ルビーを購入する際のポイントと本物の見分け方を解説

ルビーは美しい赤い宝石です。

ルビーの購入は、宝探しをするつもりで相性の良い「好きなルビー」を探してください。一番大切なのは、「誰から買うか?」ということです。しっかりと目の前のジュエラー(宝石商)と話をして、ルビーのことについて説明を受けて下さい。
そのためにも、ご自身でも購入する前にいくつかの重要なポイントを理解することが大切です。

この記事では、ルビーを購入したいと考えている方に向けて、ルビーを手に入れる場所や、購入時に気をつけたいポイントと本物の見分け方を解説します。

Contents

ルビーを購入できる場所は?

ルビーは、さまざまな方法で購入することができます。

  1. 宝石店やジュエリーショップ
  2. オンラインジュエリーショップ
  3. 宝石展示会
  4. オークション
  5. 旅行先

    ①宝石店やジュエリーショップ

    宝石店

    宝石店やジュエリーショップは、宝石を購入するのに最も一般的で、信頼性の高い場所の一つです。

    専門家がルビーの品質や特性についてアドバイスを提供してくれます。

    お店に行ったら以下の手順でやってみましょう。

    1. まずルビーを手の上に乗せて、ジュエリーに装着されている場合は実際に試着してみる。
    2. 「好きかどうか?」という視点で選ぶことが先決
    3. 好きなルビーが見つかったら、そのルビーの品質について詳しく説明を聞いて、なぜその値段なのか?を理解する

    以上が購入する際の正しい方法です。

    品質の高いルビーを安く買うことは難しいということも頭においておく必要があります。

    天然宝石は、唯一無二の存在です。注意するべき点は、品質が高いから「好きなルビー」、要するに相性の良いルビーとは限らないという部分です。

    ルビーの価値についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

    ②オンラインジュエリーショップ

    オンラインジュエリーショップは、便利で幅広い選択肢を提供していますので、アクセサリーなどの購入には非常に便利です。

    しかし、信頼性や画面を通して気に入ったルビーとの相性を確認することが非常に難しいので、高額なルビーの購入には、おすすめできません。

    信頼性のあるオンライン宝石店を選ぶために以下の点に注意しましょう。

    • 評判や評価を確認し、実績のあるショップを選ぶ。
    • ルビーが購入後に期待と異なる場合に備え、柔軟な返品ポリシーを提供するショップを選ぶと安心
    • 信頼度の高い鑑別業者が発行した鑑別書(分析結果報告書)の添付を確認することが重要(信頼度の高い鑑別業者とは、ルビーの場合は、スイスのGubelin Gem LabかSSEFが安心です。日本国内での分析の場合は、GIAもしくは、中央宝石研究所の分析が参考になります。)

    ③宝石展示会

    宝石展示会は、宝石愛好家やコレクターにとって魅力的な場所です。

    ここでは多くの宝石商が一堂に会し、多彩なルビーを見比べることができます。

    展示会に行く前に、ルビーに関する以下の基本的な知識を習得して品質に影響する要素を確認しましょう。

    基本的な知識

    1. ルビーの処理の有無
    2. ルビーの原産地
    3. ルビーのサイズ、色調、透明度、彩度、プロポーション等

      展示会では多くのルビーが展示されますが、ルビーの品質判定と価格についての知識が必要です。

      展示会では専門家が質問に答えてくれることが多いため、気になることは質問してみましょう。

      ④オークション

      オークションはルビーを入手する方法の一つです。

      しかし、品質の良くないルビーが出品されている場合もありますので、オークションで購入する際は、プレビューで、品質の確認を購入者の責任で行う必要があり、それには、知識と注意が必要です。

      オークションの注意

      • 入札前にルビーの品質と来歴をよく確認する
      • 詐欺や偽物の宝石を売る場所を避け、信頼性のあるオークションハウスでの取引を優先する
      • オークションハウスやプラットフォームの評判と信頼性も考慮する

      有名なオークションハウスとして国際的には、Sotheby’sやChristie’s、日本国内では、毎日オークションなどが知られています。

      ⑤旅行先

      • 本物のルビーではない偽物の可能性に注意する
      • 違法な宝石取引に注意する。
      • 地元の法律と規制に従う必要があるので注意する

      ルビーを旅行先で購入する場合、現地の信頼できる宝石商を探すことは非常に困難であること、品質保証の問題、返品が困難であることなどから、お土産程度のお買い物が良いでしょう。

      希少で価値の高い本物のルビーを購入するには?

        希少で価値の高い本物のルビーを購入するには、ルビーの価値判断できる人を探すということが一番です。

        市場には「ルビー」という商品名で、色々な品質のものが出回っています。

        希少で価値の高いルビーを購入するには、どうしたら良いのか?人の手で作ることができない大自然の造形美である宝石ルビー、それも希少で価値の高いものを探すには、まず「価値を見分けられる「人」のいるお店を探すことが重要です。

        価値を見分けられる人のいるお店を探すには?

        1. 価値を見分けるには、そのルビーの品質判定ができるかどうか?を確かめるのが一番の近道です。
        2.  ご自分でルビーを持っている場合は、そのルビーをお店に持って行って、品質と価値(時価)の説明を聞くことが一番の分かりやすい方法です。
        3. その時にさっとルーペや鑑別道具を出してきて応えてくれる人、そのルビーの値段を査定できる人は、ルビーの価値判断ができる信頼できるジュエラーです。
        4.  その時に「鑑別書はありせんか?」と聞いてくるようであれば、自分の眼で価値判断できる人ではありませんので、そこが目安になります。

        ルビーの価値判断には豊富な知識と経験が必要です。大きなお店、有名ブランドであっても、ルビーの価値判断ができるとは限りません。

        ルビーを購入する目的を決めておくことが重要

        ルビーを購入する時に、大変重要なポイントがあります。

        それは宝石ルビーには「使用価値」と手放す時の「交換価値(資産価値)」の二種類の価値があるということです。

        ルビージュエリーを身に着けてその美しさを楽しむ、または、ブランド品をつける満足感を楽しむのが「使用価値」、そしていつか手放した時に値段がつく「交換価値(資産価値)」は違うものです。

        購入する目的を明確にしておくとよいでしょう。
        ここでは、いつか手放した時に値段がつく「交換価値(使用価値)のあるルビーを購入するときの注意点をお話します。

        購入時にはそれほど変わらない価格で購入した2つの天然ルビーなのに、手放す時に100倍近い値段の差が生じることがある

        それは、品質が違ったからです。「天然コランダム、宝石名ルビー」鑑別書には、そう記載されている2つなのに、なぜ、そうなるのか?

        これは、商品名が同じルビーであっても品質が違うからです。

        特に査定に響くポイントを3つ紹介します。

        • ポイント①同じルビーだが、処理の有無に違いがある
        • ポイント②同じルビーだが、原産地が違う
        • ポイント③同じルビーでも、品質が違うと大きな価値の差につながる

        ポイント①同じルビーだが、処理の有無に違いがある

        見た目の美しさが同じでも、その美しさが天然無処理であるものか、加熱処理など人為的に美しさを改良されたものなのかによって、宝石としての価値は大きく違います。

        理由は、鉱山で産出する割合が全く違うこと、そして処理をする技術が日進月歩で進化しているからです。

        産出量が毎年減っていく天然無処理で美しいルビーと、加工技術の向上で毎年増えていく処理をしたルビーの取引価格は、この20年でも大きく乖離しました。

        宝石の価値は、需要と供給のバランスに大きく影響されます。

        ポイント②同じルビーだが、原産地が違う

        • A)玄武岩起源であるタイランド、インド、カンボジア、ケニア、タンザニアなど
        • B)広域変成岩起源のスリランカ、モザンビークなど
        • C)接触変成岩起源のミャンマー産ルビーなど

        A)B)のルビーは、長波の紫外線を照射したときの反応が弱いか、無いのに対してC)のルビーは、鮮やかな赤色に蛍光反応します。理由は、ルビーを赤くする着色要因であるクロムが反応するからです。

        地球は、地下20㎞以深の場所にはクロムが多く、浅いところは鉄分が多い地質的特徴があります。大陸移動によってインド側、沈み込む側のプレートと共に地下40㎞まで深いところに移動し、マグマと接触し結晶するミャンマー産ルビーの着色要因は、ほとんどクロムだけですが、それに対して、その他の産地は浅いところで結晶するためクロムと鉄の両方が入って赤くなります。

        ピジョンブラッドレッド呼ばれるルビーの条件

        鉄分は紫外線を吸収するために蛍光性が弱くなります。

        スイスのGubelin Gem Lab SSEFなどの国際的な研究機関でピジョンブラッドレッドと呼ばれるルビーの条件のひとつに、この蛍光反応が強いことがあります。

        他の宝石も産地によって評価が変わる

        これは、ルビーだけでなく、サファイアもエメラルドにも言えることです。サファイアの例では、同じ品質のカシミール産とオーストラリア産で値段が100倍違うことがあります。原産地を確認しておくことはとても大切です。

        ポイント③同じルビーでも、品質が違うと大きな価値の差につながる

        宝石品質判定は、宝石種、原産地、処理の有無、美しさ、色の濃淡、欠点、サイズの7項目を確認して、品質を下記の3つのゾーンに分けます。

        1. GQジェムクオリティ(最高品質)
        2. JQジュエリークオリティ(高品質)
        3. AQアクセサリークオリティ(宝飾品質)

        それぞれのゾーンには、需要と供給のバランスから生まれる相場があり査定をする上で、この作業は不可欠です。GQJQでも2~3倍、GQAQでは、10倍以上の価値の差があり、査定する時に提示される値段も大きく違ってきます。品質判定をしてからルビーは購入する方が良いでしょう。

        家宝として受け継ぐ場合、この価値の違いは極めて重要です。お宝だと思って大切にしていたものが、ニセモノだった…と受け継ぐときに分かると、元持ち主の方の思い出にキズがついてしまいます。

        *実際にあったヒスイの話

        キレイな箱に何重にも布で包んだ状態で大切に保管されてました。取り扱いも家宝に相応しい丁寧なモノでした。お見せいただいて鑑別したら、緑色のガラスでした。それをお伝えした瞬間に、皆さん尊敬していたはずのおじいさん(持ち主)の悪口を口にされました。そして布に包まず、そのまま袋の中にポイっといれてお帰りになりました。寂しい気持ちでした。ルビーの場合は、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーがおすすめです。

        非加熱ルビーと天然無処理ルビーと何が違うのか?

        同じような言葉ですが、重要なところが大きく違います。ルビーの処理には、加熱処理をはじめ表面拡散処理、含侵処理、充填処理等があります。

        加熱だけがルビーの処理ではないからです。それを踏まえたうえで、注意するべき重要なポイントを解説します。

        • 鑑別諸(分析結果報告書)には「加熱処理していない」とは記されていない。
        • 鑑別機関のガイドラインは変わることがある。
        • 品質を保証してくれるお店かどうか
        • モリスが品質保証書を発行できる理由

        鑑別諸(分析結果報告書)には「加熱処理していない」とは記されていない。

        加熱処理について、よく勘違いするのが、鑑別業者が発行する鑑別書(分析結果報告書)に「No indication of heating」=「加熱処理された痕跡が認められない」とコメントされているルビーを無処理だと思ってしまうことです。

        業界では「非加熱ルビー」と呼び販売されており、非常に分かりにくいのですが、どこにも「加熱処理していない」とは記されていないのです。

        あくまでも第三者の意見であり、品質を保証するものではないことを理解しておくことです。

        鑑別機関のガイドラインは変わることがある

        鑑別協議団体が決めたガイドラインに沿った分析をした結果をコメントするものですから、全く分からないよりは安心できますし、数万円の金額で何千万円、何百万円で販売されるルビーの分析をしてくれる鑑別業者に品質保証まで責任を負ってくれというのは、少しかわいそうだと思います。

        そして同じルビーでもガイドラインが変われば鑑別結果も変わります。何年か経って、もう一度、鑑別に出したら、次は「加熱された痕跡がある」というコメントに変わることも実際にあります。

          品質を保証してくれるお店かどうか

          交換価値(資産性)をルビーに求める方は、買うときに、天然無処理であるという品質保証書をそのお店の名前で発行してもらうのが安心です。

          そして、何か問題があったら、しっかりと無処理である理由を立証して貰えるようにしておくことです。

          モリスが品質保証書を発行できる理由

          モリスが品質保証書を発行できるのは、自分たちで原石を採掘し、自分たちで研磨し、自分たちで加熱処理実験を続けたからです。

          自社で採掘したサンプルを使った加熱処理の実験、検証は、20年前から行っています。

          また、分析結果の精度向上のためにスイスのGubelin Gem Labへの研究用のサンプル石の提供も行っています。

          すでに自社が保有するインクルージョン(内包物)の顕微鏡拡大写真の撮影データは、5万石を超えています。

          それでも未だに、良く分からないルビーが出現して困ることがあります。

          その場合は、残念ながら、お客様にお届けしないという選択しかありません。

          処理の有無の判断と保証は簡単ではありません。

          ルビーの購入失敗エピソード

            21世紀初頭、ニューヨークのアンティークジュエリーショーで、偽物が販売されたエピソードがあります。
            有名なジュエリー店の刻印が入った18金の台に1ctの美しいルビーがセットされたリングが販売され、出展者も信頼のおける人物であったにもかかわらず、後でこのルビーの真贋を評価すると、その宝石は合成ルビーであることが判明したそうです。
            出展者自身もその事実に気づいていなかったようで、返金されたようですが、こういった出来事が起こるほどに、詳しい人でも、ルビーはその宝石自体を見分ける眼、経験、知識が無ければ見分けるのが難しいのです。

            まとめ

              ルビーの購入は、宝探しをするつもりで相性の良い「好きなルビー」を探してください。

              ルビーを購入するときに一番大切なのは、「誰から買うか?」ということです。

              しっかりと目の前のジュエラー(宝石商)と話をして、ルビーのことについて説明を受けて下さい。

              その人の眼ではなく、他の人が見た書類が出てきたら要注意です。

              そして買うときは、実際に身に着けてみて「好き」なルビーを選んでください。

              その後で、品質の話を詳しく聞いて、なぜその値段なのか…の説明を受けることです。

              その話が納得出来たら、好きなルビーは、無理をしても買うべきでしょう。なぜなら、それが「あなた」の唯一無二のルビーだからです。

              それを見逃すと、もう二度と好きなルビーは見つからないと思います。

              それだけ相性の良いルビーと出会うのは難しいことです。

              だから「私のルビー」に出会えたときの喜びは、何にも代えがたいものです。そして大切に使ってあげて下さい。

              「好きなルビー」は、いつの日か「あなた」を表現するアイコンのような存在になっていきます。

              そして交換価値のあるルビーは、万一の時にお金に換えることができる「財」であり、その価値は世代を越えて保存されます。

              自分が居なくなった時に、このルビーは誰が愛用するのだろうか?と考えられるようになったら、それはあなたとあなたと関係のある皆さんの「家宝」になっています。

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