ルビーの品質とは?宝石品質判定、その必要性

天然無処理で美しいミャンマー産ルビー専門家モリスとして、宝石品質判定の必要性から説明していきます。

キレイなジュエリーを見ていると、つい忘れてしまいますが、宝石には「経年変化」がありません。何十年、何百年経っても宝石は変わりません。もちろんルビーもです。

宝石ジュエリーは、着けて楽しみながら、いつか必ず、誰かに受け継ぐ時、手放す時が来ます。

その時のことを考えると、世代を越えて価値保存する、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーがおすすめです。

しかし、買う人にとっては、目の前にある宝石ルビーがどのようなものか?

見た目だけでは判断することは難しいと思います。

宝石の品質を見分ける方法が分かると、ルビーを探す時に、何を確認した方が良いのか?ポイントがつかめます。

「いいルビーを見せてください」というのと「天然/無処理/美しい/ミャンマー産/ルビー」を見せて下さいというのでは、お店側の対応も大きく違ってくるはずです。

ここでは、プロのジュエラーがルビーの品質を見分ける時に使う(モノサシ)と、そのポイントについて解説します。

Contents

宝石品質判定とは

ルビークオリティスケール

諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」

宝石品質判定とは、価値判断する時につかう「モノサシ」です。

宝石は、品質が高いから値段が高いのではなく、宝石としての価値が高い時に、購入する時の値段も高くなります。

例えば、同じ大きさ1ctのルビーが2つあったとして、最高品質(GQ)のものと、宝飾品質(AQ)のものでは、両方が天然無処理のミャンマー産ルビーでも、10倍ほどの値段の差になります。

また、最高品質(GQ)のスリランカ産ブルーサファイアとそこそこの宝飾品質(AQ)のミャンマー産ルビーが同じぐらいの値段です。

その値段の差が分かるのは、基準(モノサシ)があるからです。

「宝石ルビーの品質を見分ける方法」では、東京上野の国立科学博物館で開催された特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」を監修された諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」の基準に基づいて解説します。

宝石の価値を決める三大要素

まず宝石の価値は、以下のの3つの要素で決まります。

  • 宝石の品質
  • 需要と供給のバランス
  • 伝統と慣習

例えば、同じようにみえる「天然ルビー」でも、品質が違えば、価値が100倍違うなんてことも珍しくありません。

品質はその宝石の値段に一番大きく直接関係しますので重要です。

ルビーの品質判定

ルビーの品質3ゾーン

諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」

ルビーの品質を見分ける目的は、GQ最高品質JQ高品質AQ宝飾品質の3つに分けて、それぞれの「相場」を把握することです。

まずは、以下の情報によって使うクオリティスケール(モノサシ)を決めます。

  • 天然ルビー? 人工合成石? 類似石? 模造石?
  • 無処理かどうか、処理されているとしたら、その度合いはどうか?
  • ミャンマー産? タイランド産?

同じ天然ミャンマー産ルビーでも、無処理なのか、加熱処理されているのか?によって使うクオリティスケールも違います。

クオリティスケールが決まったら、そのルビーが、美しさS,A,B,C,Dの5段階、色の濃淡 #7~#2を別々に確認します。

図のように、GQ最高品質JQ高品質AQ宝飾品質の3つのゾーンが自動的に決まります。

最後に、3ゾーンとサイズによって価値比較表の相場を見ながら値段が決まっていきますが、その価値比較表については、需要と供給のバランスや伝統と慣習が影響を与えますので、また別の機会に。

ルビーの品質の見分け方

今回は品質の見分け方にフォーカスして説明します。

ご興味のある方は、宝石ルビーの価値判断をご参照ください。(リンク)

大前提として、すべての宝石は、個性であり同じものが世界に2つと存在しません。

それぞれの価値がありますので、「宝石品質判定」という目安を設けることで目の前にある宝石ルビー「おおよその値段」が分かります。

さて、それではルビーの品質判定で観る7項目について説明します。

  1. 宝石種
  2. 処理の有無
  3. 原産地
  4. 美しさ
  5. 色の濃淡
  6. 欠点
  7. サイズ

①ルビーの宝石種

最初のステップは、天然のルビーだと見分けることです。以下の4つの中かルビーを見つけます。

  • 天然ルビー
  • 人工合成石(人工的に合成されたもの)
  • 類似石(よく似た宝石)、
  • 模造石(似せて作ったモノ)

宝石種、天然ルビー(赤い天然コランダム、Al₂O₃)であることをしっかり確認しておく必要があります。これを鑑別といいます。

鑑別については、専門の機器や経験が不可欠です。

専門の業者があるので、そちらで鑑別してもらうのが一番簡単で、手軽な方法です。

費用はかかりますが、宝石種は一番重要な要素ですから鑑別依頼することをおすすめします。

信頼性の高い鑑別業者及び宝石研究所

  • スイスのGubelin Gem Lab (ルビーの研究では100年の歴史)
  • スイスのSSEF (ルビーの研究では50年の歴史)
  • 米国のGIA (ダイヤモンドのレポートで有名だが、最近ではルビーも鑑別)
  • 日本の中央宝石研究所 (世界的にも知られる北脇博士が研究)

②ルビーの処理の有無

価値の高いルビーを探す場合には、処理していないルビーが良いでしょう。

その理由は、希少性が全く違い、宝石ルビーの価値に大きく影響を与えるからです。

無処理で美しいものと人為的に美しさを改良するために処理をしたものでは産出の絶対量が雲泥の差、比べるまでもありません。

一般的に流通するルビーのほぼすべてが人為的に品質を改良されたものです。

ルビーに多い処理は以下の5つです。

  • 加熱処理
  • 鉛ガラスなどを含侵させる処理
  • 表面拡散処理
  • 充填処理
  • 含侵処理

受け継いでゆくことを考えると天然無処理のモノが良いでしょう。

30年前までは、加熱による色調と色の濃淡を改良する処理でした。

しかし、近年では、鉛ガラスを加えて加熱するなどにより、透明度まで改良することもできるようになりました。

人為的に供給する量が増やせる技術が発達することで、安価にルビーの美しさを楽しむことができるのは良いことです。

しかし、供給過多の状態になり、需要と供給のバランスに影響を及ぼしますので、注意が必要です。

処理の有無についても原産地と同じように、鑑別業者へ分析を依頼することが可能です。

ここで注意していただきたいのが、鑑別業者の発行する鑑別書には、コメント欄に、「No indication of heating」、「加熱された痕跡が認められない」と記述されているだけです。

しっかりとした研究を続ける研究所、鑑別業者で信頼性の高いのは下記の通りです。

ルビーの分析で世界的に信頼性が高い研究所

  • Gubelin Gem Lab
  • SSEF
  • GIA

日本では、

  • 中央宝石研究所
  • GIA 日本支社

しかし、鑑別書(分析結果報告書)は、品質を保証するものではなく、参考資料であり、何年か経つと分析機器の進化などにより、同じルビーでも検査結果が変わることがあることを理解しておく必要があります。

価値の高いルビー、要するに天然無処理で美しいルビーであることを保証するのは、あくまでも、購入されるお店です。

鑑別書には「非加熱ルビー」とは書いていないのです。

売っているお店の名前で、品質の保証をしてもらうことが重要です。

すべてのモリスルビーは、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーのID番号と品質保証書が添付されます。

    ③ルビーの原産地

    最高品質のルビーであるピジョンブラッドを産出するのはミャンマーで、市場でも一番高く評価されています。

    同じ①宝石種、天然ルビーであっても、産出した場所(結晶した時の環境)によって性質に違いがあり、原産地によって市場の評価も違ってきます。

    産地の特徴は大きく分けて下記の3つに分けられ、ルビーとしての評価も、接触変成岩起源が一番高く、続いて広域変成岩起源、そして玄武岩起源の順番です。

    • 接触変成岩起源… ミャンマー、アフガニスタン、タジキスタン、ベトナム
    • 広域変成岩起源… スリランカ、モザンビーク
    • 玄武岩起源… タイランド、インド、カンボジア、マダガスカル、ケニア

    ミャンマー産ルビーが一番高く評価される理由は、結晶する時の環境が「接触変成岩起源」であり、ミピジョンブラッドの赤色を決める元素クロム(Cr)を多く含む地質地下40㎞の深いところで結晶したからです。

    ミャンマー産ルビーは、365nmの紫外線に対してクロムが反応して鮮赤色にまるで電源を入れたように輝きます。

    これはFluorescence(フローレッセンス)と呼ばれる性質で、ピジョンブラッドルビーの条件の一つです。

    ルビーの赤色には、クロム(Cr)と鉄(Fe)の割合が関係しますが、鉄分の多い地下20㎞と地殻とクロムの多い地下40㎞では結晶する時の環境が違うということです。

    原産地については、宝石種と同じように、鑑別業者へ分析を依頼することができ、専門的な機器を使った分析が可能です。

    産地については、専門の宝石研究所、鑑別業者に依頼して分析結果報告書(鑑別書)を取るのが良いでしょう。

    産地のトピック

    壮大な大自然のドラマがある、地球と生命が生んだ奇跡の宝石「ミャンマー産ルビー」のルビーの母岩は、カルシウム分が主成分の堆積岩が変成した接触変成岩です。

    約5億年前にカンブリア紀で生きた甲殻類やサンゴ、貝類などの生命のカルシウムが、現在のインド洋の海底に豊富に堆積していました。

    時が流れて、約一億年前に南極を離れて北上したインドが、海底に堆積したカルシウム分(堆積岩)をブルドーザーのように北に押し上げて行きました。

    約5000万年前からユーラシア大陸に衝突しました。

    インド側のプレートが、カルシウムの堆積岩と一緒に、ユーラシア大陸の下に潜り込むような形で沈んでいきました。

    世界最高峰エベレスト山は、このインドとユーラシア大陸の衝突が原因の造山活動です。山となって盛り上がったプレートと地下深くに沈んでいったプレートです。

    沈み込んだプレートと一緒に移動したカルシウムの堆積岩がマグマと接触して変成したのがルビーの母岩「接触変成岩」です。

    その時、地下40㎞でミャンマー産ルビーが結晶しました。

    そして、地下深い場所で結晶したルビーは、沈み側プレートのため、普通であればマントルまで沈み込んで溶けてなくなります。

    しかしヒマラヤ山脈の麓の極々一部に特別なエリアがあり、その結晶が地表まで上がってくる場所があります。それがモゴック、ナヤンのルビー鉱山です。

    (加熱処理を必要としますが、接触変成岩起源のルビーは、原石はモンスーでも産出します)

    カンブリア紀の生命は、海洋生物の進化によって弱肉強食の世界になっていて、海の中の生物はカルシウム分で甲羅をつくることで生き残りをかけた名残り、そのカルシウム分が海底の堆積していたこと。

    そして、インドが南極を離れ、南半球から北半球まで1年間に15㎝北上し、その先にはユーラシア大陸があったこと。

    そしてクロムが多い地下深くまで沈み側プレートにのって移動して結晶したルビーが、逆行して地表まで上がってきた場所があった。

    地球の活動と生命の痕跡が生んだ奇跡の宝石がミャンマー産ルビーです。

    フローレッセンスの鮮やかな輝きは、地球と命の象徴です。

    <母岩付きの写真を添付しておく>

    ④ルビーの美しさその1(色調、透明度、明度、彩度)

    ルビーの美しさについては、宝石品質判定のクオリティスケールを使うのが一番分かりやすいでしょう。

    <クオリティスケールの写真>引用元 諏訪会長に確認必要

    ルビーの美しさを観るときのポイント6点

    • 強い赤色とわずかに紫味を帯びた色調であるか
    • 透明度はどうか
    • 彩度はどうか
    • プロポーションはどうか(ルビーの美しさその2カット、研磨)
    • インクルージョン(内包物)が美しさを引き立てているか、または悪影響を与えているか
    • フローレッセンス(蛍光性)の有無

    紫外線365nmの長波光に鮮赤色に反応する性質、そして深紅で透明度が高く、色の濃い結晶に、シルクインクルージョンが絶妙な密度で内包されるなど、すべての条件が揃った最高品質を「ピジョンブラッドルビー」と呼びます。

    鑑定書に「ピジョンブラッドカラー」、「ピジョンブラッドレッド」とコメントされていることもありますが、それぞれの鑑別業者が独自の基準をクリアしたモノに対する参考意見であり、ここでいう「美しさ」を表すものではないことを理解しておいた方が良いでしょう。

    ④ルビーの美しさその2 (カット、研磨のスタイル)

    ルビーは結晶そのもので価値が決まります。

    カット研磨技術で価値が大きく変わるダイヤモンドとは違うところです。

    一般的な人為的な加熱処理などで美しさを改良したルビーは、ある程度、研磨のスタイル、プロポーポーションの良し悪しは価値に影響を与えます。

    希少性の高い、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーの場合、基本的にカットはせずに、研磨だけで潜在的な美しさを引き出します。

    産出した時の原石の形によってプロポーションが決まります。

    少し歪んだ形のルビーがあったとしたら、それは貴重な原石の結晶の生地をなるべく大きく残そうとした跡であり、美しさに悪影響を与えない限りは、そのルビーの個性として認識します。

    品質判定をする時は、そのプロポーションを基準となるスタイルに整えた場合に、どのくらいのサイズになるかを割り出した上で、クオリティスケールを使って判断することになります。

    ⑤ルビーの色の濃淡

    ルビーの色の濃さについては、宝石品質判定のクオリティスケールを使うのが便利です。

    色の濃さを判断する時には、色調や透明度、彩度などの「美しさ」の要素と分けて、黒から白のトーンで見分けると良く分かります。

    クオリティスケールでは、濃淡を#10が黒、#1を白に設定した10段階のモノサシです。ルビーは、#6~#5が最も良い濃さ、続いて#7と#4~#3の順番です。

    ルビーなのかピンクサファイアなのか?

    ルビーの場合は、#2と更に淡いものをピンクサファイアと呼びますが、その境目は、各鑑別業者によって判断が違います。

    ある鑑別業者ではルビー、別の鑑別業者ではピンクサファイアと宝石名が変わるところが紛らわしいところです。

    モリスでは、宝石品質判定の基準で、#2のものはピンキッシュルビーという独自の呼び方で呼びます。

    重要なのは、値段は品質で決まるものであり、呼び名ではないということです。

    ⑥ルビーの欠点

    ルビーを選ぶとき欠点を見抜く眼は非常に重要になります。

    見た目は立派なのに比較的安価なルビーによく見られるのが欠点です。

    • 破損の原因につながるフラクチャー(割れ欠け)があるもの
    • プロポーションが極端に悪いもの、例えば宝石の厚みが深すぎたり、浅すぎたりするものです。
    • ルビーの耐久性に影響するインクルージョン(内包物)があるもの

    これらの欠点を見分けるには、ある程度の経験が必要ですので、プロの宝石商(ジュエラー)に相談して確認してもらうことが大切です。

    ⑦ルビーのサイズ(大きさ)

    品質が同じであれば、ルビーの価格はサイズに比例します。

    より大きなルビーは、同じ品質の小さなルビーよりも高価になります。

    ただ注意が必要な点は、一般的には、カラット(重さ)だけを見てサイズを判断してしまうことです。

    ラウンド型のブリリアントカットが主流であり、重さと寸法がある程度決まっているダイヤモンドは、カラット(ct)である程度の大きさが分かりますが、ルビーの場合は違います。

    サイズは、縦/横/深さ(㎜)寸法と重さ(ct)の両方を確認して判断します。

    ルビーの価値を判断する(価値判断へリンク)➤

    次に3ゾーンGQ/JQ/AQに分けることで、それぞれの品質の相場があり、値段が適正であるかどうかを確かめることができます。(詳しくは、モリスのHP、宝石品質判定を参考にしてください)➤リンク

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