宝石の日本語名を知りたい方は意外と多いです。
この記事では、宝石の中でも特別なルビーの日本語名を詳しく解説します。
ルビーの和名について、また赤色や、鉱物の和名についてご紹介します。
ルビーの日本語名
ルビーの日本語名は「紅玉」です。
名前の通り美しい赤い宝石であることからこの名前が付けられました。
数々の色の中でも、紅色は歴史や色の豊富さなど、日本人にとってとりわけ関わりの深かった色とも言えます。
四季のうつろい、地理的、歴史的、文化的背景などさまざまな影響を受け、日本の伝統色とされている「紅色」は赤の中でも特別な色です。
古来、日本人は、色彩や色の表現について特別な感情や独自の感性を持っていました。
日本語名は「和名」ともいわれています。
ルビーの語源
ルビーの語源は、旧ラテン語の「赤」です。
そしてルビーが人類の歴史に登場するのは、とても古く、旧石器時代です。
ニューヨーク市立大学のTED THEMELIS博士の著書「Mogok」では、200万年前の原人がルビーの原石を集めていた形跡を確認したと記述があります。
集めた理由は分かっていないそうですが、その時代は、まだ現人類になる前ですが、旧石器時代といわれ打製石器を使い、火を使ったといわれます。
夜になると夜行性の大型肉食動物に捕食されていた時代です。
夜行性の動物は、火種を嫌がり、夜に火種を使いこなせた原人は、漆黒の暗闇の中で赤く輝く、炭火の光に守られて、その人口が一気に増えて行ったのは夜に食べられることが少なくなったからです。
暗闇にトラたちの光る目に囲まれていた恐怖からルビー色は人類を守ったということで、【赤】は「怖いものから守られる」と認識するようになったのかも知れません。
鉱物の和名
鉱物にも種が定義されて、それぞれの種名があり、模式標本(タイプ標本)があります。
国際的にも通用する種名は、その種の特徴、産地名、貢献のあった人物名などにちなみ、「石」を意味するiteで結ぶのが原則です。
和名の由来
ここでは、「和名」の基本的なことをおさらいします。
「和名」とは、学問規約的に指定された名ではなく、一般的に使用されている慣習的名称で主に漢字で表記されます。
「学名」にはラテン語が用いられることが多いです。
ラテン語になじみのある欧米諸国とは異なり、日常的にラテン語やその語を用いない日本では「学名」は入門者や一般向きでなく、馴染みにくいので、「学名」と同様に使える日本語の名前があった方が便利という目的で慣用的に使われるのが「標準和名」です。
日本語の鉱物名の「和名」は、「鉱物」が科学的に定義されるより前には中国から、次いで科学とともに欧米からもたらされた鉱物名の訳名として使われてきますしたが、時代とともに変化し、今は全く使われてないものもあります。
ルビーは違う和名でも呼ばれていた?
日本装身具史(露木宏先生著)の年表で今から約200年前に、ルビーは日本では「ロペイン石」と呼ばれている記述があります。
1829年 ガラス技法「玻瓈精工全書」に(はりせいこうぜんしょ)ルビーに関する記述。
金で紅色に発色させる金赤ガラスの解説の項にその色「舶来のロペイン石のごとき」とある。
日本装身具史(露木宏先生著)の年表で「ロペイン石」と呼ばれている記述があった。
(引用ここまで)
使われている文脈からは、ルビーは大変貴重なもので手に入りにくい特別なものであったことが分かります。
日本でも意外と歴史の長いルビー。グローバル化とか、西洋、東洋という分け方自体の意味がなくなりつつある今こそ、日本古来の美意識を世界に発信していく時代かも知れません。
憧れの紅【紅】
赤の染料は4世紀ごろまでは茜や朱がメインでしたが、五世紀頃「紅花」が加わり、より鮮やかな赤を表現できるようになりました。
紅花染めは、濃い紅色を出す為には何度も重ね染めしなければならず、大変手間がかかり、かつ高価な物でした。
そのため平安時代まで濃い紅染めは禁色と呼ばれ使用禁止されていた特別な色です。
桜色や紅梅など紅染によって作られた美しい色は殿上人の装束に使用され、華麗に彩りました。
紅染は茜染と同様に染められた諧調によって異なる色名がつけられています。
更に時は流れ鎌倉時代になると男性的なはっきりした色が好まれるようになりました。
赤の染料に蘇芳(すおう)や禁色の紅も広く使用されるようになりました。
赤の話
最も古い日本の基本色は「あか、あを、しろ、くろ」です。
中国の書物、魏志倭人伝(ぎしわじんでん)の中には238年、卑弥呼は絳青稴(こうせいけん)と呼ばれる織物を献上したとあります。
絳(こう)は絳(こう)は茜で染めた色の事で、当時より赤は特別な色として用いられていました。
ここでは赤の歴史を掘り下げて、日本の伝統色や日本人の色彩感覚にどのような影響を与えたのか探ってみようと思います。
魔除けの赤
古墳時代には壁画に赤が使われ、壁画や土器などから赤の痕跡が強く残っています。
柩に朱の粉を大量に敷き詰めていた古墳も発見されています。
茨城県ひたちなか市の虎塚古墳では、凝灰岩のうえに白色粘土で下塗りをし、酸化鉄を用いた赤色顔料で模様が描かれています。
この壁画には大きな蛇の目が描かれており、呪術的な意味合いが込められていたとする見方が強いそうです。
先史から古墳時代の人々は、呪術など特別な意味を込めて赤を使用していました。
特別な赤い色のルビー
大自然の造形美である宝石ルビーは、唯一無二の個性でありルビーの色は、同じように見えても少しずつ違います。
ルビーの「美しさ」については、クオリティスケールの横軸「S,A,B,C,D」のどこに相当するかという視点で見分けます。
- 「S」 輝きがあり特に美しいもの
- 「A」 特に美しいもの
- 「B」 美しいもの
- 「C」 欠点はあるが美しいもの
- 「D」 美しさに欠けるもの
このスケールの「美しさ」という目線は、宝石を観る上で非常に重要です。
なぜなら、美しさという概念は、数値化できないが私たち人間には感じられるものです。
そして数多くルビーを観ていると、美しいルビーは、クオリティスケールのS~Dに当てはまってくるからです。
鑑別業者の発行する分析結果報告書に「ピジョンブラッドレッド」「ピジョンブラッドカラー」とコメントされているルビーがそれほど美しくないという例があります。
それは、色調や蛍光性など、データで表せるものだけで判断するからです。
人に例えると分かりやすいと思います。
美しい人のスペックだけを数値化して枠をつくって、同じ数値の人を選べば、それは美しいのか?といえば、必ずしも、美しくないのと同じです。
ピジョンブラッドルビーは、素晴らしいルビーの呼称であり、色調(色合い)のことだけではないということです。
そして価値の高いピジョンブラッドルビーの色は鮮やかで濃い赤色ですが、濃ければ濃いほど良いのか?といえば、そうではなく、また別のモノサシがあります。
まとめ
この記事では、宝石の中でも特別なルビーの日本語名を詳しく解説してきました。
宝石ルビーの鮮やかで魅力的な赤色は、太古より多くの人に愛され、価値の高い宝石としてコレクターによって高く評価されています。
その中でも、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーの希少性は、とても高く「ロイヤルファミリーなどの特別な人のみ手にすることができた宝石でした。
ルビーの日本語名を知ることで更に興味が沸いた方はもっとルビーについて知りたくなった方も多いと思います。
是非、ルビー選びの参考にしてみてください。