【宝石ルーペでの観察手順】宝石観察するときルーペは何倍がいい?

宝石の取引においては、現在も10倍のルーペによる宝石の観察が基本です。

さまざまな用途に応じて、各種の光学顕微鏡が開発されており、宝石鑑別においても、特別な機種の選択が必要とされる場合もあるが、日常的な検査には 10倍~40倍程度の宝石顕微鏡が有効です。

この記事では宝石をルーペーで見る方法や、光学顕微鏡について解説していきます。

Contents
商品の購入・ルビーに関するご相談は店舗まで
>> 来店のご予約・お問い合わせはこちら <<

宝石に対して使用するルーペ

ジュエラー

ルビーひとつ、ひとつをルーペで確認しています

宝石に対してルーペを使用する場合、抑えるポイントがあります。

実際に使ってみたいけど、使い方がわからない方が以外と多いのではないしょうか?

ここでは、宝石鑑別用ルーペの選び方と使い方のコツについて解説します。

ルーペの選び方と使い方

宝石鑑別用ルーペの倍率は、10倍がおすすめです。

倍率が高すぎると目が疲れやすくなったり焦点が合わせづらいことがあります。また、ダイヤモンドのクラリティの鑑定に使われるのも10倍ルーペです。

宝石鑑定用ルーペの使い方

ルーペーの使い方を順序ごとに解説します。

  1. ルーペは利き手で持つ
  2. 両目で見る
  3. 脇をしめて手を固定する
  4. 顔にルーペーを固定し、宝石の方を動かす

①ルーペは利き手で持つ

ルーペは利き手、ピンセットは逆の手で持ちます。

ピンセットを持ちながら、メモを取ることもできます。ピンセットを利き手とは逆の手で持つのは最初はなかなか慣れないですが、何度か練習するとできるようになります。

②両目で見る

小さな対象物を見る際、片目を閉じてしまう方もいますが、一般的に宝石を見る際、両目を開けています。

③脇をしめて手を固定する

ルーペーやピンセットを持つ手がぶれないように、脇をしめて手を固定します。

机に両肘をつくとより固定しやすいです。

④顔にルーペを固定する

ルーペは顔に固定して、対象物をルーペに近づけるようにすると焦点が合わせやすいです。

ルーペの前に宝石を持ってきてピントが合うところでとめます。距離はおおよそ2cm程度です。

実際にやってみると、想像以上に近づけるイメージです。

最初は上手く使えなくても使っている内に段々慣れてきます。宝石内部が見えると、その宝石の個性や特徴をより深く知れることができ、愛着も増すのではないでしょうか。

宝石を見る顕微鏡について

シルクインクルージョン

宝石の拡大検査には様々なテクニックがあります。宝石の内部を拡大してみると宇宙のような景色が広がっています。

ルーペだけでなく、宝石の外部および内部特徴を詳細に検査するためには、光学顕微鏡が必要になり、倍率の高さより、むしろ適切な照明法と適当な付加的テクニックを用いることで、それぞれの宝石の特徴の観察が容易になります。

今日では、それぞれの物質の観察目的に応じて、多種多様な顕微鏡が開発されている。

日常的な宝石鑑別においては以下の数種が使用されるが、いずれの場合でも試料を立体的に観察するには、 双眼タイプが望ましい。

1)宝石顕微鏡 

一般の生物顕微鏡と基本的な光学系は全く変わらない。しかし、宝石の内部および外部の観察を目的とするため、ほとんどは数倍から80倍程度までの拡大率に 設計されている。また、宝石の内部特徴を全体から細 部にわたるまで捕らえるためには、固定式よりズーム 式変倍対物鏡を備えたタイプが便利である。

さらに、宝石用顕微鏡はいわゆる限外顕微鏡の1タイ プで、最も特筆すべき点はその照明法にある。宝石内 部のごく微細なインクルージョンやレリーフの低い成 長構造などは、一般の光学顕微鏡の透過照明では明る 過ぎて見づらいが、遮光板により一度光路を遮り、光源からの光が検査石の周囲から斜めに当たるように考 案された暗視野照明 Dark-field illumination のもとでは、観察が容易になる。これは、映画館の映写光路やカーテンの隙間から漏れる光の中では埃の粒子がはっきりと見える、いわゆる“チンダル現象 Tyndull phenomenon”の 原理と同じで、光を散乱して輝く微小物質は暗い背景の中でコントラストがより強調され、低倍率下でも充分な解像力が得られる。

2)偏光顕微鏡 

偏光顕微鏡には、ポラライザーとアナライザーの2枚の偏光板以外にも、方位を示す目盛付の回転ステージ、 抜き差し可能な収斂偏光を得るためのベルトラン・レ ンズなどが内蔵されており、鉱物学の分野では広く利 用されていることから、鉱物顕微鏡ともよばれる。岩 石の薄片試料を偏光顕微鏡下で観察すると、それぞれ 特有の干渉色が見られ、鉱物種の同定の一助となる。

また結晶についても干渉像を得ることで、一軸性か二 軸性の判定、さらには正号または負号など、さまざま な光学性を知ることができる。

宝石の場合、このような光学性の決定以外にも、双晶 面や内部歪などは直交偏光下でより明瞭に観察できる ことから、時として重要な情報源になることがある。

3)微分干渉顕微鏡 

微分干渉顕微鏡はその用途から分類すると位相差顕微 鏡に類似している。つまり、ごくわずかに厚さや屈折 率が変化している微小領域および微細構造の観察に適 している上、さらにわずかな凹凸にも鮮やかな干渉色 が現れるので、位相差顕微鏡に較べ立体的な像を得ることができる。しかもÅ単位のステップや次第に高低 差が変化する斜面をなす構造に対しても有効であり、宝石表面のコーティング膜や充填物などの観察に適し ている。

さらに、ノマルスキー微分干渉顕微鏡は、結晶方位が定められた2枚の水晶を張り合わせたノマルスキー・ プリズムを外すと、偏光顕微鏡あるいは暗視野顕微鏡 としても使用できる。

商品の購入・ルビーに関するご相談は店舗まで
>> 来店のご予約・お問い合わせはこちら <<

各種照明法

宝石鑑別においても、ラボ・ワークでは目的に応じて 種々の顕微鏡が使用されるが、ルーティン・ワークの 中心となるのが宝石顕微鏡による観察であり、内部特徴の正体を的確に捕らえるための適切な照明テクニッ クが重要となります。

1)暗視野照明法 

インクルージョンの観察の際には、宝石顕微鏡の最大の特徴とも言えるこの照明法が基本です。ほとんどのケースでは、暗い背景の中に 明瞭なレリーフで浮かび上がるインクルージョンの色、形態あるいは分布状態を詳細に観察することで、拡大検査の目的を充分に達することができるはずである。

インクルージョンについて詳しくはこちらから

2)透過照明法 

生物顕微鏡では一般的な、光源からの光を直接試料に透過させるこの照明法では、インクルージョンなどが むしろ明る過ぎる視野の中に隠されてしまうために、宝石の観察ではごく特別な例を除いては用いられません。

例えば、透明度が高くリーザード・スキンが不明瞭な 合成オパールなどは、透過照明下での拡大により石 表面に特徴的なさざなみ状構造が容易に観察される。

3)斜光照明法 Oblique illumination

一般に宝石顕微鏡には偏斜装置が付けられており、暗 視野照明と斜光照明をスイッチで切り替えることがで きるのも特徴のひとつである。

主として斜光照明法は半透明および不透明石の拡大検 査で使用されるが、この他、透明石の表面特徴の観察や、 充填あるいは含浸処理の看破にも役立つものである。

4)拡散照明法 Diffused illumination

暗視野照明下ではコントラストが不明瞭な色帯あるいはカーブラインなども、表面がザラザラとした曇りガ ラス状の平板をステージ上に置くことで乱反射を起こさせ、拡散光のもとで観察するとその分布がより明ら かになる。また、この方法で表面拡散処理サファイアを観察すれば、ファセット・エッジの色溜りがはっきりと見られる。

5) ピン・ポイント照明法 Pinpoint illumination

ハロゲン光源などに接続したグラス・ファイバーをライト・ガイドとして使用することで細い光束が得られ る。濃色石中の小気泡や微小物質の発見には、適切な方向からのピン・ポイント照明は非常に効果的である。セットされた宝石の観察には、細いファイバー を利用したこの照明法を用いれば、一般の照明法では不足しがちな光量を補うことができる。

6)偏光照明法 Polarized illumination

2枚の偏光板を宝石顕微鏡のステージ上および鏡筒の先にそれぞれ取付け、クロス・ポジションの状態にす れば偏光照明が得られ、偏光顕微鏡下での観察同様、内部歪や双晶面などが干渉により明らかにされる。

7)陰影照明法 

下方からの照明光と観察試料との間に、黒色板を挿入し、適当なポジションまで少しずつ移動させてゆくと、インクルージョンをより立体的に観察できる。

とくに、インクルージョン写真の撮影時などには効果的な方法である。

その他一液浸法

カットされた宝石のほとんどは、適切な照明法を選択することで充分に内部特徴を観察することができるは ずである。しかし、研磨不良、摩耗などにより表面が 荒れている場合、彫刻など意匠のためにマットな仕上 げが施されている場合、そして原石や結晶などの場合 には、液体を満たした水平な底面を持つ透明な容器(セ ル)をステージ上に置き、その中に検査石を浸漬すると、表面からの乱反射を防いで内部特徴の観察が容易になる。

また、非常に不明瞭な色帯、成長線あるいはカーブラ インのような内部構造の観察に際しても、同様のテク ニックを用いるとよい。

効果的な液浸法のポイントは、それぞれ検査石の屈折率に近似した液体を選ぶこと、そして歪みのない容器 を用いることであります。

この記事の主な参考書籍

●「宝石 小宇宙を科学する1 主要宝石の世界」著者志田純子/発行全国宝石学協会

まとめ

この記事では宝石をルーペーで見る方法や、光学顕微鏡について解説していました。

モリスではルビーを見分けるセミナーなども開催しています。

ルーペの使い方もご案内しておりますで、セミナーについて詳しくは、各店舗にお問い合わせください。

Contents
閉じる