メレー・ダイヤモンドの原石とカット
原石の種類とメレー・ダイヤモンドの品質
メレー・ダイヤモンドも原石の形、色、品質は千差万別で、産出国とその鉱山によっても異なります。ピラミッドを二つ合わせたような正八面体、サイコロのような立方体、不規則なものなどさまざまな形があり、色も無色、イエロー、ブラウン、グリーンなどが石全体の色であったり表面だけの色であったり、さらにインクルージョンの程度もいろいろです。分類の方法は多々あります。本書ではカットされたメレー・ダイヤモンドの品質がわかりやすいように、ラウンドブリリアントカットと同じように三つに分類して説明します。
ソーヤブル
メレー・ダイヤモンドでもソーヤブルは研磨も比較的容易で、優れたカットに仕上げられます。ただし正八面体を研磨すると、半分以上が粉になって飛んでしまい、宝石用ダイヤモンドとしての仕上げられるのは原石1個につき、その42~43%になってしまいます。それ以上、たとえばなんとか45%の重量を残そうとするとカットの角度や形が最適でなくなるため、美しい輝きが低下してしまいます。買い付けのプロはそれを見抜き、価格交渉のポイントにするのです。
メイカブル
このメイカブルは、次のニアー・ジェムと合わせて全宝石用原石の80~90%を占めています。形がまちまちのため、一つひとつどのように研磨するかが検討されます。特に品質の低い原石ほど
一定方向に硬い層があったり、研磨の際の障害が大きくなるのです。それを可能な限り美しく磨き上げるのが、研磨職人の腕といえます。メイカブルの減耗率は75%前後です。
ニアー・ジェム
工業用ダイヤモンドから見てニアー・ジェム、つまり宝石用に近い品質という意味で、品質が劣るものを指します。オーストラリアの原石はブラウン系が多く、研磨にも他のものの3倍の時間がかかるといわれています。メレーのような小粒の原石でも、ニアー・ジェムのものと高品質のソーヤブルには数十倍以上の価格差があります。ダイヤモンドをはじめ宝石の品質を知るには、原石から入ると全体像の理解が得られます。
品質の見分け方
メレー・ダイヤモンドには品質の善し悪しには大きな差があります。
カラー、クラリティ、の稀少性は大粒のダイヤモンドに比べ価値への影響は少なく、見分けのポイントは“美しい輝き”です。そのポイントになるのは“原石素材の良さ”と“カットの仕上げの良さ”です。
ビューティグレードSのものは美しく輝いていて、こうしたメレーで作られたジュエリーはより美しく輝くのです。通常ビューティグレードのSとDの価格差は4倍近くありますが、極端な場合には10倍になることもあります。にもかかわらず、同じカラット数のSとDが同じダイヤモンドとして販売されているところに、購入者を混乱させる根源があります。
たとえば、ビューティグレードがSの1カラットのダイヤモンドを使った、本来50万円のリングについて考えてみます。これを35万で購入できれば、それは本当のお買い得といえます。
しかしビューティグレードDの1カラットを使った本来の10万円のリングを、50万円の5割引きとして25万円で販売しているところがあれば、それは明らかに不当販売です。信用できるお店から、品質の説明をうけて購入することが大切です。
選び方
ダイヤモンドの命は“美しい輝き”です。小粒のダイヤモンドを使ったジュエリーの場合でも同じで、同じカラット数の価格の上中下のものを比べてみると、それがよくわかります。
10万円台のジュエリーではジュエリークオリティで十分ですが、30万円以上のものにはジェムクオリティで十分ですが、30万円以上のものにはジェムクオリティを勧めます。使うたびにその輝きを楽しむことができるでしょう。またシングルカットは高級時計に使われていますが、直径1.3㎜前後のものではブリリアントカットよりも強く輝きます。
指輪などジュエリーにも再度シングルカットが使われる時代が来るかもしれません。0.03ctカラットサイズのジュエリークオリティの価値は、石のみで1個当たり40USドルが目安です。(2012年現在)
– 諏訪恭一 決定版 宝石 世界文化社 2013年より引用-
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「受け継がれる価値のあるお宝ルビーをお届けし、感動を創造する」をコンセプトに、採掘の現場から研磨作業、品質判定、保証書の制作まですべて自社で行います。受け継がれる時に、思い出がキラキラと輝く「お宝」であること。創業から続けるモリスのスタイルです。