ルビーは、美しい輝きを持つ宝石で、多くの人に重宝されてきました。
地球の半径は約6400Km、地球の表層部である地殻は約5~40Kmになります。
地殻は、元素を含む岩石や鉱物からできていますが、多くの人から求められるルビーは、どのように作られているのでしょうか。
この記事では、ルビーの主成分や生成過程について解説していきます。
ルビーの主成分とは
ルビーの主成分はアルミニウムと酸素です。
宝石は目に見えないほど小さな原子が決まった形に並んだ結晶です。
地球上にある物質はすべてなんらかの原子で構成されます。
宝石の生成過程
宝石の原石の多くは、地下深くにおいて生成した鉱物です。
地球の地下深くは地表より高温高圧の環境であり、プレートの運動などにより長い年月をかけてゆっくり動いているため、様々な化学反応や融解そして結晶化が繰り返され多様な化学組織を持った宝石が生成されます。
地球の活動と生命の痕跡が生んだ奇跡の宝石がミャンマー産ルビー
ここでは、ミャンマー産のルビーが生成される過程を解説していきます。
ミャンマー産ルビーが生まれるにはいくつもの奇跡的な条件が重なってできています。
地球の活動と生命の痕跡が生んだ奇跡は以下の3つです。
- カンブリア紀の生命は、海洋生物の進化によって弱肉強食の世界になっていて、海の中の生物はカルシウム分で甲羅をつくることで生き残りをかけた名残り、そのカルシウム分が海底の堆積していたこと。
- インドが南極を離れ、南半球から北半球まで1年間に15㎝北上し、その先にはユーラシア大陸があったこと。
- クロムが多い地下深くまで沈み側プレートにのって移動して結晶したルビーが、逆行して地表まで上がってきた場所があった。
フローレッセンスの鮮やかな輝きは、地球と命の象徴です。
壮大な大自然のドラマがある、地球と生命が生んだ奇跡の宝石「ミャンマー産ルビー」のルビーの母岩は、カルシウム分が主成分の堆積岩が変成した接触変成岩です。
ルビーが結晶になるまでの流れ
ここではミャンマー産ルビーが結晶になるまでの流れを紹介します。
鉱物がどのように形成されるのか、それを知る手がかりは、宝石の原石が含まれている岩石(母岩)の中にあります。
母岩を調べると、宝石のができるまでの大まかな形成プロセスを推定することができます。
- 約5億年前にカンブリア紀で生きた甲殻類やサンゴ、貝類などの生命のカルシウムが、現在のインド洋の海底に豊富に堆積していました。
- 時が流れて、約一億年前に南極を離れて北上したインドが、海底に堆積したカルシウム分(堆積岩)をブルドーザーのように北に押し上げて行きました。
- 約5000万年前からユーラシア大陸に衝突しました。
- インド側のプレートが、カルシウムの堆積岩と一緒に、ユーラシア大陸の下に潜り込むような形で沈んでいきました。
- 世界最高峰エベレスト山は、このインドとユーラシア大陸の衝突が原因の造山活動です。
- 山となって盛り上がったプレートと地下深くに沈んでいったプレートです。
- 沈み込んだプレートと一緒に移動したカルシウムの堆積岩がマグマと接触して変成したのがルビーの母岩「接触変成岩」です。
- その時、地下40㎞でミャンマー産ルビーが結晶しました。
地下深い場所で結晶したルビーは、沈み側プレートのため、通常であればマントルまで沈み込んで溶けてなくなります。
しかし、ヒマラヤ山脈の麓の極々一部に特別なエリアがあり、その結晶が地表まで上がってくる場所があります。それがモゴック、ナヤンのルビー鉱山です。
(加熱処理を必要としますが、接触変成岩起源のルビーは、原石はモンスーでも産出します)
地球というるつぼ
宝石の生成については、東京上野の国立科学博物館で開催された特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」を監修された諏訪恭一氏の著者「起源がわかる 宝石大全」から引用します。
地球はおよそ46億年前に太陽系の微惑星の集合体と衝突によってでき、最初は融けた状態であったものが、冷却が進み、地表に大気と海水を持つようになる一方、地球の内部は、完全に固まるのではなく、ある程度の流動性があって、熱と圧力のへ偏りによってマントルの対流のような動き(ダイナミズム)ができた。
この物質の移動は、水の影響を受けており、地球内部を均質化するのではなく、むしろ、不均質化を招いた。このような地球内部の変動は、極めて緩やかで、人間の時間感覚では固体として静止しているように感じるが、地球を多様な鉱物であふれさせることになった。
特に、地殻は多様な岩石から成り、物質循環も複雑である。大気や地表とともに水分子が地殻内部にまで行き渡っていることや、大気中に遊離酸素があることにより、他の天体にはない地球特有の現象が怒っている。
たとえば熱水作用による鉱物の沈殿や、生命の働きによる海底での炭酸塩の沈殿は、地球ならではといえる。
プレートの潜り込みにより、水分子が地下深くに運ばれると、岩石の融点を下げてマグマがつくられる。できたマグマが集まって上昇すれば、周囲の岩石を加熱したり、マグマ自体が固体(結晶化)したりして、地殻内部の物質の多様化が進む。そして、岩石が地表に露出すれば、水や大気に触れて風化し、水(雨や河川)によって浸食・運搬され、水の底に堆積する。
堆積物がプレート運動によって地下深部に運ばれると高温高圧にさらされ再結晶したり、再び融けてマグマを生じたりする。
このように、地下内部では「水」を介して古い石が新しい石へと変化するという現象が繰り返し起こっており、おかげで多様な石が生まれる。
たとえば、アルミニウムだけがケイ素などの他の元素と分離されればコランダム(紅玉)が生成する。
そこに偶然にも、少量のクロムが紛れ込めば赤いコランダムが生成し、鉄とチタンだけが都合よく合流すれば青いコランダムが生成する。
これらの色に着色したコランダムが、透明で大粒な結晶に成長するという奇跡的な偶然が重なれば、良質なルビーかサファイアが生成することになる。
引用ここまで
まとめ
この記事では、ルビーの主成分や生成過程について解説してきました。
宝石の生成は壮大な大自然のドラマがあり、地球と生命が生んだ奇跡的な偶然が重なった結果だということがわかりました。
宝石となる鉱物が地表近くに到達すること自体が奇跡的ですが、その鉱物が美しい宝石に仕上がるかも大自然のみ知ることで、人が作れないものだから、価値が高いのです。
宝石ルビーは、いくつもの自然の奇跡が重なって結晶化した貴重な宝石です。
ルビーの主成分以外にもルビーの品質について詳しくはこちらで解説しています。