モリスルビー13JL0012
カラット 0.37ct
Origin(産地) Myanmar
Size(サイズ) 4.3/3.6/2.7
ルビーの特徴
第一印象は、色は良いが「ようかん」のように透明度が低いため結晶の奥からキラキラとした輝きが少ないルビーというものです。天然無処理で色とプロポーションは良いが、ナヤン産ルビー特有の細いシルクインクルージョンが結晶全体にかなり高い密度で内包されてしまったために結晶全体の透明度に影響しています。シルクインクルージョンは1500度以上の熱で処理をすれば溶けてしまい透明度は増すと思いますが、大切なのは天然無処理でどういう美しさであるか?ということです。モリスは、天然無処理であることを前提に原石の結晶を観て行きます。結論からいえば、ファセット(切子)面をつけたスタイルではなく、丸いドーム型に磨くカボションカットを選ぶべきだったと思います。色の良さをしっかりと表現できたので、そこが反省点ではあります。ひょっとしたらスター(アステリズム)が出た可能性もあります。モリスのミヨテがいつも原石のスタイルを決める前に強いライトを当てて結晶の内部のインクルージョンをチェックしていますが、シルクインクルージョンの密度に関しては非常に判断が難しく、このルビーは、ファセットカットにしたら美しさ「B」になると判断したのです。私もそうしたと思います。サイズは、縦4.3㎜/横3.6㎜/深さ2.7㎜、重さは0.37ctと良いプロポーションに磨きあがったのですが、その後の品質判定の場面で「しまった!」となるのです。宝石品質判定のクオリティスケール上でみた場合、美しさは「D」美しさに欠けるもの、色の濃淡は「#4.5」、品質を3つのゾーンに分けた場合は、やはりAQアクセサリークオリティですので、このルビーをどうやってジュエリーに仕立てていくか?悩むところです。ひょっとしたら、ルビーを逆さまにしてパビリオン側をドーム型に磨きなおして、ローズカットのようなスタイルに変更する方が良いかもしれません。ただ、このルビーを手の上に乗せて、このままでも好きだ!という方がいらっしゃるかも知れません。さんざん酷評しておきながら、敢えて付け加えておきたいのは、美しさのスケール「D」でも、フラクチャーなどの破損につながる欠点や色が抜けている部分があるわけでもなく、シルクインクルージョンの密度が高いだけです。シルクインクルージョンが大好きな方も過去におられたので、天然無処理のシルクインクルージョンが目立つ個性的なルビーとして紹介させていただきました。
ルビーの内包物
天然ルビーは、自然の恵みであり唯一無二の個性を持っています。それぞれの結晶の中に内包されるインクルージョンはそのルビーの個性を表します。またこのインクルージョンは、原産地、処理の有無を判定する際の重要な手がかりとなります。
この記事を書いた人
森孝仁
株式会社モリス 代表取締役社長