実際にみた、800年前の歴史あるルビー【アンティークの意味とは】

宝飾芸術は、人類の美意識の起源と美術の本質とに深く関わる芸術の領域として、近年ますますその真価が問われています。ジュエリーのデザインや種類は、人類の長い歴史と共に変化を遂げてきました。

日本の宝石の老舗「諏訪貿易」の諏訪会長にお声掛け頂いたのがきっかけで、その橋本コレクションを手に取って機会に恵まれました。その拝見したヒストリックリングについて淡交社からヒストリックリング88(指輪88[4千年を語る小さな文化遺産たち]淡交社)という本が出版されています。光栄なことにそのうちのルビーのリング4本はモリスが原稿を担当させていただきました。

この記事では宝飾史について実際に手にとってみたルビーのアンティークの指輪のことや英国のアンティークジュエリーの歴史について解説していきます。

    Contents

    人類4000年の歴史が凝縮されたリングコレクション

    橋本コレクションは人類4千年の歴史が凝縮されたリングを収集された驚異のコレクターの物語です。
    日本の宝石の老舗「諏訪貿易」の諏訪会長にお声掛け頂いたのがきっかけで、その橋本コレクションを手に取って機会に恵まれました。歴史的なリングをじっくりと見て研究することで宝石ジュエリーに対する認識は大きく変わりました。

    リング88

    この本の素晴らしい理由は、橋本氏は原稿を書く前に実物を手に取って研究をする機会を与えてくれ、各々が感じたことから出来た書籍であるということです。

    通常、4000年近くの長い歴史を網羅する何かの研究だと、専門家が色々な書物や資料から著者がまとめ上げてるスタイルが普通だと思いますが、この本の場合は、橋本氏が14年かけて集められた「実物」を何年もかけて「手に取って」拝見した実体験に基づくモノです。

    リングが、ファッションやアクセサリーとしてではなく、人の想いを後世に伝える伝書鳩の様なものだというのがお分かり頂けると思います。2本のルビーの指輪について本文より引用して解説します。

    ヒストリックリング88より【愛の証の指輪】

    心地よい小さなルビーがイエローゴールドにそっとセットされた、可愛らしい指輪です。あぶみ型のリングの上に、少し背の高いカボションカットのルビーは、蛍光性が強く、内包物の状態からみて、ビルマ(現ミャンマー)産の無処理で美しいモノです。握り合う手のリングは、イタリア語で忠実を意味する「フェデ」と呼ばれ、愛を伝えるデザインとして使われていました。握り合う手のモチーフは二人の愛の証として古代ローマ時代からあり、中世に復活した後、12世紀にはイギリスでも用いられるようになりました。以来、婚約、結婚指輪として好まれて来たスタイルです。最近は、結婚指輪といえばダイヤモンドが一般的ですが、中世からルネサンス期にかけての多くの指輪には、愛やハートの象徴としてのルビーが使われていました。

    (指輪88[4千年を語る小さな文化遺産たち]淡交社より引用)

    【愛の証の指輪】ルビーの指輪の特徴と実際に手に取り感じたこと

    アンティークルビーリング

    この指輪を手に取った時に感じたのは、実際にルビーを贈り、またそれを受けて結婚した二人のことです。

    もし、このルビーリングが無ければ、実際に800年前に結ばれた二人の事を思うことはありません。

    それが、宝石ジュエリーの凄いところであり、ルビーがそのことを覚えているような気がしました。

    この小さなルビーは、ミャンマー産の特徴を示しており、天然無処理で美しいモノですが、800年経った今も、先ほど見た去年採掘された新しいルビーと何も変わらないことに驚きます。

    経年変化が無いのが宝石の定義の一つですが、それを目の当たりにしたわけです。

    この指輪の特徴は、リングのフープの底の部分が手のモチーフになっており、お互いの手を取り合っている形で約束を表す。「フェデリング」と呼ばれる形で、中世後期からルネッサンス期に結婚指輪に使われたスタイルです。この指輪が作られたのは、日本でいうと鎌倉幕府の時代。このリングで愛を誓ったおふたりの人生は幸せだったのだろうか、欧州のマレッジリングの歴史の長さ、深さを実感して欲しいです。

    ヒストリックリング88より【愛を誓う指輪】

    愛を意味するルビーと永遠を意味するダイヤモンドが留められた婚約指輪。華やかな知恵の輪のような指輪です。このように2本が組み合わされて、指にはめる時に1本になる指輪はギメルリングと呼ばれ、結婚にかかわる指輪に使われてきました。リングの内側には、勿忘草、握り合う手、燃えるハート、羽がエナメルで描かれています。

    (指輪88[4千年を語る小さな文化遺産たち]淡交社より引用)

    【愛を誓う指輪】ルビーの指輪の特徴と実際に手に取り感じたこと

    アンティークルビーリング

    16世紀ルネサンス期のルビーとダイヤのギメルリングです。ギメルとは、双子を意味する言葉ですが、この時代に多くつくられた結婚指輪です。ルビー(愛)とダイヤ(約束)、そして、ハートをしっかりと握った手のモチーフは愛と約束を表します。このように、2本のリングが知恵の輪のようにリンクしてあり、開くとメッセージが書かれていたり、このギメルリングのようにエナメルで模様が表されたりしています。ルビーを観察すると、結晶のインクルージョンとブラックライト下での鮮赤色反応からミャンマーなどの非玄武岩起源(接触変成岩起源)のルビーであることが分かります。このルビーには、小さなアパタイトと思われる結晶がテーブル下に確認できました。ミャンマー産を含めた非玄武岩起源のルビーは、宗教的にも文化的にも大切にされてきた宝石で、様々な場面で登場しますが、その存在感は他の宝石に無い圧倒的なものを感じます。

    指輪が語る4000年の宝石史年表

    現在、橋本氏の指輪のコレクションは、東京上野の西洋美術館に所蔵されており、2022年2月19日~9月19日まで国立科学博物館、名古屋市科学館で開催された特別展、「宝石 地球がうみだすキセキ」で展示されていました。

    ここから特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」図録より引用

    宝石はルース(磨いた石)のままでは使用された年代が分からないが、指輪の発掘場所によって、あるいは指輪の材質やデザインによって、時代やその背景を推定することができる。この指輪年表は、橋本貫志(1924年~2018年)が国立西洋美術館に寄贈した橋本コレクションの800余点のうち、宝石がセットされた指輪201点から構成されている。

    橋本コレクションは、1989年から2000年にかけて年代・地域を限らずに、古美術コレクターとして長い経験と知識を生かして世界のオークションで集めたコレクションであり、世界に類を見ないものである。201点の指輪を整理して古い順に並べてみると、1500年まではカボション、スラブ(厚い板)に彫刻が施されたものが多いこと、またダイヤモンド、ルビーなどのブリリアントカットは1700年代になって初めて見られることが確認できる。まさに指輪が宝石の歴史を語っているのである。

    4000年の宝石史年表と世界史年表

    ここから特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」図録の指輪が語る4000年の宝飾史年表より引用しています。

    • 5000B.C.頃メソポタミアでトルコ石が使われた。日本の縄文時代(紀元前1万2000年頃~紀元前500年頃)に翡翠の彫刻が誕生し古墳時代を中心に勾玉がつくられます。
    • 3100B.C.頃エジプトではガーネットやアメシストがビーズにされました。
    • 4000~3000B.C頃エジプト文明、メソポタミア文明
    • 2600B.C.頃インダス文明
    • 2133~1768B.C.エジプト中王国時代には指輪に金が使用されていた
    • 1700B.C.頃エジプトにエメラルド鉱山が存在した
    • 1500B.C.頃 紅海のザバルガット島でペリドットが産出
    • 1567~1085B.C.エジプト新王国時代
    • 800B.C.頃インドでダイヤモンドの最古の記述
    • 800B.C頃~ムーンストーン、ルビー、サファイア等がスリランカで採掘される
    • 700B.C.頃エトルリア文明
    • 525B.C.アケメネス朝ペルシアがオリエント世界を統一
    • 500B.C.インドでブッタが仏教を開く
    • 334B.C.アレクサンドロス大王、東方遠征(~324B.C.)ヘレニズム文明(~30B.C.)
    • 紀元前後、アクアマリン(海の水)がローマ人により名づけられる
    • 27B.C.ローマ帝国が成立 この頃、鉄製指輪を結婚の誓約のしるしとして贈る風習が広まる
    • 30頃イエスが処刑される
    • 57委奴国王、漢の光武帝より金印を受領
    • 77プリニウス「博物誌」全37巻が完成
    • 79ポンペイ消滅
    • 100B.C.頃スリランカ産宝石が世界に流通
    • 226ササン朝ペルシアが興る(‐651)
    • 313キリスト教がローマで公認される
    • 392キリスト教がローマ国教になる
    • 395ローマ帝国、東西に分裂 ビザンツ帝国(東ローマ帝国)成立
    • 476西ローマ帝国が滅ぶ
    • 481メロヴィング期(フランク王国)が興る
    • 527ユスティニアヌ大帝が即位 ビザンツ帝国の繁栄(~1453)
    • 610頃ムハンマドがイスラム教を開く
    • 618唐王朝の成立
    • 750アッバース朝の成立 イスラム帝国の拡大(~1258)
    • 962神聖ローマ帝国が興る
    • 1066ノルマン朝の成立
    • 1096第1回十字軍の遠征 (~99)
    • 1202第4回十字軍遠征(~04)
    • チンギス・ハーン統治下のモンゴルでアゲート(カルセドニー)のビーズが珍重される
    • 1271マルコ・ポーロ、東方旅行に出発
    • 1347頃 イタリアルネサンスが始まる ヨーロッパでペストの大流行「メメント・モリ」
    • 1400年代ダイヤモンドパウダーが使用される
    • 1445頃グーテンベルクが活版印刷術を発明
    • 1455バラ戦争(~85)
    • 1464ローマ教皇パウルス2世が即位(在位~71)
    • 1469ロレンツォ・デ・メディチ、フィレンツェを支配
    • 1483イングランド王エドワード4世没
    • 1500年頃イーダー(ドイツ)の水力を利用した砂岩ホイールによるメノウ研磨が始まる。同時期にグリーン・トルマリンが「ブラジリアンエメラルド」としてヨーロッパに流通
    • 1526インド、ムガル帝国が成立(~1858)
    • 1533フランシスコ・ピサロ、インカ帝国を滅ぼす
    • エリザベス1世が即位
    • 1568B・チェッリーニ「金銀細工について」、「彫刻について」を出版
    • 1600ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を製作
    • 1613フランスのメレリオ・ディ・メレー創業
    • 1643フランス王ルイ14世が即位(~1715)ルイ14世様式が流行
    • 1649イングランド王チャールズ1世処刑
    • 1661ルイ14世の新政開始「~1715」
    • 1676フランスの宝石商タヴェルニエ「6つの航海記」を出版(~79)ルイ14世がタヴェルニエから購入したダイヤモンドのうち、ひとつがホープダイヤモンド
    • 1695ブラジルで金鉱発見。 18世紀の金ブーム始まる
    • 1700頃ブリリアントカットが考案される 動力は手動
    • 1714英国、ジョージアン様式(~1830)
    • 1729ブラジルでダイヤモンドが発見される
    • 1734ポーランド王・ザクセン選帝侯アウグスト3世即位(~63)
    • 1748ポンペイ遺跡の発掘開始
    • 1700代後半イギリスで産業革命が始まる
    • 1775アメリカ独立戦争(~83)
    • 1789フランス革命(~99)
    • 1793ルイ16世とマリー・アントワネット処刑
    • 1797ダイヤモンドが炭素のみで構成されていることを確認
    • 1804ナポレオン1世が皇帝に即位
    • 1814スティーブンソン、蒸気機関車を製作 しばらくしてダイヤモンド研磨が手動から蒸気に進化
    • 1820頃カンティーユ細工とフィリグリー細工が流行
    • 1873C.L.ティファニー、ニューヨークで創業
    • 1840ヴィクトリア女王、アルバート公と結婚
    • 1847L.F.カルティエ、パリで創業
    • 1851ロンドンで第1回世界万国博覧会
    • 1860頃ジュエリー制作の機械化が始まる
    • 1867プラチナがジュエリーに使われるようになる 南アフリカでダイヤモンドが発見される 南アフリカ産のダイヤモンドがヨーロッパに入る
    • 1870ナポレオン3世の第2帝政の崩壊
    • 1877インド帝国成立
    • 1880頃ブラジル皇帝、ドン・ペドロ2世にちなみ、インペリアル・トパーズが名づけられる
    • 1881服部時計店(現 和光)創業
    • 1888セシル・ローズ、デビアス社を創設 この頃アーツ&クラフツ運動が興る
    • 1890頃アール・ヌーヴォーが開花
    • 1892山崎亀吉、宝石店(GINZATANAKA)を創業
    • 1893ミキモト、世界で初の養殖真珠を誕生させる
    • 1894日清戦争(~95)
    • 1900頃電気の普及により、ダイヤモンド研磨が蒸気から電気に進化
    • 1904日露戦争(~05)
    • 1914第一次世界大戦(~18)
    • 1917J.F.クンツ「指輪」を出版
    • 1920頃アール・デコが開花プラチナの加工技術の開発が進む
    • 1929世界恐慌
    • 1932ハリー・ウィンストン社設立
    • 1933米国・金本位制の廃止
    • 1934デビアス社の合弁子会社「ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー」設立
    • 1939デビアス社が、ダイヤモンド評価基準である4cの原案を考案
    • 1939第2次世界大戦(~45)
    • 1940日本で「奢侈品等製造販売制限規則」(七・七禁令)が公布・施行される
    • 1947インド独立
    • 1949中華人民共和国が建国
    • 1950朝鮮戦争(~53、休戦)
    • 1955ゼネラルエリック社、宝石品質の合成ダイヤモンド製造に成功
    • 1960年代インドのダイヤモンド研磨工業の大躍進
    • 1963年中国でダイヤモンドの合成に成功
    • 1970デビアス社が日本で婚約指輪のキャンペーンを行う(~2000頃)
    • 1967ボツワナでダイヤモンドの大鉱床を発見
    • 1979世界有数のコレクションを持つイランのパーレピ王朝崩壊
    • 1985オーストラリアでダイヤモンドが産出
    • 1990頃コンピューターとレーザーによるダイヤモンドの研磨が始まる
    • 1993EU発足
    • 1998マダガスカルで宝石ラッシュ
    • 2000デビアス社がカルテルの終結を宣言 キンバリープロセス(ダイヤモンド原石の原産照明制度)が発足
    • 2015中国の合成ダイヤモンド、全世界の生産量90~95%を占める
    • 2018デビアス社、合成ダイヤモンド「Lightbox」を発表
    • 2020アーガイル鉱山(オーストラリア、ピンク・ダイヤモンド鉱山)閉鎖

    指輪が語る4000年の宝石史年表

    現在、橋本氏の指輪のコレクションは、東京上野の西洋美術館に所蔵されており、2022年2月19日~9月19日まで国立科学博物館、名古屋市科学館で開催された特別展、「宝石 地球がうみだすキセキ」で展示されていました。

    宝石展

    ここから特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」図録より引用

    宝石はルース(磨いた石)のままでは使用された年代が分からないが、指輪の発掘場所によって、あるいは指輪の材質やデザインによって、時代やその背景を推定することができる。この指輪年表は、橋本貫志(1924年~2018年)が国立西洋美術館に寄贈した橋本コレクションの800余点のうち、宝石がセットされた指輪201点から構成されている。

    橋本コレクションは、1989年から2000年にかけて年代・地域を限らずに、古美術コレクターとして長い経験と知識を生かして世界のオークションで集めたコレクションであり、世界に類を見ないものである。201点の指輪を整理して古い順に並べてみると、1500年まではカボション、スラブ(厚い板)に彫刻が施されたものが多いこと、またダイヤモンド、ルビーなどのブリリアントカットは1700年代になって初めて見られることが確認できる。まさに指輪が宝石の歴史を語っているのである。

    宝石は受け継がれていくもの

    ピジョンブラッドルビー

    「起源がわかる宝石大全」著者:諏訪恭一、門馬綱一、西本昌司、宮脇律郎/発行:ナツメ社より引用します。

    宝石には、動産としての確かな「価値」があります。価値が目減りすることもなく、持ち運びがいたって容易で、土地のように登記する紛らわしさもありません。身に着けて楽しみつつも、使わなくなった時や、いざという時は譲り渡すことができる。そうやって宝石は、時代を超えて人から人に受け継がれるものです。これが宝石の「還流」です。

    引用ここまで

    アンティークジュエリーとヴィンテージジュエリーの違い

    アンティークジュエリーとヴィンテージジュエリー、いずれも作られた国や時代、文化、そして技を凝縮した得も言われぬ魅力を湛え、小さくとも光輝に満ちた文化遺産として伝え残されています。別冊太陽 アンティークジュエリー美術館 共同印刷より アンティークジュエリーとヴィンテージジュエルーの解説を引用

    アンティークジュエリー

    主に欧米で100年以上以前に作られた、骨董的価値のある貴金属の装身具のことを「アンティークジュエリー」と言います。しかし厳密に言うとまだ100年を経っていないのですが、アールヌーヴォーやアールデコのジュエリーもアンティークジュエリーの範疇として考えられています。さまざまな素材と職人たちの神業的な技法が出会い、贅を尽くし、繊細さを極めた、たった1点しか作られていないその美しき宝飾品に出会うとき、感動する覚えることでしょう。

    作られた時代の歴史や文化へ、また往時の貴族や富裕層の隠されたメッセージに想いを馳せたりもしてしまいます。まさにすばらしい芸術と言えるのではないでしょうか?アンティークジュエリーというと絢爛豪華なものを想像されるかもしれません。しかし存外に小振りで瀟酒でお洒落、また遊び心があって感性豊かなデザインのものも多いでのです。おそらく現在のカジュアルなファッションに合わせてみたくなるのではないでしょうか。

    ヴィンテージジュエリー

    主に1930年代から70年代頃にかけて、アンティークジュエリーと同様の品質で斬新なデザインのジュエリーが登場します。作られて100年を経っていないそれらは、「ファインジュエリー」と称される貴金属を主として宝石をあしらったもので、「ヴィンテージジュエリー」とか「エステートジュエリー」と呼ばれます。なお、高価な宝石の代わりにガラスやプラスティックなどを使って作られた比較的カジュアルな「コスチュームジュエリー」があります。

    アンティークジュエリーと宝飾史

    ここではヨーロッパ宝飾芸術についてすぐわかるヨーロッパの宝飾芸術 著者山口遼 発行 東京美術から引用して解説しています。

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー1【古典期から近世へ解説】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー2【中世からルネサンス】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー3【ネオ・クラシシズムまで】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー4【近世以降からセンチメンタリズム】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー5【ヴィクトリアン】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー6【ジュエリーデザイナー】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー7【ベル・エポック】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー8【ジャポニズム】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー9【19世紀末から】

    ヨーロッパの宝飾芸術の宝石ジュエリー10【エドワーディアンから】

    この記事ではヨーロッパ宝飾芸術【近世以降からセンチメンタリズムの宝飾】についてすぐわかるヨーロッパの宝飾芸術 著者山口遼 発行 東京美術から引用して解説します。

    まとめ

    この記事ではアンティークジュエリーと800年前に結ばれた二人のルビーの指輪を実物を手に取って感じたことを解説してきました。

    生きた人の思い出が残る「宝物」の宝石ルビーは、100年経っても、200年経っても変わりません。

    そしてその価値は、交換価値などの資産性の話だけでなく、その時に大切にした人の物語を詰め込んだ思い出カプセルとして受け継がれていくことになります。

    日本にも家宝という文化があり、家の中にある「玉=宝石」を宝物とする考え方はありますが、西洋の、「Heirloom」は、宝石であり、宝石ジュエリーです。

    物質的な「モノ」としての価値はもちろん重要ですが、肖像画の中で、その宝石ジュエリーを着けていたビジュアルと共に、その時に生きた人の「思い出」が一緒に残ることで「宝物」になっていくものです。

    宝石ルビーを「思い出カプセル」にして、たくさんの写真と一緒に、次の世代に家宝の文化を残してあげると、続く世代の幼い子供たちに、人生は豊かでカラフルなものだよというメッセージになるのではないでしょうか。人生の節目を素晴らしいアニバーサリーにしてくれるのが宝石ルビーです。

    Contents
    閉じる