ルビーはその鮮やかな赤色と希少性で知られ、世界中のジュエリーファンによって愛されています。
美しさ、希少性、そして情熱的な赤の魅力を持つ宝石がルビーです。
この記事では、ルビーのルースやネックレス・リングを取り扱う代表的なブランドとルビージュエリー、アクセサリーを選ぶ際の基準について紹介します。
ルビーを取り扱う世界5大ジュエラー
ルビーを扱うことで知られる世界5大ジュエラーは、高品質で希少な宝石やジュエリーを製作・販売し、世界中の富裕な顧客に向けて高額なジュエリー提供し、業界をリードしてきた欧米ブランドです。
これらのジュエラーは、高品質の宝石やジュエリー、洗練されたデザイン、歴史的な背景を持つブランドとして、世界中で高い評価を受けており、ジュエリーの愛好家やコレクターが集めています。
それぞれ、ルビーやダイヤモンドなどを組み合わせた製品を扱っています。
- カルティエ(Cartier)
- ブルガリ (Bulgari)
- グラフ(Graff)
- ショーメ(CHAUMET)
- ヴァン クリーフ & アーペル (Van Cleef & Arpels)
カルティエ(Cartier)
カルティエは、1847年にルイ.フランソワ.カルティエがパリにジュエリー工房を開いてスタートした高級宝石ブランドです。
カルティエが取り扱った宝石ルビー(天然無処理で美しいミャンマー産ルビー)は、今でもサザビーズなどのオークションで高額で取引されます。
2017年にスイスのジュネーブで開催され37億円で落札された「サンライズルビー27ct」など、宝石の価値を見抜く審美眼を持っていたジュエラーです。
また、伝統的な構想(デザイン)を踏襲しながら、日本の意匠を積極的に取り入れたり、中国、インド、中近東のデザインを上手く作品に使ったりするなど、新しい視点、素材や技術をいち早く取り入れた革新的なジュエリーをつくって世に送り出してきたジュエラーです。
三代目のルイ.カルティエは、1911年に英国国王ジョージ5世の戴冠式に出席すると王室のメンバーのティアラを製作し、ロイヤルファミリー御用達のジュエラーとして注目を集めます。
その後、米国のロックフェラー、アスター、グールドなどの大富豪の婦人たちにティアラやエイグレット(ティアラは正面に着け、エイグレットは側頭部に着けるジュエリー)を作製するなどアメリカにも進出し、世界的なジュエラーになりました。
そして、カルティエは、ジュエリーだけでなく、ガラスの中に浮かんだ針だけが動くことで有名になった「ミステリークロック」などの置物や時計、女性用の小物入れなどの実用品も積極的に製作、販売してきました。
現在は、世界中の大都市、空港でカルティエのお店は見ないことはないぐらいの規模になっています。
今では「パンテール」(豹)モチーフのジュエリー、タンクと呼ばれる四角い形のジュエリー、時計などが良く知られていますが、19世紀半ばには、プラチナをジュエリーに使い始めた先駆者もカルティエです。
ブルガリ(Bulgari)
ブルガリは1884年にギリシャ系イタリア人の銀細工職人であった、ソティリオ.ブルガリによってイタリア、ローマで創業されました。
ブルガリが製作した5ctを超えるルビー(天然無処理で美しいミャンマー産ルビー)を使ったジュエリーは、今でもサザビーズやクリスティーズといった高級美術品のオークションにおいて高額で落札されます。
ルビー以外にも大粒で高品質なエメラルド、サファイア、ダイヤモンドを使ったジュエリーが還流市場で高額で取引されていて、宝石の価値を見抜くことができたジュエラーです。
現在、ブルガリは、カルティエと同じように、世界中の都市、空港でお店があります。
世界的に有名になったのは、ハリウッドで活躍した世界的な俳優(女優)のオードリーヘプバーン、エリザベステーラーが、ブルガリのファンだと公言したからだと言われています。
そして1970年にニューヨークに海外第一号店を出店してから、世界に広がっていき、日本に進出してきたのは1991年のことです。
現在は、高級ジュエリーのほか、腕時計、香水、なども有名です。
銀座にあるブルガリのお店はセルペンティ(イタリア語で蛇)の大きなモチーフがビルに巻き付いたようなファサードになっています。
蛇のモチーフがブルガリのアンコン的存在になったのは、1940年代第二次世界大戦の影響で、宝石の入手が難しくなったときに、ブルガリが、金の地金を使って、蛇をモチーフにした時計を販売した時からです。
ブルガリのデザイン(構想)は、ギリシャ系イタリア人だった創業者ソティリオ.ブルガリがギリシャやローマの建築物からインスピレーションを得て独自に創作したもので、モダンジュエリーの始まりをつくりました。
グラフ(Graff)
グラフは、1960年にイギリス、ロンドンにおいて18歳のローレンス グラフが「グラフダイヤモンズ社」として創業したブランドです。
ジュエリー職人見習いだった若いグラフが、33個の小さなダイヤモンドを60ポンドで仕入れた際、小さな会社の場合、普通は33本のリングをつくるのですが、グラフは33個全てを使って大きなダイヤモンドに負けない輝きのリングを1本つくったことからチャンスを掴んだと言われています。
起業家精神溢れるジュエラーです。
今現在も創業者が率いており、世界に50店舗以上のサロンを展開し、オープンしてから半世紀に渡って進化を続けています。
グラフは、歴史的なダイヤモンドを世界で最も多く扱ったことで知られていますが、ルビーに対しても卓越した審美眼を持つ今現在、最強のハイエンドジュエラーです。
2006年に高級美術品のオークションであるクリスティーズに「グラフルビー」が出品され、グラフ自ら、8.6億ドルで落札しました。
8.26ctの天然無処理で美しいミャンマー産(モゴック産出)のルビーリングはグラフ自らがデザイン(構想)から仕立てまで行ったものです。
ショーメ(CHAUMET)
ショーメは、1780年にフランスでジュエリー職人であった、マリ・ティエンヌ・ニトが創業したブランドです。
フランス5大ジュエラー「グランサンク」の一つに数えられるハイエンドジュエラーです。
マリーアントワネットをはじめとする貴族を顧客に持つジュエラーだったマリ・ティエンヌ・ニトは、ナポレオンの乗っていた馬車の馬の暴走をとめたことがきっかけとなり、1802年からナポレオン皇帝の御用達ジュエラーとなり、世界にその名が知られるようになりました。
「ジョセフィーヌ」と名付けられたジュエリーのモデルは、この時の皇帝妃ジョセフィーヌに由来しています。
その後1812年にパリのヴァンドームにお店を移し、1889年にジョセフ・ショーメに経営を任せた時に、CHAUMETショーメというブランドネームになりました。
ルビーに関しては、1910年代から広がったアールデコの時代に、息子のマルセル・ショーメが、美しいミャンマー産ルビーを使ったジュエリーを製作し、今でもアンティークジュエリーとして還流しています。
アールデコ時代のジュエリーの宝石のレベルが高い理由とルビーが産出しないフランスに素晴らしいルビーが残されている理由は、当時、ロシア革命によってヴァンドーム周辺に移住を余儀なくされたロシアのロイヤルファミリーが暮らしのために手持ちの宝石を手放したためと言われています。
ただ、最近のジュエリーに使われるルビーは、モザンビーク産などのものが多くなっています。
ヴァン クリーフ & アーペル(Van Cleef & Arpels)
ヴァン クリーフ & アーペルはフランスの宝石ブランドで、1886年に創業しました。
名前の由来は、オランダのダイヤモンド研磨職人であったヴァン・クリーフと彼の妻であったサロモン.アーペルスの名前を組み合わせたものです。
1906年にパリ、ヴァンドームに出店したパリの5大ジュエラー(グランサンク)です。
1930年には、当時のエジプト、ナズラ女王から王冠の製作を任されました。
デザイン(構想)の特徴は、自然をモチーフした優雅なラインで、花や動物をデザインに取り入れ、繊細で夢幻的な宝石ジュエリーをつくるハイエンドジュエラーです。
特に「アルハンブラ」コレクションのクローバーモチーフのジュエリーや、「ミステリーセッティング」と呼ばれる小粒なルビーを敷き詰めたスタイルのジュエリーが有名です。
このミステリーセッティングに使われる小粒で色の揃ったルビーについては、英国が1988年から1916年までミャンマーのモゴック鉱山を採掘していた時代の物であれば、天然無処理で美しいルビーが留められたアンティークジュエリーも残っており、今では非常に高額で取引されてます。
ルビーを取り扱う日本発祥のジュエラー
日本発祥のジュエラーは、日本国内で設立され、日本の文化や職人技術を活かしながら高品質な宝石ジュエリーを制作するブランドを指します。
これらのジュエラーは、日本独自の美意識や工芸文化を反映し、独創的なデザインと高度な職人技術によって、国内外で高い評価を受けています。
- モリス(Moris)
- ミキモト (Mikimoto)
モリス(Moris)
モリスは、2000年に京都の東山区で創業した、日本のジュエラーです。
2004年に最高級ルビーを産出するミャンマーに現地法人を設立し、2007年からルビーの採掘を始めました。
2010年に銀座5丁目にサロンを出店、2017年には、高級美術品のオークション、サザビーズでモリスルビーが落札されました。
天然無処理で美しいミャンマー産ルビーしか扱わないのが特徴で、ハイエンドジュエリーのほか、ブライダルリングを含めたアニバーサリー(記念日)で贈るジュエリーを取り扱っています。
採掘現場から、ルビーの研磨、品質判定、ジュエリーの製作、店舗での販売まですべてを行うジュエラーです。
ミキモト (Mikimoto)
ミキモトは、アコヤ貝による養殖に世界で初めて成功した「真珠王」御木本幸吉が1899年に銀座に御木本真珠店をオープンした日本発祥のジュエラーです。
1910年にロンドンに海外初出店を成功させ、1921年にパリの宝石商から、「ミキモトの養殖真珠は模造品なのでは」と訴えられて争われた「パリ真珠裁判」に勝利しました。
以後、養殖真珠が世界中に広まり、現在「ミキモトパール」の名は世界で知られています。ミスユニバースのメインスポンサーとして2002年から2007年の大会で優勝者の王冠になりました。
ミキモトブランドは、パリのヴァンドームをはじめ、ニューヨークの5thアベニューなど、世界の主要都市に店舗があり、日本を代表するブランドです。ミキモトのジュエリーは、エレガントでクラシックなデザイン(構想)で、真珠の美しさを最大限に引き立てます。
ルビーをメインでの取り扱いはしていませんが、ダイヤモンドやルビーを組み合わせたリングなども販売しています。
ルビーアクセサリーブランドを選ぶ基準とは?
ブランドの評判とルビーの品質
高品質のルビーを提供するブランド選びと、ルビーの品質確認が重要です。
ブランドの評判や信頼性はレビューや口コミを調べ、他の顧客の経験を確認しましょう。
天然ルビーは、品質によって価値が大きく違う宝石なので、購入する前にルビーの品質の詳細を確認しておくと安心です。
ルビーとして販売される中には様々なものがあり、品質を見分けることが非常に難しくなっています。
ルビーとして販売されているものに含まれるのは以下の6つです。
- 天然無処理
- 非加熱
- 加熱処理
- 重度の処理
- 類似石
- 模造石
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日本国内では、日本ジュエリー協会、日本宝石協会に加入している店舗では、そのガイドラインに沿って、人工合成石、類似石、模造石など紛らわしいものがルビーとして販売されることはありませんが、ルールが整備されていない海外の店舗や業者で購入する際は、注意が必要です。
宝石研究所、鑑別業者が発行する鑑別書(分析結果報告書)を添付して貰う方が良いでしょう。
ルビーに関しては、スイスのGubelin Gem LabかSSEFのもの、日本で分析する際には、GIAか中央宝石研究所の鑑別書が知られています。
宝石ジュエリーは、長く使うものですから、評判の良いブランドは、品質やカスタマーサービスの面で安心です。
デザインと予算
ルビーはクラシックでエレガントなデザインから、モダンで斬新なものまで、多くのバリエーションがあり、ブランドによってそのテイストはさまざまです。
ブランドを比較して、個性や好みに応じて選びましょう。
ルビージュエリー、アクセサリーは販売されている価格の幅が広く、当然ですが、高品質のルビーは高価です。
高価だから自分にとって相性の良いジュエリー、アクセサリーとは限らないのであなたの予算に合った素敵なアイテムを見つけましょう。v
相性の良いルビージュエリーに出会うコツは、実際に身に着けて「好き」と感じられるものを選ぶことです。