“本来の魅力を引き立ててあげたい” ジュエリー構想インタビュー
森:またシンギュラリティカットの構想の案がムクムクっとでてきましてね。このへちゃくむれ…これはこれでいいじゃないかと思ってしまったんですね。
諏:そうですね
森:これはカイエさんに頼んでみよう。この石を活かしてもらえる。
諏:ありがとうございます。この石は一つの面がまっすぐになっているんですよね。確かこれが斜めに上に持ち上がる感じで、横に3つお花をやると、その平たい面がカバーされるのでとても自然に。これもまた横から深いので横から見たときにたっぷり色が楽しめるように金属をえぐりました。ここも横のお花がついているですけど。ぺたっとつかないように、立体感をもって斜めに斜めにつけているですけど。
森:それでこれがいきいきした感じに。
諏:そうですね。生き生きした感じに。
森:僕、始めた見たときに生き生きしたように感じました。
諏:これはこう、きっちりした台形になっていては、ダメだったんですね。こういうへちゃむくれというか、お花を頭にのせて少し石がおめかししたような感じですね。…かわいい。
Concept
プロポーションが個性的なルビー、横から見るととても深いルビーです。石座の再度をたくさんえぐりルビーが側面からよく見えるようにしました。そしてガードルの面がひとつまっすぐになっています。そこに3つのお花のようなダイヤモンドをそえました。横から見たときそのダイヤモンドが立体感を生み出し、生き生きしたルビーリングに仕立てられました。お花を頭にのせてルビーがおめかしをしたようなイメージです。
22MYM004
- カラット 1.02ct
- Origin(産地) Mynmar
- Quality(品質) Jewelry
- Size(サイズ)mm 6.7/4.1/4.0mm
フェイスアップで見た時に、細かいモザイク模様のキラキラとした輝きが、奥の方から湧き上がってきて、見ているうちに結晶に吸い込まれそうな気がする不思議な魅力を持った天然無処理で美しいミャンマー産ルビーです。少し青みを感じさせるピンキッシュな色調と高い透明度、そしてなんといっても特徴的なのが、そのプロポーションです。フェイスアップで見た時は、長細いオーバル型だが、横から見た時にまるでロケットのような姿と正三角形に近いUFOのような形…オーバル型のクラウン側も少し首を傾げたような表情と極端に深いパビリオン側が特徴的なルビーです。サイズは、縦6.7㎜/横4.1㎜/深さは驚きの4.0㎜、重さは立派で存在感のある1.0~ctですが、この形は、原石が軸に対して縦に背の高い結晶だったことが理由です。大自然の造形美であるルビーの結晶の生地をなるべく大きく残そうとした結果、このような一風変わった形のルビーになりました。ルーペを使ってルビーの内側を覗くと、ミャンマー産特有の細いシルクインクルージョン、そして、結晶インクルージョンが、水槽の中に浮かんでいるクラゲのように見えてきます。この難しいルビーは、ジュエリーに仕立てる時に苦心します。キューレット側のサイズが大きすぎるので、普通の形のジュエリーに着けると腰高になってしまい収まりが悪くなります。悩んだ末にモリスルビーの変則的な形のルビーを最適な形に仕立ててくれる「カイエ」の諏訪由子さんにお願いしました。するとどうでしょう…見事に、このルビーが、最高に輝くスタイルにしてくれました。少し首を傾げたような形のオーバル型の凹んだ部分を活かして小粒なダイヤモンドを3つ並べてバランスを取り、そして腰高になってしまう深いパビリオン側をこのルビーの個性として、敢えて「みて下さい」といわんばかりに大きく隙間を取って、すこしベゼルを傾けて、パビリオン側から光が最大限に入るように工夫してくれています。個性的な形のルビーが、見事なジュエリーになりました。ルビーと会話できるのでしょうか?素晴らしいと思います。そして、このルビーを宝石品質判定のクオリティスケール上で見た場合、美しさは、「A」輝きがあり美しいもの、色の濃淡は「#4」のジュエリークオリティ(高品質)です。個性的なのに、どこまでも有機的で自然な感じが魅力的な指輪になりました。