大自然の造形美である宝石ルビーは、唯一無二の個性です。
それぞれのルビーの色は、同じように見えても少しずつ違い、そして色以外の要素が影響して、色が良くても美しくないことがあります。
そしてまた、人為的に処理をして色を調整することはできますが、処理をしたものは、価値の高い宝石ルビーと評価されません。
ここでは、天然無処理でどのような赤色があり、どのように評価されるかについて、「ルビーの色」を宝石品質判定の視点から解説をしていきます。
ルビーの評価基準とは?
ルビーは赤い宝石です。その赤色が一番重要であることは間違いありません。
「ルビーの価値は色で決まる」「ピジョンブラッドカラー」「ピジョンブラッドレッド」など色だけを強調する風潮がありますが、色だけで評価すること、そのルビーの品質を見分けることはできません。
踏み込んで、宝石品質判定の解説をしなければ、色調だけでルビーを選んでしまうというミスを誘発してしまいます。
宝石の品質判定
クオリティスケール上で、GQジェムクオリティ(最高品質)を取り囲むマスに入るものはJQジュエリークオリティ(高品質)、その他のものはAQアクセサリークオリティ(宝飾品質)になります。
この青いマス、灰色のマス、黄色のマスの3つのゾーンに分けることにより、それぞれのおおよその相場を出すことができます。
ここで注意するべきなのは、良い悪いと等級付けするのが宝石品質判定の目的ではないということです。
最初に申し上げた通り、すべてのルビーには、私たち人間と同じように個性があります。
色調、透明度、彩度、色ムラ、プロポーション、色の濃淡をそれぞれ指数化し、加算すると宝石の品質が分かるだろうと某協会でトライしたことがあります。
百戦錬磨のプロが寄ってたかって、品質を判定した結果、美しさをそれぞれの項目で数値化するよりも、「美しさ」という視点で感覚的に見た方が正確でした。
ひとつひとつ違うルビーの個性をひとりひとり違う人間が等級付けするのはナンセンスだということです。
結論は、審美眼を磨いたプロが、美しいかどうか?という視点で観るのが良いということです。
ルビーは色でランクが決まる?
よくインターネットでは、「ルビーのランクは、色で決まる」という意見を見ますが、結論から言うとルビーのランクは、色だけでは決まりません。ルビーは品質で決まります。
天然無処理で美しいミャンマー産ルビーは希少な宝石であり、工業製品とは違い大自然の造形美です。
ピカソ、ゴッホ、ダヴィンチの絵画のどれがランキング1位か、2位かと言っているようなものです。
加熱処理など人為的に美しさを改良したルビーが世の中にたくさん出回っているため商業的に数が増えすぎたので、ランク付けをしていると考えた方が良いでしょう。
ルビーの価値はなにで決まるのか?
ルビーの価値は、品質と、需要と供給のバランス、伝統と慣習で決まります。
そして、品質は、宝石種、原産地、処理の有無、美しさ、色の濃淡、欠点、サイズで決まります。品質の全体像が把握できると、品質に対応する価値の理解が深まり、価値の高い宝石ルビーをより安心して求められるようになります。
ルビーの色については、「美しさ」の中の色調のことです。
美しさは、色調、透明度、彩度、明度、プロポーションの要素が互いに影響を与え合っています。
このことから、ルビーは色でランクが決まらない意味がお分かりいただけるでしょう。
まとめ
この記事ではルビーの評価基準について解説してきました。
宝石ルビーは、品質によって適正な値段が大きく違ってきます。せっかくルビーを購入するなら、納得のいく適切な値段で購入したいはずです。
そのためには宝石ルビーの品質判定を知ることが重要です。
宝石の品質判定についてはこちらで詳しく解説しています。