ルビーのジュエリーを身に着けていた有名な人物を歴史的絵画の中から探してみました。
ラファエロ作の「教皇ユリウス2世の肖像」から、第216代ローマ教皇ユリウス2世の指にルビーと思われる指輪が着けられていることが分かります。
この肖像画から、ユリウス2世はどの様な想いで両手に指輪を何本も、右手の小指にはルビーの指輪を身に着けていたのか気になります。
大きな宝石の指輪を着けたユリウス2世は、目をやや伏せ内省的な表情を浮かべ、落ち窪んだ眼窩には濃い影が差しています。当時、この肖像画についてヴァザーリは、絵があまりにも真に迫っているので、絵を見た人は教皇本人を目の前にしたかのように怖れの感情を抱いた、と述べています。
また、この肖像画はユリウス2世が長い髭をたくわえローマにいた、1511年中頃から、髭を剃るまでのあいだに描かれたものであり、また教皇自身がその姿を肖像として残そうとしたと推察できます。
だからこそ、この大きな宝石の指輪にもユリウス2世からの何かメッセージがあるのではないでしょうか。
・ユリウス2世とはどのような人物?なにをした人物?
・当時のルビーの価値は?
・ミャンマー産 天然無処理の美しいルビー
・まとめ
所蔵 :ナショナ・ルギャラリーロンドン 1511年 ラファエロ・サンツィオ「教皇ユリウス2世の肖像」
ユリウス2世とはどのような人物?なにをした人物?
ユリウス2世はルネサンス期を代表する教皇の1人で、短命に終わったピウス3世の治世を継いで教皇となりました。 本名はジュリア―ノ・デッラ・ロベーレです。
治世では教皇権と教皇領の回復と拡大に尽力し、イタリアに外国からの影響を排除する為、戦争を辞さず、彼自ら軍を率いて戦争に立つこともありました。
そしてヴェネチアに対抗する為、フランスとカンブレー同盟を締結したり、フランスに対抗する為にヴェネチアと神聖同盟を締結するなど、臨機応変に外交関係を取り計らい、極めて優れた政治手腕を発揮しました。
また彼は政治や戦争だけではなく、芸術を愛し、深く理解していたことでも有名です。ラファエロやミケランジェロといった才能ある芸術家たちの保護者となり、サンピエトロ大聖堂の再建に着手するなど、ローマをルネッサンス芸術の中心地に変貌させた功績が認められています。
この様に、ユリウス2世は重圧のある職務を務めることに、お守り的な役割として、大きな宝石の指輪を身に着け、自分のエネルギーを高めていたのではないでしょうか。
・ユリウス2世とサンピエトロ大聖堂
・右手のピンキーリング
ユリウス2世とサンピエトロ大聖堂
1506年からサンピエトロ大聖堂の改修を開始して、ブラマンテに設計を担当させました。またミケランジェロにシスティーナ礼拝堂(ヴァチカン宮殿内の礼拝堂)の天井画の製作を依頼しました。ユリウス2世がラファエロに描かせたヴァチカン宮殿「謁見の間」の大壁画「アテネの学堂」には、古典古代に活躍した哲学者を芸術家が一堂の会した場面を描き、ルネサンスの象徴的作品となりました。サンピエトロ大聖堂の修築は、ユリウス2世から次の教皇レオ10世に引き継がれました。
右手のピンキーリング
ピンキー(小指)リングは伝統的に貴族階級の高位の男性のみが着用していました。
小指の守護神は、ローマ神話で商業を司る「メリクリウス」です。そして、小指は幸福やチャンスの象徴です。
外国では、「幸せは右手の小指から入って左手の小指から逃げる」という言い伝えがあり、古くから小指は運気や幸運と関係が深いと考えられていました。
ユリウス2世も右手の小指にピンキーリングを着けることにより、戦争や政治的な重要な場面で幸運を味方につけていたのかもしれません。また、彼は何より芸術を愛し、深く理解していたことで、価値がある、美しい宝石を見分ける目があったのかもしれません。
ルビーの石言葉
ルビーの石言葉は、「情熱」「愛」「勝利」です。
情熱は、正しく赤く燃える様なルビーの生命力に当てはまります。
愛は、ハートの色は赤色に連想、描かれるように、心を動かす原動力に繋がっています。
勝利は、赤色には無限のエネルギーを蓄えた炎の様に、メラメラと燃える闘志に導かれています。
古代インドやビルマの戦士たちは、必勝祈願としてルビーを身に着けていたそうです。
そのことからも、ルビーは勝利の石と考えられていたのかもしれません。
ユリウス2世の右手に着けた、ルビーのピンキーリングには、この3つの言葉が込められていたのかもしれません。
当時のルビーの価値は?
ベンヴェヌート・チェリーニ(1500年11月3日‐1571年2月13日)はイタリア フィレンツェ生まれのルネッサンス期のイタリア金細工師、彫刻家、画家、音楽家でした。
1552年にチェリーニは、「真珠は魚の骨みたいなものですから、時がうつろうと同時にその価値も失われます。が、ダイヤモンドやルビー、エメラルド、それにサファイアなどは決して古びません。これら4種のものこそ宝石という名に価いするのであって、買う価値があるのです。」と述べています。
また彼の記述記録に、「ルビー800スクード、ダイヤモンド100スクード、エメラルド400スクード、サファイア10スクード」とあります。つまり当時、ルビーはダイヤモンドの8倍の価値があったようです。
中世ヨーロッパでは、色石が王族に好まれましたが、その中でも特にルビーとエメラルドは人気の高かった宝石でした。ギリシャ人はルビーを「全ての宝石の母」と呼び、ローマ人はダイヤモンドよりも価値がある宝石とみなし、「宝石の中の一輪の花」と呼んだそうです。
現在、チェリーニのブロンズの胸像は、フィレンツェのヴェッキオ橋中央に置かれています。このヴェッキオ橋の上に宝飾店を持つ金細工師の職人業界から「金細工師の父」という思いを込めて作られたそうです。
ミャンマー産 天然無処理の美しいルビー
ミャンマー産 天然無処理の美しいルビーは、大変希少で価値があります。それは市場に流通しているルビーの99%が何らかの処理を施されているからです。
モリスルビーは、ルビーの採掘から販売まで一貫して行っており、徹底した品質管理の下、安心してルビーをお求め頂けます。添付画像はルビーの内包物(インクルージョン)を集めたものです。画像一点一点の内包物が異なるのがお分かり頂けますでしょうか。この様に天然無処理のルビーは大自然の造形美なのです。
美しいルビーとは
美しいルビーと判断する時の要素は基本下記6点になります。
・強い赤色と微かに紫色を帯びた色調であるか
・透明度はどうか
・色の鮮やかさはどうか
・プロポーションはどうか(カットのバランス、研磨)
・インクルージョン(内包物)が美しさを引き立てているか、または欠点となっているか
・フローレッセンス(蛍光性)の有無
鑑定書に「ピジョンブラッドカラー」、「ピジョンブラッドレッド」とコメントされていることもありますが、各鑑別機関が独自の基準 をクリアしたモノに対する参考コメントです。
ここで説明している「美しさ」を表すものではありません。
美しいルビーを理解するには、美しいルビーを沢山見て目を鍛えることです。
まとめ
この様に昔から、ルビーは宝石の中でも群を抜いて希少で、高価であり、高貴な方をはじめ、多くの人々を魅了してきました。このユリウス2世が身に着けていた指輪も誰かが現在も大事に保管させているかもしれません。
旅先で博物館や美術館を訪れる際、是非、ルビーのジュエリーを探されてみて下さい。そして、その楽しい発見をモリスルビーと共有されませんか。みなさまからのお声をお待ちしております。
モリスルビーでは、ミャンマー産、天然無処理の美しいルビーの専門店として、この経年変化のないルビーの美しさを、まだルビーの感動に触れたことのないお客様へお伝えしていきたいと思っています。
最後まで、お読み下さりありがとうございました。
引用:SSEF 2023 ルビーの歴史、有名なルビー
「チェリーニ わが生涯」 新評論 大空幸子訳
「ラファエロ ルネサンスの天才芸術家」中公新書 深田麻里亜著