この記事では生物を起源とする宝石を紹介します。
宝石のなかには、生命活動によって生まれた生体鉱物があります。
この記事では生物を起源とする宝石を紹介します。
生物から作られる珊瑚(コーラル)
珊瑚(コーラル)は、サンゴ虫という腔腸動物が集まってできたものなので鉱物ではありません。
スコットランドには、コーラルは「少女に美と繁栄をもたらす」という言い伝えもあります。
珊瑚には2種類あります。
- 造礁珊瑚(六放珊瑚):サンゴ礁を作っているもの
- 宝石珊瑚(八放珊瑚):宝石になる
造礁珊瑚(六放珊瑚)
造礁珊瑚は光が届く浅瀬に生息します。ワシントン条約で採取が規制されています。
宝石珊瑚(八放珊瑚)
宝石珊瑚は数百メートル程度の深い場所でゆっくり成長し、その骨格が宝飾品になります。
主に地中海沿岸、日本・台湾沖合い、ハワイ・ミッドウェー島沖の3つの地域で採取されます。
原木の大きさ、色、品質に大差があり、自然環境の差がそれぞれの地域の珊瑚の特徴づけています。
色の濃淡は好き好き
珊瑚の色は「血赤」と呼ばれる濃い赤から白に近い色まで幅があります。血赤は英語で「オックス・ブラッド」と呼ばれます。
宝石珊瑚は様々な種類があります。
- 赤珊
- 桃色珊瑚
- 白珊瑚
- 紅珊瑚
種類によって色がことなり、その骨格の色がそのまま宝石となります。
宝石にする場合、原木から玉状などに削りだし、磨いて仕上げます。
主成分は真珠の外皮と同じ炭酸カルシウムで、人間の手を介することなく自然の中で少しずつ成長してきます。しかし、硬度が低く熱に弱く、酸にも弱いので、身に着けた後は、空ぶきをしてお手入れをしっかりしてください。
地中海珊瑚は日本では「胡渡」と呼ばれていた
地中海の赤さんごは日本では、「胡渡」と呼ばれていました。
奈良時代(710~784年)にシルクロードを経由して中国大陸から持ち込まれました。1868年には珊瑚漁が解禁になり、20世紀に入り、イタリアのコーラル・ビジネスの中心地トレ・デ・グレコ(イタリア南部)への輸出が盛んになりました。
ヨーロッパでは中世に、宗教にかかわる装飾やロザリオにも使われています。
貝が作り出す宝石【真珠(パール)】
真珠(パール)は、貝がつくりだす宝石です。
貝の内側には、「真珠層」と呼ばれる光沢のある部分があります。これは、「外套膜」という薄い膜から出る分泌物(真珠質)によってつくられています。
外套膜に砂や小さな粒等が入った場合、膜は刺激されてその異物を袋状に包み込みます。
これを「真珠袋」と呼び、ここに真珠質が沈着してできたものが「真珠」となります。
真珠の使用後のケア
ネックレスなどの複数の真珠を使用したジュエリーを選ぶ場合は、品質の揃い具合(マッチング)を確認しましょう。見落としがちですが、糸の素材も絹、ポリエチレン、テグス、ステンレスなどの種類があるので、長所と短所を知ることが重要です。養殖真珠は他の宝石と異なり、硬度が低く経年変化しやすいので、使用後は布で丁寧に汗などを拭きとってください。
「この記事の主な参考書籍・参考サイト」
- 「起源がわかる宝石大全」著者:諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎/発行:ナツメ社