青色の宝石には、ブルトルマリンのように帯緑青色から帯紫青色までの変化に富む色合いに加えて、濃色から淡色まで明度範囲も広い宝石があります。
ほとんどの青色透明石については、基本的な色調をサファイア様の中~低明度の青色(濃青色)とアクワマリンに代表される高明度(淡青色)のグループに分けると理解しやすいです。
この記事では青い色の宝石について解説します。
青色透明石(中明度の青い色透明石)
宝石質のブルーサファイアでは「コーン・フラワー」と称される深く澄んだ青色が最高とされるが、わずかに紫色味を帯びた中明度の青い色も非常に魅力的です。
インク・ブルーと呼ばれる黒味の強い暗青色や緑青色はやはり評価が下がります。
またカシミールなど一部のブルー・サファイアでは、産地の特定が価格にまで影響を及ぼすこともあります。
ブルーサファイアの場合、相反する二つの理由から加熱処理が行われます。
- 暗い色あるいは濃い色のサファイアでは明度を高めて明るいブル―にするため
- 無色から淡色のサファイア原石には加熱すると青色に変わるものがある
変化後の青い色の濃度は個体差があり、もともと包有する「シルク・インクルージョン」や不純物元素など本来備わった資質によって決まってきます。
色変化に関与する因子をまったく備えていない無色のサファイアを加熱しての濃色になることはありえません。
ブルースピネル
ブルースピネルもレッドスピネルと同様に、長い間ブルーサファイアと混合されてきた石のひとつです。
紫味や緑色味を含んでいたり、灰色がかった青色までの微妙な色合いを持ちます。
宝石質のスピネルはその組成がMgAl2O4の単純な化学式であらわされるが普通ですが、実際には類質同像鉱物で、固体ごとに組成が微妙にことになります。
ブルー・ゾイサイト
20世紀に発見された新種石の中でポピュラーな宝石となったのがブルー・ゾイサイトです。
はじめて発見されたタンザニアにちなんでつけられたタンザナイトのネーミングがプロモーションに大きく寄与したと言われています。低い硬度と完全劈開という特徴を持っています。
アイオライト
鉱物としてはコーディエライトの名で呼ばれることもあるアイオライトは、和名を菫青石と言いますが、この由来となった菫青色がサファイアに似ているため、「ウォーター・サファイア」という誤称もあります。肉眼でも明らかな多色性がこの石の決定的な特徴で、これから2色石という意味の別名「ダイクロアイト」の名がつけられている。
この石は、十分な硬さと耐久性を備えています。
青色透明石(高明度の青色透明石)
アクワマリン
海水青色と表現される、わずかに緑味を帯びた淡青色がアクワマリンの名前の由来です。
ベリル族ではエメラルドと双璧をなす宝石で、ヨーロッパなどでは古くから夜会服用のジュエリーに使われてきました。
暗い照明下で高い輝きを見せることから「夜の宝石の女王」と呼ばれます。
ブルー・トパーズ
ブルー・トパーズはこのアクワマリンと色が似ており、しかも同じ漂砂鉱床から産出するために長い間、アクワマリンの代用に使われてきましたが、70年代中ごろに、人工的な放射線照射により濃色にされたものが市場に現れました。
青色半透明石・不透明石
半透明から不透明におよぶ青色石に色調は、トルコ石に代表されるいわゆる空青色のグループと、ラピスラズリの紺青色のグループに大きく分けられます。
トルコ石とラピスラズリは、ともに古くから知られている宝石で、紀元前2000年頃の古代メキシコ文明やエジプト王朝ではすでに宝飾品として盛んに使われていたと言われる。
トルコ石
「駒鳥の卵ブルー」と称される美しいトルコ石の空青色の原因は、主成分として含まれるCuです。このほかFeの含有や多孔質の程度により、帯緑色から帯白色まで色調には多少固体差が見られます。
クリソコーラ
Cuの自色鉱物であるクリソコーラもトルコ石とそっくりな色であるが、ほとんどはクォーツと鉱染した半透明石で、見た目の質感が相違するので両者が混同されることが多いです。
ブルー・オパール
ブルー・スミソナイト、コモン・オパールの一変種であるブルー・オパールも同様の外観を示す空青色の半透明石です。
アマゾナイト
アマゾナイトは帯緑青色から空青色までの色合いが見られますが、石表面の構造に起因するきらきらとした閃光が観察されるのが特徴です。
紺青色半透明石・不透明石
ラピスラズリ
19世紀まではその粉末っが顔料として使われていたラピスラズリは、本来、複数の鉱物で構成される岩石です。主としてラジュライト(青金石)、アウイナイト、ソーダライト等など、いずれも紺青色の鉱物で構成されています。
パイライトを含み、均一な紺青色の地に金色斑が点在するラピスラズリが最高とされるのに対して、カルサイトの混在による白斑点などが目立つものは評価が下がります。
均一な色に見せかけるため白色部を「染色」した処理石もあります。
アジューライト
アジューライトはマラカイトともに産出します。
青と緑が斑状に分布するアジュル・マラカイトが良く知られていますが、単独で研磨されたものは紺青色でラピスラズリに似ています。
宝石の色について
宝石の色は物体色で、宝石に光が当たって起こる反応を、人間の目が知覚して色を判断します。
光はX線、紫外線、赤外線、電波などと同じように電磁波です。
電磁波はその波長ごとにエネルギーが異なっており、また領域ごとに異なる名前がついています。
このうち、人間の目が感知できるのはごく一部で、波長400nm~700nmの範囲だけです。
これを可視光と呼びます。
太陽からの白色光は、赤色から紫色まですべての波長の光を含んでいます。この白色光が宝石の中を経過する際、すべての波長を透過すればその宝石は無色として見えます。
すべての波長を反射すれば白色に、そしてすべての波長を吸収すれば黒色に見えます。
また、すべての波長にわたり可視光線が等量吸収されると灰色にみえます。
これらが無彩色のグループです。一方、有彩色の場合には、その中の特定の波長が吸収され、残りの波長が透過あるいは反射され、残りの波長の複合が、その宝石の色としてあらわれます。これは、白色光の場合です。
同じ物体でも白色光とは異なる波長成分の光(光源)が当たると、宝石の色を違って見える。このように物体色を決定する光源の性質物体色を決定する光源の性質を演色性と呼びます。したがって、色の比較をするためには標準光源が必要になります。
一般に、光源の色は色温度であらわし、それを目安とすることが多いです。
宝石の場合も例外ではなく、ルビーやアメジストなどは、タングステン・ライトのように赤味の強い光源と、蛍光灯のように青色の強い光源では、まったく色調が異なって見えてしまいます。
宝石の色について詳しくはこちらで解説しています。
品質の見分け方
ここでは、品質の見分け方にフォーカスして説明します。
ルビーの品質判定をします。
大前提として、すべての宝石は、個性であり同じものが世界に2つと存在しません。
それぞれの価値がありますので、「宝石品質判定」という目安を設けることで目の前にある宝石ルビー「おおよその値段」が分かります。
品質判定で観る項目は以下の7項目です。
- 宝石種
- 処理の有無
- 原産地
- 美しさ
- 色の濃淡
- 欠点
- サイズ
「この記事の主な参考書籍・参考サイト」
- 「ジュエリーコーディネーター検定2級 テキスト」著者露木宏、他20名共同著/発行:社団法人日本ジュエリー協会刊)
- 「決定版 宝石」著者:諏訪恭一/発行:世界文化社