質のルビーのことをピジョンブラッド(鳩の血の色)と呼びますが、鑑別書(鑑別業者が発行する分析結果報告書)に「ピジョンブラッドレッド」とコメントされていれば、安心ということではありません。
非加熱ルビーとノーヒートルビーは?
ルビーの処理はさまざまな処理があり、その中のひとつに加熱処理(ヒートルビー)があります。
そしてその処理を行われていないルビーのこと指して非加熱ルビー(ノーヒート)と言われています。
【非加熱ルビーという名称】には注意が必要。
非加熱ルビーという名称がついてるルビーには注意が必要な点が2点あります。
- 非加熱ルビーとうたっていても加熱ルビーが混ざってることがある
- 非加熱=天然無処理ではない
一般的に非加熱ルビーを言われているものの中にも加熱されたものが含まれていることが多くあります、またルビーの処理は加熱以外にも多くの処理方法が存在するため、加熱していない=無処理ということではありません。こちらを勘違いしてしまう方も多くいらっしゃいますので注意してください。
なぜ処理石が市場にでまわるのか
天然ルビーは、希少性が高く供給量が少ないのが、その理由です。処理は、ルビーの供給を増やす方法の一つです。
需要に応えるために、処理が行われるようになりました。
ルビーの処理には以下の3つの処理があります。
- 加熱処理
- 充填処理
- 含侵処理
この他にもさまざまな処理石が存在します。
処理石は手放す時には価値がつかない?
ルビーの見た目は、改良されますが、分析すれば分かることですので、手放す時、受け継ぐときに、宝石としての評価は、ほぼ無くなりますので、美しさを楽しむと割り切って使うことです。
ルビーは、人工合成石の種類、人為的な処理の種類が最も多い宝石なので、ご購入の際は、専門的な知識のあるお店に相談されることをおすすめします。
非加熱ルビーについて詳しくはこちらで解説しています。
品質について説明できない宝石商からは買わないこと
大切なのは、品質について説明できない宝石商からはルビーは買わない方が良いということです。
宝石には「経年変化が無い」という定義があるので、いつか次の世代へ受け継がれる時が来ます。
その時に、自分の愛でたルビーに価値がないと分かることほど、辛いことはありません。実際に品質判定、市場価格を研究しない業者がピジョンブラッドというコメンとをするのはお客様が混乱することにつながります。
宝石は、絶対的価値を持つ「宝物」であり希少性の高さと伝統が価値を支えています。
かなりの頻度で「ピジョンブラッドカラー」コメントがついているが手放す時に値段がつけられないルビーをよく目にします。
購入する前に確認しておきたいことは、ピジョンブラッドと呼ばれていることだけではなく、そのルビーの品質がどうか?ということを知ることが大切です。
ミャンマー産天然無処理で美しいルビー専門のモリスでは品質保証書を発行しています。
まずはルビーを知ることが大切
ミャンマー産天然無処理ルビー専門店のモリスは高額なルビーを購入しようと検討されている方の疑問、不安にお答えできるセミナーを開催しています。
セミナーの内容は、価値のあるルビーとそうではないルビーを見分けるポイントなどをお伝えしています。
ルビーの場合は天然無処理のルビーと加熱処理をされたルビーでは大きく価値が異なります。宝石を購入した後に後悔しないように。
まずルビーを知るステップとしてセミナーへのご参加お待ちしております。
ルビーの品質判定方法はこちらで解説しています。
ルビーの処理について
結晶そのものが美しいルビーは非常に少ないが、古くからその需要を満たすために、結晶に熱を加えて黒みや青みを取り除き、美しさを引き出す処理が行われてきました。
近年の加熱処理技術の進歩は、供給を飛躍的に増大させ、買いやすい価格を実現させました。
しかし、ルビー高温加熱処理(1600~1900℃)は耐久性を低下させ、商品の信頼性を損なうなどの問題を招いています。
ミャンマーでのルビーの産出は、歴史の長いモゴック地方からのものと、1980年代後半から開発されたモンスー鉱山からのものが代表的です。
これらの原石はタイ国に持ち込まれ、加熱処理のうえ、研磨が行われています。しかしルビーには加熱されないものが存在します。
本来の美しく欠点の少ない宝石は処理する必要がないからです。モゴック産の無処理のルビーは、通常インクルージョンが多いのですが、それが適度なものは、優しい美しさをを与えてくれています。
美しさと耐久性を損なわない限り、インクルージョンは許容されます。赤の濃淡のモザイク模様のバランスが良いことがビューティーグレードS~Aの条件です。
ここまで
– 諏訪恭一 決定版 宝石 世界文化社 2013年より引用-
起源がわかる 宝石大全 宮脇 律郎 (著), 諏訪 恭一 (著), 門馬 綱一 (著), 西本 昌司 (著)
本書では“ピジョンブラッドルビー”として、 モリスルビーが紹介されています。
「特別展 宝石」に展示中の宝石・鉱物を多数収録した新刊単行本です。