ルビーの硬度とは?【モース硬度と硬さと割れにくくさ】

ルビーを楽しむためには、ルビーの硬度や耐久性について知ると、お手入れの仕方もわかり、宝石ルビーを生涯をかけてお楽しみいただけるようになります。

ここでは、ルビーの硬度について、また宝石の硬度や耐久性について分かりやすく解説します。

ルビーの物理的性質についてはこちらで詳しくまとめています。

ルビーの指輪

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ルビーの硬度

コランダム(ルビーやサファイア)は、モース硬度スケールでは9です。

ダイヤモンドに次いで硬く、優れた靭性を持ち、衝撃を受けると割れる性質である「劈開」もありません。

化学的にも安定していて堅牢なので、毎日使用する指輪やその他のジュエリーにセットするのに最適となります。

硬度もあり耐久性に優れているルビー

硬度もあり、耐久性に優れているルビーは身に着けて楽しみつつも、使わなくなった時や、いざという時に譲り渡すこともできます。

ルビーは、時代を超えて人から人へ受け継ぐことができる宝石です。

還流に値する宝石の条件を兼ね備えているルビーは、ミャンマー産の天然無無処理ルビーです。

ルビーの価値についてはこちらで詳しく解説しています。

ルビーを選ぶとき欠点を見抜く眼

本来、硬度もあり、耐久性に優れているルビーですが、ルビーと呼ばれているものの中には、様々なものがあるのでルビーを選ぶとき欠点を見抜く眼は非常に重要になります。

見た目は立派なのに比較的安価なルビーによく見られるのが欠点です。

  • 破損の原因につながるフラクチャー(割れ欠け)があるもの
  • プロポーションが極端に悪いもの、例えば宝石の厚みが深すぎたり、浅すぎたりするものです。
  • ルビーの耐久性に影響するインクルージョン(内包物)があるもの

これらの欠点を見分けるには、ある程度の経験が必要ですので、プロの宝石商(ジュエラー)に相談して確認してもらうことが大切です。

ルビーの品質の見分け方

ルビークオリティスケール

ファセットカットしたルビーのクオリティスケール 諏訪恭一氏が考案した「宝石品質判定」

大前提として、すべての宝石は、個性であり同じものが世界に2つと存在しません。

それぞれの価値がありますので、「宝石品質判定」という目安を設けることで目の前にある宝石ルビーの品質が分かります。

ルビーの品質は以下の7項目で判定します。

  1. 宝石種
  2. 処理の有無
  3. 原産地
  4. 美しさ
  5. 色の濃淡
  6. 欠点
  7. サイズ

詳しくはルビーの品質判定はこちらで解説しています。

宝石の美しさを保つための硬度

宝石になる鉱物は、希少性の他に、美しさと美しさを保つための硬度を持っていなければなりません。

宝石として利用されている鉱物の硬度が高いのは、そのためです。

身のまわりに普通に存在している砂の主成分は、角閃石と長石と石英です。

この3つの鉱物のなかで、最も硬いのは石英です。

石英よりも硬い(モース硬度計で7より大きい)鉱物を宝石として用いれば、砂ぼこりによるキズがつかないことになります。

モース硬度計で7よりも小さい鉱物は、砂ぼこりを取り除く時に、注意が必要です。

その際は、ふき取るのではなく、吹き飛ばすようにします。

宝石の耐久性

宝石にとって重要な耐久性には以下の3つの要素があります。

  • 宝石の硬度
  • 宝石の靭性
  • 宝石の安全性

「かたさ」は化学結合に関係し、引っかき(摩耗)に対する堅牢性である「硬さ」、変形し難しさの「固さ」など、物理的に意味の異なる固さがあります。

以下で詳しく解説します。

宝石の硬度

【硬い】【堅い】【固い】など、いつもの漢字があるように、「かたさ」には物理的な意味において様々な「硬さ」があります。

硬さををもたらす特性

鉱物などの個体に応力を加えると、多少なりとも変形します。少ない応力で大きく変形するものは「やわらかい」、大きな応力を加えても変形がわずかなものは「かたい」ということになります。

変形のうち、応力を取り除くと形状が復元される特性を弾性、変形したまま保たれる特性を塑性と呼びます。加える応力が増えると途中で弾性から塑性に変わる(弾性限界)場合もあります。

硬くて弾性を示すものには剛性も備わります。

物質の硬さには、構成する原子がなす化学結合の種類、方位、頻度が多く関わています。

共有結合は結合力が強く、混成軌道により結合の方向と距離が規定されるので、硬い特性をもたらします。

鉱物の硬度は以下の2つで表します。

  • ビッカース硬度
  • モース硬度

モース硬度

モース硬度は、硬さの違う10種の鉱物を指標として、これら指標鉱物との比較で「硬さ」の尺度とします。

1822年、ドイツの鉱物学者、フリードリッヒ・モース(Friedrich Mohs)が、「2つの違う石をこすり合わせて、どちらに傷がつくかで石の硬さを判断する」という硬度を提唱しました。

モース硬度の考え方は、「硬い材料と軟らかい材料とをこすり合わせたときに、傷がついたほうを軟らかいと判断する」引っかき硬さの指標に属します。

モース硬度の数値の間には、比例関係はありません。

硬度1と硬度2との間の硬度差よりも、硬度9と硬度10との間の硬度差のほうがはるかに大きいです。

工業的に考えると、合理性の無い不便な見分け方のように思えられますが、分析装置が無い野外で、鉱物を同定する際に有効で簡便なコストのかからない方法です。

硬度が高い=割れにくいではない

結晶構造が反映された現象

鉱物には硬くて丈夫な印象がありますが、実は割れることもしばしばあります。

鉱物の割れ方には特徴があります。

鉱物の割れ方は、原子の結合の切れ方と言い換えることができます。物質の中での原子の結合の強弱、その方向と密接に関わっていて、結晶構造に大きく関係しています。

同種類の鉱物は、同じ化学組成と結晶構造を持つので、同じような割れ方をします。

そのため、割れ方の特徴の違いで、鉱物種を絞り込んでいくことができる場合もあります。

硬度が高い=割れにくいというわけではないのです。それぞれの宝石には異なる特性があります。

硬度の高さは、あくまでも「ひっかき傷に強い」ということにすぎず、硬さと強さは同じものと思われがちですが、全く異なったものなので注意してください。

硬度が高くても、割れにくいとは限りません。

硬いダイヤモンドにも劈開がある

特徴的な割れ方のひとつに、平らな面にきれいに割れることがあります。この現象を劈開と呼びます。

岩塩と同じ立法晶系に属しているダイヤモンドは、四方向に異なる劈開をみせます。

最も硬いダイヤモンドですが、原石の典型的な結晶形態である正八面体の結晶面に平行な劈開があります。

結晶は、化学結合の弱い、または少ない方向に垂直な面に沿って割れやすいです。劈開は結晶構造が反映された現象なので、同じような結晶構造の鉱物には、同じような劈開が見られます。

劈開で現れる面を劈開面と呼び、結晶面(結晶の成長面の結果現れた面)とは区別します。

複数方向に劈開がある鉱物では、方向の異なる劈開面同士の角度はいつも一定で、これも結晶構造が劈開に反映されている証拠のひとつです。

劈開は数値では表せない

劈開の程度は数値で表すことができません。

割れにくくても割れる時はスパッと割れる場合や、割れやすいけれども劈開面が滑らかな平面ではない場合など、複雑な様相になっているからです。

そのため、【完全】、【明瞭】【良好】【不明瞭】などの表現を用います。

宝石の靭性

靭性は、割れにくさ、掛けにくさ、といった、破損に対する耐性です。

宝石の原子の結合の仕方やそれらの結合の強さによって、宝石が持つ割れや欠けに対する抵抗力が決まります。

摩擦や引っかきに対する強さを表す硬度とは別の特性ですので注意してください。

劈開性

宝石に打撃が加わった時、その結晶体が一定の方向に沿って割れたり、剥離したりすることを「劈開性」と言います。劈開がある結晶は、あらかじめ切れ目を入れたかのように見事な平面で割れたり、はがれりする特徴があります。

規則的に化学結合が繰り返されている結晶ならではの弱点です。劈開の方向は、化学結合の弱い、あるいは化学結合が少ない方向に対応します。宝石の中には、完全な形で劈開を生じる宝石がいくつかあり、これも宝石の耐久性に大きく影響があります。

宝石の安定性

劣化に対する耐性も宝石の耐久性には重要なものです。水分を含んで安定しているオパールは、乾燥により水分を失い、収縮してヒビ割れを生じることがあります。他にも皮脂や汗による変色や、日光など強い光で退色する宝石もあります。

こうした宝石の特性を理解しておくことで、長く宝石を使うことができます。

まとめ

ここでは、ルビーの硬度や耐久性について解説してきました。

宝石ルビーは何千年もの間、経年変化することなく残ります。

硬度や宝石の耐久性を知ることで適切にお手入れすることができ、ルビーは代々受け継がれる貴重な家宝になります。

ルビーの特徴と品質を理解して、最高な状態に保ち、いつか受け継がれる時に喜びが生まれるように、大切にお楽しみください。

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