宝石の種類と色【赤色石】ルビー・ガーネット・スピネル

自然の中から見出される鮮やかな赤色の透明結晶は、たとえ磨かれていなくても十分に美しく、おそらく古代の人々にとっては畏敬の念を抱かずにはいられない存在でした。

この記事では赤い色の宝石について詳しく解説していきます。

青い色の宝石についてはこちらで解説しています。

Contents

さまざまな種類がある赤色透明石

相性のいいルビー

ここでは赤色の宝石は様々な種類の宝石があります。

ここでは良く知られている赤色透明宝石6つを紹介します。

  1. ルビー
  2. レッド・スピネル
  3. レッド・トルマリン
  4. ガーネット
  5. レッド・べリル
  6. ジルコン

 

①赤色透明石【ルビー】

ルビーは赤い宝石です。その赤色が一番重要であることは間違いありません。

「ルビーの価値は色で決まる」「ピジョンブラッドカラー」「ピジョンブラッドレッド」など色だけを強調する風潮がありますが、色だけで、そのルビーの品質を見分けることはできません。

まず、大前提として、大自然の造形美である宝石ルビーは、唯一無二の個性です。

それぞれのルビーの色は、同じように見えても少しずつ違い、そして色以外の要素が影響して、色が良くても美しくないことがあります。

そしてまた、人為的に処理をして色を調整することはできますが、処理をしたものは、価値の高い宝石ルビーと評価されません。

ミャンマー産のルビーが最も高く評価されます。

ルビーの産地について詳しくはこちらから

②赤色透明石【レッドスピネル】

赤色のレッドスピネルはルビー同様、酸化クロムによる冴えた赤い色味の宝石です。

レッドスピネルは非常に魅力的な宝石ですが、色調がルビーとあまりにもよく似ているために、長い間ルビーの代用品として使われてきました。

スピネルのモースコードは8で宝石として十分な耐久性を持っています。

③赤色透明石【レッドトルマリン】

レッドトルマリンも古くから広く知られている宝石で「赤い石」を意味する「ルベライト」という呼称で親しまれてきました。トルマリンは和名である電気石の由来にもなっているように、わずかな加熱や摩擦でも、帯電することで知られ、ショーケース内で展示している間に埃を吸い寄せることもある。

④赤色透明石【ガーネット】

「ガーネット」は近似した化学組成で、同一の結晶構造を示す一連の鉱物グループ(族)の名称です。このグループには、色も外観も異なり、ジュエリー素材としてとして一般に用いられている多彩な宝石変種があります。

「赤ガーネット」にはMg+2とFe+2が主成分として含まれます。

2つの成分はあらゆる割合で混和することができ、連続的な固溶体を作っており、その量比は個体ごとに異なります。これらの組成比の範囲により3つの変種グループに分けています。

  1. パイロープガーネット (Mgを優勢とする)
  2. ロードライトガーネット(中間的な)
  3. アルマンディン・ガーネット(Feを優勢とする)

いずれの変種に属するかを決めるには、組織分析が最も確実ですが、一連の固溶体関係を作っているために、Feの増加にしたがい屈折率と比重が比例的に高くなるので、これらの特性値をもとにいずれの種類であるかを決定することができます。

⑤赤色透明石【レッド・ベリル】

1904年にアメリカ、ユタ州WhaWha地区で発見されたレッド・べリルは当初、小さなサイズのみで、ほとんど宝石として注目されなかったのですが、70年代になり、数カラットにおよぶカット可能な結晶が産出するようになって、新たに脚光をあびました。

⑥赤色透明石【ジルコン】

ジルコンは世界各地から産出されますが、ハイ・タイプのレッドジルコンの産地として古くからフランスが知られ、わずかに黄色味や橙色味を帯びた美しい赤色石を「ヒヤシンス」と呼んだ時代もありました。

赤色透明石および不透明石

「本ひすい」呼ばれるジェダイトについては緑色のイメージがあまりにも強いが、漢字ではそれぞれ赤と緑を意味する「翡翠」と書きあらわすように、異なるカラー・バラエティーが存在します。

レッド・ジェダイト

レッド・ジェダイトの最高のものは冴えた純色の赤が見事ですが、このような色は非常に稀で、普通はやや橙色や褐色味を帯びています。

カーネリアン

めのうの中で、一様な赤色のバラエティをカーネリアン、赤色の地に白色の縞が入った変種をサードオニックスと分類しています。

酸化鉄に起因する赤い色は天然の場合、橙色や褐色味を帯びているのが普通です。

ジャスパー

石英の中でも不純物を多く含み不透明になった、不均質な微晶質集合体がジャスパーです。

レッドジャスパーの色は酸化鉄に起因するため、レンガ赤色が一般的です。

宝石の色について

宝石の色は物体色で、宝石に光が当たって起こる反応を、人間の目が知覚して色を判断します。

光はX線、紫外線、赤外線、電波などと同じように電磁波です。

電磁波はその波長ごとにエネルギーが異なっており、また領域ごとに異なる名前がついています。

このうち、人間の目が感知できるのはごく一部で、波長400nm~700nmの範囲だけです。

これを可視光と呼びます。

太陽からの白色光は、赤色から紫色まですべての波長の光を含んでいます。この白色光が宝石の中を経過する際、すべての波長を透過すればその宝石は無色として見えます。

すべての波長を反射すれば白色に、そしてすべての波長を吸収すれば黒色に見えます。

また、すべての波長にわたり可視光線が等量吸収されると灰色にみえます。

これらが無彩色のグループです。一方、有彩色の場合には、その中の特定の波長が吸収され、残りの波長が透過あるいは反射され、残りの波長の複合が、その宝石の色としてあらわれます。これは、白色光の場合です。

同じ物体でも白色光とは異なる波長成分の光(光源)が当たると、宝石の色を違って見える。このように物体色を決定する光源の性質物体色を決定する光源の性質を演色性と呼びます。したがって、色の比較をするためには標準光源が必要になります。

一般に、光源の色は色温度であらわし、それを目安とすることが多いです。

宝石の場合も例外ではなく、ルビーやアメジストなどは、タングステン・ライトのように赤味の強い光源と、蛍光灯のように青色の強い光源では、まったく色調が異なって見えてしまいます。

宝石の色について詳しくはこちらで解説しています。

品質の見分け方

ここでは、品質の見分け方にフォーカスして説明します。

ルビーの品質判定をします。

大前提として、すべての宝石は、個性であり同じものが世界に2つと存在しません。

それぞれの価値がありますので、「宝石品質判定」という目安を設けることで目の前にある宝石ルビー「おおよその値段」が分かります。

品質判定で観る項目は以下の7項目です。

  1. 宝石種
  2. 処理の有無
  3. 原産地
  4. 美しさ
  5. 色の濃淡
  6. 欠点
  7. サイズ

「この記事の主な参考書籍・参考サイト」

  • 「ジュエリーコーディネーター検定2級 テキスト」著者露木宏、他20名共同著/発行:社団法人日本ジュエリー協会刊)
  • 「決定版 宝石」著者:諏訪恭一/発行:世界文化社
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