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宝石は大自然からの預かりもの
宝石を見つめていると大自然の中に吸い込まれてしまうような錯覚に陥ります。多くの宝石は、地中の数キロから40メートルの深さのところで、熱と圧力を受けて結晶しました。
そして、火山活動や、天地がひっくり返るような地殻変動により、地表近くに押し上げられた鉱物の中の美しいものが、偶然に宝石になるのです。
偶然と偶然が重なり奇跡が起こる
宝石となる鉱物が地表近くに到達すること自体が偶然ですが、その鉱物がカットや研磨して美しい宝石に仕上がるかどうかも大自然に支配されているという他ありません。
宝石は人が作れないものだから、価値が高いのです。
石のつぶやきを聞いてみる
人を魅せる宝石の本質を知れば、そこには鉱物の結晶に刻まれた地球の生い立ちが隠れていることに気づくことでしょう。
石の美しさの奥深くにある、何億年前の何千度の、何万気圧の、想像を絶する地中の世界に想いを馳せ、石のすばらしさを感じ取っていただきたいと思います。
ミャンマー産ルビーとの語らい
ひとつのルビーをルーペでのぞきこむ、そこには原産地ミャンマーを語る鍵があり、その元になる地球の記憶もしっかり込められています。
ミャンマー産のルビーには、地球の壮大なストーリーが関係しています。
ミャンマーのルビーは、太古の生命(微生物や魚介類)が残した堆積岩と9000万年前から南極大陸を離れ1年間に15センチという地球史にも類を見ない速度で北上しユーラシア大陸と衝突したインドの大陸移動が密接に関係して2000万年前に結晶化しました。
生命がつくったカルシウムが主成分の母岩に包まれて育つのが、ミャンマー産ルビーです。
生きようとする「生存本能」が、ルビーに直接とは言いませんが、関係している。
その生きようとする力(母岩)とその結果、育った宝石ルビーは、母と子のような関係かも。壮大な地球史と生命のコラボがルビーなのです。