ルビーをはじめとする宝石は、何十年、何百年経っても変わらない輝きを持ち、世代を超えて受け継ぐことのできる唯一無二の資産です。
しかし、同じルビーでも「色・透明度・産地・処理の有無」によって価値は大きく異なり、1カラットあたりの価格が数倍から数十倍も変わることがあります。
多くの方がデザインやブランドでジュエリーを選びますが、本当の価値を決めるのは品質です。
この記事では、ルビー専門店として行っている「宝石品質判定」をもとに、品質の見分け方を解説します。実際に品質判定を行ったルビーは、店舗でご覧いただけます。(来店予約はこちら)
ルビーの品質とは?(宝石品質判定でわかる価値の基準)
ルビーの品質とは、単に色や輝きの美しさを指すものではありません。ルビーの品質は科学的根拠と専門家の審美眼によって評価される宝石としての総合的な価値を意味します。
この価値を正確に見極めるための指標となるのが「宝石品質判定」です。ここでは、ルビーの品質を理解するうえで欠かせない基本概念を解説します。
ルビーの品質判定

ルビーの品質判定とは、宝石としての「価値基準」を明確にするためのプロセスです。
モリスでは上記の宝石品質判定(クオリティスケール)のようにルビーを 「GQ(最高品質)」「JQ(高品質)」「AQ(宝飾品質)」の3ランクに分類し、それぞれの相場や評価基準を明確にしています。
まず、「天然か合成か?」「処理の有無は?」「産地は?(ミャンマー・モザンビークなど)」といった要素を確認します。そのうえで、「美しさ(S〜Dの5段階)」と「色の濃淡(#7〜#2)」を組み合わせ、品質ゾーン(GQ・JQ・AQ)を決定します。
同じ天然ミャンマー産ルビーでも、無処理と加熱処理では評価が大きく異なります。つまり、ルビーの品質判定とは、見た目の美しさを科学的に裏づける仕組みなのです。
宝石品質判定とは?(なぜ必要なのか)

諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」
宝石品質判定(クオリティスケール)とは、宝石の価値を客観的に測るための「モノサシ」です。
宝石品質判定が必要な理由は、見た目の印象や感覚に頼るのではなく、科学的根拠と審美的評価の両面から価値を定量化して判断するためです。
例えば、同じ1カラットの天然無処理ルビーでも、最高品質(GQ)と宝飾品質(AQ)では価格が10倍以上違うこともあります。品質が高いから価格が高いのではなく、価値が高いから価格が高いという考え方が宝石品質判定の根底です。
ルビーを購入する際、宝石品質判定を理解することで品質の重要性に気づくきっかけになり、本物の価値を見抜く力を養う第一歩にもなります。
宝石の価値を決める三大要素
宝石の価値は、単に品質だけで決まるものではありません。ルビーを含むすべての宝石は、以下の三大要素によって価値が形成されます。
- 品質
- 需要と供給
- 伝統と慣習
まず品質は、色・透明度・処理の有無など、宝石そのものの美しさと稀少性を表します。
次の需要と供給は、市場での人気や流通量によって変動する現実的な価値を指し、伝統と慣習は、産地や歴史的評価によって培われた信頼を意味します。
特に天然無処理のミャンマー産ルビーは、伝統的に最も高い評価を受けてきました。モリスではこの三要素を総合的に見極め、一石ごとに正しい価値を提示することを使命としています。
以降では、ルビーの品質の見分け方について詳しく解説しているの、気になる方はチェックしてみてください。
モリスでは、実際に宝石品質判定を行った天然無処理のミャンマー産ルビーをご覧いただけるので、興味がある方は、ぜひ店舗へ足を運んでみてください。(来店予約はこちら)
ルビーの品質を決める7つの項目(見分け方を解説)

ルビーの価値は「見た目の美しさ」だけでは判断できません。宝石としての本質的な品質を見極めるには、専門的な観点からいくつかの要素を確認する必要があります。
モリスでは、ルビーを評価する際に「宝石品質判定」という独自の基準を用いています。これは、すべてのルビーが唯一無二の個性を持つことを前提に、「宝石としての美しさと希少性を、どのように見極めるか」を体系化したものです。
ここでは、ルビーの品質を見分けるために重要な7つの項目を順に解説します。
それぞれの項目を理解することで、「なぜそのルビーの価値が高いのか」「価格にどのような違いが生まれるのか」を知ることができます。
ルビーの品質を見分ける7つのポイントは以下のとおりです。
各項目の詳細を理解することで、ルビーの「真の品質」を見極める目が養われます。
宝石ルビーについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
①ルビーの宝石種(本物か偽物か?)

まず最初に確認すべき要素は、その石が本物のルビーであるかどうかです。
ルビーとは「赤いコランダム(酸化アルミニウム・Al₂O₃)」のことを指し、天然の鉱物にクロムが含まれることで鮮やかな赤色の宝石となります。
一方で、市場には人工合成石(人工的に育成されたもの)、類似石(ガーネットやスピネルなど別の宝石)、模造石(ガラスなどで似せたもの)も多く存在します。
この中で本物のルビーを見極めるには、「鑑別」が欠かせません。鑑別とは、宝石の種類を科学的に判定することです。
鑑別には専用の機器や知識が必要なため、信頼できる研究機関に依頼するのが確実です。
- スイスのグベリン宝石研究所(Gübelin Gem Lab):ルビーの研究では100年の歴史
- スイスのSSEF:ルビーの研究では50年の歴史
- 米国GIA:ダイヤモンドのレポートで有名、最近ではルビーも鑑別
- 日本の中央宝石研究所:世界的にも知られる北脇博士が研究
ルビーの品質評価の第一歩は、この「宝石種の確認」から始まります。
コランダムについて知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
②ルビーの処理の有無(加熱・無処理・含浸など)

ルビーの価値を左右する最も重要な要素の一つが「処理の有無」です。
一般に市場で流通しているルビーのほとんどは、色や透明度を高めるために加熱処理などが施されています。一方で、人の手を加えず、自然のままに美しい「天然無処理ルビー」は極めて希少で、世界全体の流通量のごくわずかに限られます。
処理方法には、加熱処理をはじめ、鉛ガラスを含浸させる方法や表面拡散処理などがあり、これらは見た目の美しさを人工的に補う手段です。
しかし、長期的な価値や耐久性、そして「受け継ぐ宝石」としての信頼性を考えるなら、無処理で美しいルビーこそが真に価値ある選択と言えます。
- 加熱処理
- 鉛ガラスなどを含侵させる処理
- 表面拡散処理
- 充填処理
- 含侵処理
ルビーの処理は簡単に見抜くことができないので、専門の鑑別機関または宝石商(ジュエラー)に依頼することをおすすめします。
非加熱ルビーについて知りたい方は以下の記事もチェックしてみてください。
処理の有無は専門の鑑別機関を活用する
処理の有無は専門の鑑別機関でも分析を依頼することができます。
ただし、鑑別書に記載される「No indication of heating(加熱された痕跡が認められない)」という表現は、非加熱を断定するものではなく、あくまで現時点の分析結果を示した参考資料にすぎません。
分析技術の進化によって、将来的に判定結果が変わることもあります。しかし、最終的に品質を保証するのは鑑別機関ではなく、販売するブランド側の問題です。
モリスでは、すべてのルビーに固有のID番号と品質保証書を付与し、「天然無処理で美しいミャンマー産ルビー」であることを明確に保証しています。
これは単なる証明ではなく、「一生ものの宝石」として安心して受け継いでいただくための信頼の証でもあります。
③ルビーの原産地

ルビーは産出地によって色味や透明度、価値が大きく異なります。
中でも「ピジョンブラッド」と呼ばれる最高品質のルビーを産出するのはミャンマーであり、世界市場でも最も高く評価されています。これは、結晶が形成された地質環境そのものが特別だからです。
ピジョンブラッドについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
ルビーの品質を左右する「産地と起源」
ルビーは、地質学的な生成環境によって大きく3つに分類されます。
- 接触変成岩起源:ミャンマー、アフガニスタン、タジキスタン、ベトナム
- 広域変成岩起源:スリランカ、モザンビーク
- 玄武岩起源:タイ、インド、カンボジア、マダガスカル、ケニア
この中で最も高く評価されるのが、接触変成岩起源のルビーです。
ミャンマー産ルビーが特別とされるのは、この地質環境で結晶化しており、色の美しさを決定づける元素「クロム(Cr)」を多く含むからです。
ミャンマー産ルビーの奇跡(地球と生命が生んだ赤)
約5億年前、カンブリア紀の海底に堆積したサンゴや貝などの生命のカルシウムが、インド亜大陸の移動によって押し上げられ、マグマと接触して形成されたのが「ルビーの母岩(接触変成岩)」です。
地下約40kmという極めて深い場所で、クロムを多く含む環境下で結晶したミャンマー産ルビーは、紫外線を受けるとまるで電源を灯したように赤く輝きます。
この現象は「フローレッセンス(蛍光性)」と呼ばれ、ピジョンブラッドルビーの条件の一つとされています。
その結晶が、地殻変動によってごく限られた地域(モゴック・ナヤン)にだけ地表へ押し上げられたのです。まさに、地球の活動と生命の痕跡が生み出した奇跡の宝石と言えます。
④ルビーの美しさ

ファセットカットしたルビーのクオリティスケール 諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」
ルビーの美しさを語る上で、最も重要なのは「色」と「透明度」、そして「内包物(インクルージョン)」との調和です。
これらは宝石の価値を決める本質的な要素であり、ダイヤモンドのように研磨技術だけで引き出せるものではありません。
ルビーはまさに、自然がつくり出した結晶の芸術なのです。
以降では、ルビーの美しさを決める基本要素を2つに分けて紹介します。また、モリスの考える美しいルビーについても解説します。
ちなみに、ルビーの美しさを観るときのポイントは以下のとおりです。
- 強い赤色とわずかに紫味を帯びた色調か?
- 透明度はどうか?
- 彩度はどうか?
- プロポーションはどうか?
- インクルージョン(内包物)は美しさか?
- フローレッセンス(蛍光性)の有無は?
ルビーの色について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
ルビーの美しさを決める基本要素①:色調・透明度・彩度
ルビーの美しさは、「色調」「明度」「彩度」「透明度」といった要素で評価されます。
特に評価が高いのは、深みのある赤色にほんのりと紫味を帯びた色合いで、かつ高い透明度と鮮やかな彩度を持つルビー(ピジョンブラッド)です。
このようなルビーは、光を受けたときに奥行きのある輝きを放ち、他の赤色宝石にはない生命力を感じさせます。
さらに、紫外線(長波光365nm)を当てると鮮やかな蛍光を放つルビーも存在します。
ルビーの強い蛍光性は、天然無処理である証拠のひとつでもあり、特にミャンマー・モゴック産ルビーに顕著に見られます。
これらすべての条件が揃った、深紅で透明度が高く、内包物の繊細なバランスが取れたものが、「ピジョンブラッド(Pigeon’s Blood)」と呼ばれる最高品質のルビーです。
ただし、この呼称は鑑別機関ごとに判断基準が異なり、「美しさ」を客観的に保証するものではない点に注意が必要です。
ルビーの美しさを決める基本要素②:カットと研磨
ダイヤモンドとは異なり、ルビーの価値はカットの精度よりも原石そのものの美しさにあります。
特に、天然無処理で美しいルビーの場合は、原石の形状を最大限活かし、必要最小限の研磨で仕上げます。
それは、自然が与えた形を尊重し、結晶の生命力をそのまま残すためです。もし、ルビーの形にわずかな歪みが見られたとしても、それは「未完成」ではなく、原石の証です。
わずかな歪みは、大きな結晶をなるべく削らずに残した結果であり、職人がそのルビーの個性を活かしたものなのです。
一方で、加熱処理などを施した人工的なルビーでは、プロポーションやカットの整い具合が価値に影響を与えます。
しかし、天然無処理のルビーを扱う場合、カットは美を整えるものではなく、内なる美しさを引き出すための仕上げであることを覚えておくと良いでしょう。
モリスの考える「美しいルビー」とは?
ルビーの価値を判断するうえで、単に鑑別書の記載や評価スケールを追うだけでは、その本質を見誤ることがあります。
本当に美しいルビーとは、「深紅の光が宿り、見つめるほどに奥行きを感じる結晶」であり、科学的評価だけでは捉えきれない「存在感」を放ちます。
モリスでは、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーのみを厳選し、ひとつひとつの石にID番号と品質保証書を付けてお届けしています。
それは、自然のままの美しさにこそ、真の価値が宿ると信じているからです。
⑤ルビーの色の濃淡

ルビーの魅力を決定づける最大の要素は「赤の美しさ」です。
その中でも、色の濃淡(トーン)は宝石全体の印象や輝きに大きく影響します。
同じ赤でも、ほんのわずかな明暗の違いで「上品」「華やか」「深遠」など、まったく異なる表情を見せるのがルビーの奥深いところです。
色の濃淡を評価する「クオリティスケール」
ルビーの色の濃さを判断する際には、宝石品質判定のクオリティスケールを用いるのが一般的です。
これは、黒(#10)から白(#1)までの10段階でトーンを評価する方法で、#6〜#5の範囲が最も理想的な濃さとされています。この濃さは、単に「暗い赤」ではなく、光をしっかりと通しながら深みのある色を指します。
逆に#7以上になるとやや暗く沈み、#4以下では淡すぎてルビー特有の情熱的な赤が感じられにくくなります。
モリスでは、このスケールをもとに、美しさと色調のバランスを最も自然に引き立てる濃淡を「最上級」と位置づけています。
つまり、濃いほど高価という単純な判断ではなく、「透明感を保ちながら深紅に輝くか」が本当の価値の分かれ目です。
ルビーとピンクサファイアの境界線
ルビーとピンクサファイアの違いは、実は色の濃淡による定義の差にあります。
どちらも鉱物としては同じ「コランダム(Al₂O₃)」ですが、トーンが淡くなると「ピンクサファイア」と分類されます。ただし、その境界線は鑑別機関によって異なるのが実情です。
ある機関ではルビーとされる石が、別の機関ではピンクサファイアとして扱われることもあります。このため、鑑別書の宝石名だけで価値を判断するのは避けたほうが賢明です。
モリスでは、こうした曖昧な分類に対して、独自に「ピンキッシュルビー(Pinkish Ruby)」という呼称を採用しています。これは、淡いトーンながらも確かにルビーの持つ赤の美しさを備えた石に対する、モリスならではの表現です。
名前ではなく「品質」で決まる価値
「ルビーかピンクサファイアか」この分類はあくまで「呼び名の違い」にすぎません。本質的な価値を決めるのは、色の美しさ・透明度・輝きのバランスです。つまり、名前ではなく品質こそが価値を決めます。
モリスでは、一つひとつのルビーをクオリティスケールで丁寧に評価し、その石が本来持つ「最も美しい赤」を最大限に引き出すことを大切にしています。
それこそが、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーの真価なのです。
⑥ルビーの欠点

どれほど美しい宝石にも、「欠点」と呼ばれる側面は存在します。
ルビーの場合、その欠点を正しく見極めることができるかどうかが、品質を見抜く最大のポイントとなります。
見た目の輝きだけで判断してしまうと、後になって「思ったより輝かない」「割れやすい」と感じることも少なくありません。
ここでは、特に注意すべき3つの欠点について解説します。
①フラクチャー(割れ・欠け)による耐久性の低下
ルビーは硬度9を誇る非常に硬い宝石ですが、衝撃には弱い性質を持ちます。
そのため、内部や表面に「フラクチャー(割れ・欠け)」があると、装着中の衝撃で破損してしまうことがあります。
フラクチャーは一見すると光の反射のようにも見えますが、内部に白く筋が入ったような線や羽状の割れが見える場合は注意が必要です。
このようなルビーは比較的安価に流通しており、見た目が立派でも実用面での価値は下がります。高品質なルビーは、表面・内部ともに安定しており、長く美しさを保てる耐久性を備えています。
②プロポーションのバランスが悪いルビー
宝石の美しさを引き出すには、「プロポーション(厚み・形のバランス)」が重要です。
ルビーの厚みが極端に深すぎると光が内部で反射しすぎ、暗く沈んだ印象になります。
逆に浅すぎると、光が抜けてしまい、輝きが乏しく見えてしまいます。
理想的なプロポーションは、光が石の中心で反射し、全体に均一に赤い光が広がるバランスです。
モリスでは、この光の通り方を重視しており、原石の形を最大限生かした「自然なプロポーション」を追求しています。
③インクルージョン(内包物)の性質と位置
ルビーには必ず何らかの「インクルージョン(内包物)」が存在します。
天然である証でもあり、無理に排除すべきものではありません。ただし、インクルージョンの「種類」や「位置」によっては、美しさや耐久性に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
例えば、割れに沿ってインクルージョンが並んでいる場合、衝撃によりその部分から破損する可能性があります。一方で、ルビー特有の「シルクインクルージョン」は光を柔らかく拡散し、深みのある輝きをもたらす美点にもなります。
つまり、インクルージョンは「欠点」であると同時に、「個性」として美しさを引き立てる存在でもあるのです。
ちなみに:欠点について気になる方は信頼できる専門家に相談する
ルビーの欠点は、表面だけを見ても判断できないことが多く、経験豊富な宝石商(ジュエラー)の目で確認することが大切です。
モリスでは、各ルビーにID番号と品質保証書を付与し、内包物・色調・プロポーションなどを総合的に評価した上でお届けしています。
ルビー選びにおいて最も大切なのは、「欠点のない石」を探すことではなく、欠点を理解した上で、その石が持つ「美点」を見極めることです。
本物のルビーの魅力とは、まさにその「個性の中に宿る美しさ」にあります。
⑦ルビーのサイズ(大きさ)

ルビーの価値を考えるうえで、サイズ(大きさ)は非常に重要な要素です。
同じ品質であれば、サイズが大きくなるほど価格も比例して高くなります。これは、大粒で美しいルビーの産出量が極めて少ないためであり、天然無処理のミャンマー産となれば、その希少性はさらに高まります。
ただし、ルビーのサイズを判断する際は、単純にカラット数だけで比較するのは注意が必要です。
ルビーのカラットについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
カラット(重さ)=見た目の大きさではない
ダイヤモンドの場合、ラウンドブリリアントカットが主流で、重さ(カラット)と直径の関係がある程度標準化されています。
一方でルビーは、原石の形を活かして研磨するため、同じカラットでも見た目の大きさが異なるのが特徴です。
例えば、
- 1.0ctでも厚みが深いルビーは小さく見える
- 逆に浅めに研磨されたルビーは、実際より大きく見える
というように、ルビーはプロポーション(厚み・形状)によって印象が大きく変わります。
そのため、ルビーのサイズを正確に判断する際には、カラット(ct)だけでなく、縦・横・深さ(mm)寸法も確認することが大切です。
理想的なのは、カラットと寸法のバランスが取れた、立体的に美しいプロポーションのルビーです。
サイズと希少性の関係
ルビーは、同じ品質であってもサイズが大きくなるほど価格が急激に上昇します。
これは、結晶が大きく成長する過程で内包物や亀裂が入りやすく、大粒で透明度が高いルビーがほとんど産出しないためです。
特に、天然無処理で美しいミャンマー産ルビーの場合、1ctを超えるだけで希少性が飛躍的に高まります。さらに2ctを超えるピジョンブラッドクラスとなると、世界的にも入手が困難なレベルです。
このように、サイズは単なる「大きさ」ではなく、希少性と価値を映す指標としても重視されます。
サイズごとの品質評価 (GQ・JQ・AQの3つの品質ゾーン)
モリスでは、ルビーを「最高品質:GQ(Gem Quality)」「高品質:JQ(Jewelry Quality)」「宝飾品質:AQ(Accessory Quality」の3つの品質ゾーンに分けて評価しています。
これは、単に「大きい=高価」ではなく、サイズと品質のバランスを見極めるための指標です。
- 最高品質(GQ):宝石として最高峰の品質(希少性・透明度・色調が極めて高い)
- 高品質(JQ):ジュエリーとして十分に美しく、日常使いにも最適
- 宝飾品質(AQ):装飾的な美しさを持つが、宝石的価値は限定的
サイズだけでなく、これらの品質ゾーンを踏まえて比較することで、価格が適正であるかどうかを見極める判断基準になります。







