ルビーの品質を判定する項目のひとつである「サイズ」の中で、大きさに関わるのが「カラット」です。
1カラットのルビーに憧れている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、1カラットのルビーのサイズのほか、大きさ以外に重視すべき品質のポイントなどをご紹介します。
ルビーの1カラットの大きさは?
ルビーの1ctのカラットサイズは 6.2×4.8です。
ルビーには形状の個体差があるため、正面からみた大きさ(カラットサイズ)個体によって石の厚みが大きく異なることもあります。
下記に詳しく解説していきます。
カラットサイズとは?
カラットサイズは、宝石のフェイスアップの大きさです。パビリオンをもつカットの標準的なプロポーションのカラット(重さ)を指標とします。
直径や横幅に対する深さの比率が高いものはフェイスアップが小さくなります。
ルビー(比重:4.00)カラットサイズ(ナツメ出版 起源がわかる宝石大全より引用)
16×12 14ct
14×11 10ct
12.5×9.5 7ct
11×8 5ct
9.5×7.5 3ct
8.5×6.5 2ct
7.5×5.5 1.5ct
6.2×4.8 1.0ct
5.0×4.0 0.5ct
4.0×3.0 0.2ct
1カラットは200ミリグラムに相当します。記号は「ct」「car」で表記します。これは、各国ほぼ共通したものになっています。
日本でカラットが採用されたのは明治42年(1909年)11月11日です。
カラット以下の単位は【ポイント】
カラット以下の単位もあります。「ポイント」といいます。1ポイントは2ミリグラムで、1カラットは100ポイントです。
カラットの語源
カラットの語源は、アラビア語の「quirrat」とか、アフリカやインドなどで古くからあった軽量に使うおもり、「カロブ」、また、ギリシア語のイナゴ豆を意味する「keration」とか複数説があります。文献等で多く触れられているのはイナゴ豆です。
イナゴ豆を乾燥させると、その重さが約0.2グラムで、かつ、豆の大きさも一定していたため、宝石を量る天秤のおもりとして便利に使われたためとされるものです。
宝石とサイズ
宝石にとってサイズは重要です。
長年にわたって宝石のサイズ表示は重量(カラット1ct=0.2g)で行われてきました。
宝石はその特性ゆえに正確に寸法を測るのが難しかったため、同一性の確認に「カラット」が使われてきたと考えられています。
カッラト数が同じでも個体差があるから注意が必要
カラットはサイズと同一ではないが、一般的にカラットをサイズと見なしている面もあります。
そこで注意しなければいけないのが形状の個体差です。固体によっては石の厚みが大きく異なるので、仮に正面から見た大きさ(カラットサイズ)が同じカラーストーンがいくつかあったとして、厚い石は8ct、薄い石は4ctというケースもありえます。
宝石種によって小粒しか産出しないもの、大粒が採れるものなどさまざまですが、美しさのポイントとは、宝石種によって異なるため、ルビーやサファイアなどのカラーストーン(色石)とカラーレス・ダイヤモンドとでは異なります。
カラーストーンは色と透明度の高さがポイントとなるが、ダイヤモンドは強い輝きや分散光が重要です。
宝石のサイズは品質判定でも重要項目
大前提として、すべての宝石は、個性であり同じものが世界に2つと存在しません。
宝石のサイズは、宝石の品質を判定する際にも大切になります。
それぞれの価値がありますので、「宝石品質判定」という目安を設けることで目の前にある宝石ルビー「おおよその値段」が分かります。
さて、それではルビーの品質判定で観る7項目について説明します。
- 宝石種
- 処理の有無
- 原産地
- 美しさ
- 色の濃淡
- 欠点
- サイズ
宝石品質判定とは、価値判断する時につかう「モノサシ」です。
宝石は、品質が高いから値段が高いのではなく、宝石としての価値が高い時に、購入する時の値段も高くなります。
例えば、同じ大きさ1ctのルビーが2つあったとして、最高品質(GQ)のものと、宝飾品質(AQ)のものでは、両方が天然無処理のミャンマー産ルビーでも、10倍ほどの値段の差になります。
また、最高品質(GQ)のスリランカ産ブルーサファイアとそこそこの宝飾品質(AQ)のミャンマー産ルビーが同じぐらいの値段です。
その値段の差が分かるのは、基準(モノサシ)があるからです。
「宝石ルビーの品質を見分ける方法」では、東京上野の国立科学博物館で開催された特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」を監修された諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」の基準に基づいて解説します。
宝石の価値を決める三大要素
まず宝石の価値は、以下のの3つの要素で決まります。
- 宝石の品質
- 需要と供給のバランス
- 伝統と慣習
例えば、同じようにみえる「天然ルビー」でも、品質が違えば、価値が100倍違うなんてことも珍しくありません。
品質はその宝石の値段に一番大きく直接関係しますので重要です。
ルビーの品質は判定について詳しくはこちらから
ルビーの比重
ルビーの比重は4.02です。
その他の宝石の比重
- ダイヤモンド比重3.52
- サファイヤ比重4.00
- エメラルド比重2.72
- クリソベリル比重3.73
- ガーネット比重3.6~4.1
- トパーズ比重3.53
- アメシスト比重2.66
密度と比重
ここではより詳しく鉱物の密度と比重について解説していきます。
密度とは単位体積あたりの重量です。
比重は、基準物質(一般的には1000hPa、4℃での、空気などが溶け込んでいない純粋な水)との密度比率です。
密度と比重はほとんど同じ値ですが、厳密には異なったものです。
比重は単位の内数値で便利なため、鉱物のデーターを示すときには、よく用いられます。
鉱物種の判定の手がかりになる
密度は、鉱物種を定義する化学組成や、結晶構造と密接に関連しています。
ひとつの鉱物種は一定の化学組成と結晶を持つので、おのずと一定の密度を示します。このため、密度は鉱物の重要な記載項目の一つとなっています。
鉱物の比重は、水に浮く琥珀のように1を下回るものから、自然白金のように20を上回るものまで幅広く知られています。
密度の測定法
密度は、重さと体積を正確に測定できれば算出できます。
一般的な体積の測定法は、液体に試料を沈めて、試料の体積に相当する液体の体積を測定する方法です。
相当する液体の体積は、液面の上昇幅からの換算や、あふれる液体の体積の測定により求められます。
密度の測定のために、ピクノメーターと呼ばれる専用ガラス容器や、空気中と液中の重量を量れる秤量天秤が考案されています。
密度は、結晶の単位格子の体積とそこに含まれる原子の総重量からも計算ができます。
密度の高い鉱物
密度の高い鉱物には、原子番号の大きい重元素が多く含まれていると考えられます。
また同じような化学組成にもかかわらず、高い密度を示す鉱物は、高い圧力の下で生成したと考えることもできるのです。
高い密度の鉱物の中には、地球深部の高圧力下のマントルで生成したあと、下部へ沈降しないで地球表層に浮上してきた履歴を示すものもあって、地球の進化や内部での地質作用の解明につながる大きな手がかりとして期待されています。
「この記事の主な参考書籍・参考サイト」
- 「起源がわかる宝石大全」著者:諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎/発行:ナツメ社
- 「決定版 宝石」著者:諏訪恭一/発行:世界文化社
まとめ
この記事では、1カラットのルビーのサイズのほか、大きさ以外に重視すべき品質のポイントなどを解説してきました。
大自然の造形美である宝石ルビーは、唯一無二の個性でありルビーの色は、同じように見えても少しずつ違います。
相性のいいルビーを探す参考にしてください。