今回の記事では、ルビーの指輪が古くから結婚式に使われてきた歴史的な事例とともに、結婚とルビーの関係についてご紹介していきます。
結婚におけるルビーの意味とは?
ルビーは「不滅の愛」を表す宝石として、様々な国で結婚に使われてきました。
日本の結婚式の「紅白」をはじめ、インドでは、嫁ぐ娘に最後に着せてあげるのが赤いサリー、キリスト教カトリック式チャペルのヴァージンロードは赤色の絨毯、世界中で結婚のテーマカラーは赤色です。
ルビーの語源は、旧ラテン語の「赤」であり赤い宝石ルビーが重宝された理由です。
結婚にダイヤモンドが使われるようになった理由
130年前から世界に広まったフランスの人工合成ルビーの登場によって、ルビーは安い宝石というイメージが定着してしまったことと、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーがあまりにも希少で高額であったため手にすることができる人が限られてしまいました。
その後約100年前からに始まったダイヤモンドは、数の多いため大規模なマーケティングし易かったので市場に広がりました。
しかし現在では、インターネットの発達により、天然無処理で美しいルビーが見直されてきました。
プロポーズリングはダイヤモンドと一般的には思われていますが、結婚に使われる指輪はルビーが始まりでした。その歴史を紐解いていきます。
結婚指輪にルビーは正統派?
結婚式はプロテスタント式
宝石ルビーは、一般的には知られていませんが、結婚指輪に使われる宝石としては正統派です。
結婚式の時にチャペルで牧師さんが前に立って、その前にこれから夫婦になる男女が誓い、指輪を交換する儀式は、皆さんが知っているチャペルでの挙式です。
キリスト教にはカトリックとプロテスタントがあり、カトリック式チャペルの結婚式では、相手の両方か、若しくは片方がカトリック教徒でなくてはならないため、日本で行われるチャペルでの挙式は、ほとんどがプロテスタントの挙式だと思います。
マルチン・ルターの結婚指輪はルビー
プロテスタントの礎を築いたマルチン・ルター。
個人の幸せよりも宗教的な世界観による階級社会、閉塞的な世の中で暗黒の時代といわれた中世ヨーロッパに、宗教改革を起こしたルターが、修道女であったカテリーナ・ヴォン・ボラにプロポーズした時に贈ったのがルビーの指輪です。
意外と知られていない史実ですが、そのルビーの指輪は、今も町の象徴として、ドイツのライプツィヒ市の博物館の象徴的な指輪として展示されています。
ライプツィヒの人々の誇りになっています。
本年7月、弊社の代表森が博物館を訪問、ルターのリングを持ち出し、ライプツィヒ大学の研究所にて、教授と一緒に分析(宝石種の確認)をしました。その結果アパタイト、シルクの結晶インクルージョンを確認。365nmの紫外線に鮮赤色に輝き、森の判定では実物を観る限り天然無処理で美しいミャンマー産ルビーであることは間違いないと確信しています。ルターの指輪を分析したのは30年ぶりで、ルビーであること、またミャンマー産であることが確認されたことは歴史的発見と考えられます。
このように、結婚指輪といえばダイヤモンドという風潮がありますが、実際には正統派は、ルビーの指輪です。
婚約指輪と結婚指輪の起源
プロポーズをする時に贈られるエンゲージリング(婚約指輪)と結婚式の儀式、指輪の交換で使われるマレッジリング(結婚指輪)の2種類があります。
気付いた人はおられると思いますが、前述のマルチン.ルターがプロポーズしたルビーの指輪は、「ルビーの結婚指輪」と呼ばれていますが、婚約指輪ではないのはなぜでしょうか?
その理由は、婚約指輪と結婚指輪の全く起源が違う指輪だからです。
結婚指輪の由来
結婚指輪は、結婚式で指輪の交換をする儀式が習慣化された古代ローマ時代には、まだまだ宝石がついた指輪を贈ることができるのは、ごく一部の貴族などの裕福な人に限られており、一般の人々は「鉄製」の指輪を交換していた記録が残っており、宗教的なものでした。
十字架が掲げられた祭壇の前で、これから結婚するふたりが指輪を交換する儀式の由来は、古代ギリシャの神話「誓いを忘れない輪」に由来しています。
婚約指輪の由来
婚約指輪は、16世紀から始まりました。
男性が結婚したい女性にプロポーズする前に、相手の好みを調べ、メッセージ性のある構想(デザイン)で、豪華な指輪をつくって求婚していたことは、国立西洋美術館に保存されているヒストリックリング(歴史的な指輪)でも確認できます。
メインストーンは、ルビーです。
ルビーの結婚指輪・婚約指輪の選び方
宝石ルビーは、結婚指輪に使われる宝石としては正統派ということはお伝えしてきましたがここからは、後悔しないルビーの選び方を解説します。
宝石ルビーを選ぶ際の注意点は以下の4つを確認してください。
- 天然無処理で美しいルビー
- ミャンマー産ルビー
- 品質の高いルビー
- 予算が許す限り大きなサイズ
結婚指輪は、新しい家族のシンボルマークになっていく重要なもの、そして宝石ルビーには、経年変化がありません。
良いものであれば、世代を越えて受け継がれていきます。
宝石品質判定の基準で品質保証がされていることが重要です。
そして、予算が許す限り、なるべく大きなサイズを選びましょう。
ダイヤモンドの指輪が一般的、そして流通するほとんどのダイヤモンドは天然無処理ですが、希少性の高い天然ルビーの場合は、流通するそのほとんどは、人為的に加熱処理などにより品質改良されたものです。
処理されたルビーに宝石としての価値はほとんどありません。
希少性の高い宝石はルビーの場合は、天然無処理で美しいもの、産地は、ミャンマー産が良いでしょう。
ルビーの価格帯や選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ルビーの結婚・婚約指輪の構想(デザイン)について
ルビーの結婚指輪と婚約指輪の構想(デザイン)は、伝統的なスタイルがいいでしょう。
何故ならば、結婚指輪や婚約指輪にも流行はありますが、いわゆる「ファッションリング」ではないからです。
世代を越えても古い感じがしないクラッシックな構想がおすすめです。
結婚・婚約指輪にはメッセージ性がある構想を
中世ヨーロッパ、ルネッサンス期の結婚指輪(フェデリングやギメルリングなど)の実物が残っているものの、ハートを握る手のモチーフや手と手を取り合ったモチーフなどメッセージ性の強い意匠、構想(デザイン)は、その時代の宗教的な意味合いも強く、文化的遺産として大切にしていきたいものの、そのまま使うことはできないでしょう。
メッセージ性を大切にした指輪をつくる際には、プロのジュエラーに相談してみましょう。
特別な宝石(天然無処理で美しいミャンマー産ルビー)には、特別な構想(デザイン)が似合うでしょう。
結婚・婚約指輪に使う地金も大切
ジュエリーをつくる際に使う地金について、最高級品のミャンマー産ルビーの特徴は、ほんの少し紫味を帯びた赤の色調ですが、金色と合わせることで、赤色が更に映えることがあります。
地金についてもルビーの個性に合わせるのが良いので、相談してみましょう。
結婚と同じ、好きかどうか?
重要なのは「好きかどうか?」です。
良いか悪いか?という評価ではなく、自分が好きかどうか?が重要です。
正しいかどうか?ではなく、お互いが「好きかどうか?」を大切にするのが夫婦円満の秘訣です。
おふたりが好きなルビーは、夫婦円満のシンボルになるでしょう。
マルチン・ルターの結婚指輪はルビー
プロテスタントの礎を築いたマルチン・ルター。
個人の幸せよりも宗教的な世界観による階級社会、閉塞的な世の中で暗黒の時代といわれた中世ヨーロッパに、宗教改革を起こしたルターが、修道女であったカテリーナ・ヴォン・ボラにプロポーズした時に贈ったのがルビーの指輪です。
個人の幸せよりも宗教的な世界観による階級社会、閉塞的な世の中で暗黒の時代といわれた中世ヨーロッパに、宗教改革を起こしたルターが、修道女であったカテリーナ・ヴォン・ボラにプロポーズした時に贈ったのがルビーの指輪です。
意外と知られていない史実ですが、そのルビーの指輪は、今も町の象徴として、ドイツのライプツィヒ市の博物館の象徴的な指輪として展示されています。
ライプツィヒの人々の誇りになっています。
聖書にも書かれているルビー
13種類の宗教的なシンボルが刻まれたルターのルビーの結婚指輪に使われているルビーは、365nmの紫外線に反応する接触変成岩起源(ミャンマー産)の特徴があります。
聖書の博士として名を馳せたマルチン・ルターは、旧約聖書に登場する「嵐の中でノアの方舟の中で輝いたカルブンクルス(カーバンクル)」が、拡散光で届いた紫外線に反応するのが、接触変成岩起源のルビーだということを知っていたのかも知れません。
結婚はふたりの人生のはじまり
ルターを慕って後を追った信者の指輪にも赤い宝石が着いていますが、ガーネットやその他の宝石と思われるもので、紫外線に蛍光反応はしませんでした。
「結婚」は、ゴールではなく、ふたりの人生の旅の話ですから、その最初のシンボル、結婚指輪の話は、ルビー婚式でも重要です。
ルビーと結婚にまつわる有名な愛の物語
世界中には、有名なカップルがルビーと結びついた愛の物語が数多く存在します。
その中で最も有名なのは、エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの話をしましょう。
ルビージュエリーは愛の表現
映画俳優としてクレオパトラなどの有名な映画で主演女優として活躍したエリザベス・テイラーは、同時に、恋多き女性として有名で7人の男性と8回も結婚しています。
2011年3月にこの世を去った世界的女優は、生前のインタビューで、「最も愛した男性は誰でしたか?」という質問に対して「2度結婚した男性はひとりだけです」と応えており、その彼がリチャード・バートンです。
リチャード・バートンはエリザベスにルビージュエリーを贈り、その愛情を表現しました。
エリザベス・テイラーの宝石ルビー
代表的なルビーの指輪、ネックレス、イヤリングは、彼女が他界したあと、世界的なオークションに出品され、高額で落札されましたが、生前の彼女の印象的な言葉が、宝石ジュエリーに対する考えを表しています。
私が所有している宝石ジュエリーたちは、私が預かっているだけで、次の世代も誰かを幸せにする。それが宝石です。
経年変化が無く、世代を越えていく宝石ジュエリーのことをよく知っていたようです。
そして3月に他界した時には、彼女の遺体はリチャード・バートンのラブレターと共に埋葬されました。
ルビーの持つ力で、結婚をより素晴らしいものに
生きた人の思い出が残る「宝物」
宝石ルビーは、100年経っても、200年経っても変わりません。
そしてその価値は、交換価値などの資産性の話だけでなく、その時に大切にした人の物語を詰め込んだ思い出カプセルとして受け継がれていくことになります。
日本にも家宝という文化があり、家の中にある「玉=宝石」を宝物とする考え方はありますが、西洋の、「Heirloom」は、宝石であり、宝石ジュエリーです。
物質的な「モノ」としての価値はもちろん重要ですが、肖像画の中で、その宝石ジュエリーを着けていたビジュアルと共に、その時に生きた人の「思い出」が一緒に残ることで「宝物」になっていくものです。
家宝文化を残す結婚
核家族化が進んで、三世代、四世代が一緒に集まることが少なくなってきた昨今、宝石ルビーを「思い出カプセ」」にして、たくさんの写真と一緒に、次の世代に家宝の文化を残してあげると、続く世代の幼い子供たちに、人生は豊かでカラフルなものだよというメッセージになるのではないでしょうか。
彼ら、彼女らが存在するのは、夫婦円満だったからであり、さかのぼって考えると、そこに結婚があったからなのです。
結婚指輪、ルビー婚式、人生の節目を素晴らしいアニバーサリーにしてくれるのが宝石ルビーです。