宝石のさまざまな材料①鉄鉱石について【鉄の起源を探る】 

鉱物とは岩石を構成する物質です。各鉱物には、それぞれ固有の化学組成と原子構造が備わっています。

ルビーには鉄が含まれている?なんて聞いたことがある人もいるかもしれません。

この記事では鉄鉱石ついて、最初の地球に鉄が誕生するまでを解説しています。

約15億年前鉄鉱石の鉱山ができた

鉄

酸素は鉄と結合し、固体の酸化鉄となって沈殿して体積し「鉄鉱床」を形成しました。

そして約15億年前に、その鉄鉱床が海底の隆起によって地上に現れ、いわゆる鉄鉱石の鉱山がでいあがりました。

ここからは地球に鉄がどのように誕生したか解説していきます。

Contents

鉄の起源

鉄の誕生を探る

46億年前に地球を形成した鉄は、人類文明の進歩に欠かせない素材で、生物の進化や人の生命に不可欠な金属でもあります。

鉄は地球重量の約30%

鉄は、宇宙の誕生と同じ頃に始まった核融合の最終の姿で、構造的に安定した元素と言われています。

地球重量の約30%をしめ、その可採掘蔵量は約2320億トンと他の金属に比べて格段に多いです。

宇宙が生んだ「鉄」

地球誕生

鉄の起源は宇宙誕生にまで遡ります。

ビックバン後のわずか3分の出来事

宇宙は、137億年前に起きた「ビックバン」と呼ばれる大爆発で生まれたと考えらています。ビックバンにより、それまでの物質が何もない状態から、原子を構成する陽子や中性子が生まれ、それが結びついてヘリウムの原子核ができました。この時は、陽子、ヘリウム、電子、電磁波などが飛び回っている混沌とした世界です。

その後宇宙の晴れ上がりへ

その後38万年あまりが経過して、宇宙温度が約3000℃に下がると、原子核に電子が引き付けられて水素やヘリウムの元素ができました。電子の動きが制限されるようになったため、宇宙が「晴れ上がり」見通しが良くなったと言われていま恒星

ガス状の雲が恒星になった

恒星と星

しばらくの間、エネルギー的に安定した基本元素が、宇宙空間に漂っていました。やがて「ダークマター」と呼ばれる物質の「揺らぎ」に引き寄せられて徐々に集まりガス状の雲となり「恒星」ができました。

星は、細かく分けるともっとありますが、大きく分けて3種類あります。

  1. 恒星:自ら光を発している星
  2. 惑星:恒星の周りをまわっている星
  3. 衛星:惑星の周りをまわっている星

    わかりやすくする、太陽は恒星、地球は惑星、月は衛星で、夜空に光っているたくさんの星のほとんどは恒星です。

    「核融合」がはじまり最後に鉄ができる

    その引力で原子同士が押し付けられ、温度上昇によるエネルギーを生み出し、新たな陽子、中性子の結合が進み、水素、ヘリウム以外の元素が次々と生み出されます。

    反応を起こすたびに熱が発生し、その熱と圧力でさらに反応が進み、やがてこの反応は「鉄」で終わります。核融合が起こると、陽子や中性子の数が増えるため原子総重量は増します。

    原子誕生第一次世代

    そして結合による熱エネルギーが放出され、陽子や中性子1つひとつの重さが徐々に軽くなります。鉄の原子核を構成する陽子や中性子は、数ある元素の中でも最も軽いため、恒星の中で起きている核融合が鉄で終わった事がうかがえます。

    地球の誕生と元素の誕生

    鉄は、核融合の最後に誕生します。

    しかし、実際には太陽ぐらいの大きさでは、核融合が進んでも炭素や酸素までの元素しかできません。鉄ができるのは、太陽の約8倍から30倍の大きさの恒星の場合です。

    このような恒星の中心部では、宇宙の時間としては比較的速い3000万年程度の時間を経て、コンパクトでそれ以上反応が進まない鉄が生まれて、核融合が終わります。しかし、鉄まで核融合が進んだ恒星は、そこで変化が止まるわけではなく、さらに外からさまざまな原子が引きよせられ、恒星の中心部では、これまで安定的に存在していた鉄の原子核が崩壊してしまう。

    超新星爆発で誕生した原子第2世代

    超新星爆発

    さらに温度・圧力が高まると、陽子は電子と衝突して中性子に変化し、このときにニュートリノを放出します。大量に放出されたニュートリノの一部が、外側に存在する原子にぶつかり、大爆発を起こします。これを「超新星爆発」といいます。

    巨大な超新星爆発によって、鉄をはじめとする核融合の産物は、星屑となって宇宙に飛び散り、漂うことになります。

    鉄以降の元素が誕生

    超新星爆発では、もう一つ核反応が起こっています。現在私たちが目にすることができる原子番号の順番で鉄以降の元素、ニッケルからウランまでは、この超新星爆発で誕生しました。(第2世代)爆発のエネルギーをもらって生まれたこれらの原子の陽子や中性子は鉄よりも重くなります。この第2世代の元素も、爆発のエネルギーで飛ばれ、宇宙に漂います。

    このようにさまざまな元素が誕生しました。

    鉄の存在量は特異的に多い

    その生い立ちから、宇宙での存在量は、ビックバンで生まれた基本的元素である水素とヘリウムが最も多いですが、第一世代の元素は放っておくと核融合が進み、最終的に鉄に収斂されるため、宇宙での鉄の存在量は特異的に多いです。第2世代の元素は、超新星爆発が起こらないと生成しないため、存在量も少なく、さらに核分裂や、恒星の中での核反応により鉄に収斂してしまうこともあります。

    太陽が生まれ、そして多くの惑星が生まれ、その一つが地球

    太陽と惑星

    宇宙に漂っている水素やヘリウム、その他の元素が集積して新たに誕生した太陽では、中心部の温度が上がり水素が燃えて、光輝きながらヘリウムに再び核融合する反応が始まりました。

    太陽に吸収されなかった塵は、太陽の赤道面に円盤状に集まり、それが集積して多くの惑星が誕生しました。その1つが私たちの地球です。

    約46億年前に誕生した地球

    地球地殻

    約46億年前に誕生した地球は、太陽に近いために比較的重い元素が集まって形成されたので、存在量の多い鉄がその構成の主体となっています。

    誕生間もない頃は高温で、部分的には溶融状態でした。そのため物質移動が容易に進み、重力によって「中心核」「マントル」「地殻」の3つの層から成る構造が出来上がりました。

    まとめ

    この記事では鉄鉱石ついて、最初の地球に鉄が誕生するまでを解説してきました。

    地球に鉄が誕生し、宝石の材料として含まれるまではもう少し先のお話です。

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