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有機物のような優しい形。裏から見ても横から見てももこもこっとしたラインが出ています。どこから見ても楽しめフォルムになりました。手仕事のやさしさが伝わるカタチです。

まるい日の丸のようなカボションカットのルビーは、ミャンマー中部モゴック鉱山から産出された丸い原石をそのまま磨きました。カボションとは、フランス語で丸い頭(つるっ禿の意味)の意味で、名前の由来はあまり良いものではありませんが、このルビーは丸くてかわいい形をしています。写真右上に生地不足が残ったままですが、これも天然無処理で美しいミャンマー産ルビーの結晶の生地をすこしでも残したいという職人の気持ちの表れです。モゴックで多く産出されるほんの少し青みを帯びた色調と透明度が特徴的ですが、このルビーには、宝石の真ん中にフラクチャー(ひび)が入っています。このフラクチャーは、元々入っていたもので、加工中の衝撃や後からぶつけたりしてついたものではありません。天然ルビーには、よく見られるインクルージョンの一種で、結晶する時に入った液体などが原因だと思われます。どちらにしろプラスの評価はできませんが、表面まで出てきていないので、破損の原因になるモノではないためあまり重視しませんでした。しかし宝石品質判定のクオリティスケール上では、「B」美しいものになります。色の濃淡は「#4」のジュエリークオリティです。ルビーの大きさは、縦3.9㎜/横3.6㎜/深さ2.5㎜で重さは、0.36ctです。さて、この丸いルビーですが、カボションカットにした理由は、大きさと形が合っているということもありますが、もし、このルビーにファセット(切子)面をつけた通常の形にした場合、真ん中にあるフラクチャーが目立ってしまい、美しいが欠点のあるもの「C」になってしまう可能性がありました。皆さんが街中でよく見るカボションカットのルビーには、往々にしてこのフラクチャーが入っていることが多いと思います。カボションカットは、表面の艶と色、その形を楽しむスタイルですので、そちらが良いという判断です。ひょっとしたらファセットカットにしたら、フラクチャーが全く目立たないで「A」になる可能性もありますが、せっかく出会ったルビーです。できるだけいい姿で世に出て行って欲しいと考えました。

CAHiER×Mori’sは、「宝石そのものの声なき声に寄り添い紡いだルビージュエリー」というコンセプトを掲げスタートしました。

カイエは、宝石の個性や職人の手仕事による温もりを大切にするジュエリーブランドです。

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